第21話「最終章」:紛争、富裕と貧困の格差拡大の連鎖

文字数 2,717文字

 6月8日、ロンドン外国為替市場で円を売ってドルを買う動きが加速した。それにより、円相場が一時1ドル134円台まで値下がりし、2002年2月以来約20年ぶりに円安ドル高水準を更新した。7月8日、奈良県奈良市の近鉄の大和西大寺駅付近で内閣総理大臣経験者の安倍晋三が第26回参議院議員通常選挙に奈良県選挙区から出馬している自由民主党公認候補の応援演説中に背後から銃撃を受けた。

 狙撃した人物は殺人未遂罪で奈良県警察に現行犯逮捕された。安倍は心肺停止の状態で急いで搬送された。しかし、奈良県立医科大学附属病院に搬送され17時3分に死亡した。7月15日、厚生労働省のデータによると新型ウイルス感染症の検査陽性者数が0時の発表で1千万人を超えた。7月25日、厚生労働省などはヨーロッパに渡航歴がある男性1人がサル痘の検査で陽性を示したと発表した。

 これにより、国内1例目のサル痘患者となった。8月17日、東京地検特捜部は、東京オリンピック組織委員会元理事の高橋治之が大会のスポンサー契約をめぐってAOKI前会長の青木拡憲などから計5100万円の賄賂を受け取ったと発表した。そして高橋治之を受託収賄容疑で青木などAOKIの幹3人を贈賄容疑でそれぞれ逮捕した。

 9月1日、ニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで一時1ドル140円台に下落。24年ぶりの円安水準を更新。9月22日、日本政府・日本銀行は外国為替市場で1ドル145円台後半まで円安が進んだ。その後、1998年6月以来24年3か月ぶりに市場介入しドル売り円買いを行った。その介入の直後、円相場は急激な動きを見せ5円以上円高方向に動き一時1ドル140円台前半となった、

9月27日、14時から日本武道館で故安倍晋三国葬儀を催行し4138人が参列。政府は217の国と地域から首脳級・国家元首級48人を含め7百人を超える来賓を迎えた。10月3日、東京ヤクルトスワローズ・村上宗隆内野手が対横浜DeNAベイスターズ最終戦で本塁打を放ち、シーズン本塁打記録歴代単独2位・日本人選手では歴代単独トップの56本を記録。

 また村上は、首位打者、本塁打王、打点王の打撃主要3部門のタイトルを独占する三冠王が確定した。これは、18年ぶり8人目「通算12度目」で22歳での達成は史上最年少となった。10月11日、政府は、国内観光の喚起を図る目的で、一部の観光費用を補助する「全国旅行支援」を開始し12月下旬までとした。新型ウイルスを巡る外国人の入国上限規制を撤廃。外国人観光客の個人旅行を解禁した。

 短期滞在ビザ取得を免除し国内旅行をパッケージツアー限定とした措置も撤廃した。10月21日、外国為替市場の円相場は一時1ドル150円台後半に下落し約32年ぶりの円安水準を更新。10月29日、夜、大韓民国ソウル特別市龍山区梨泰院で群衆事故が発生。日本人の10代女性1人と20代女性1人を含む150人以上が死亡した。

 10月31日、急激な円安ドル高を危惧した政府は単月で6兆3千億円以上の為替介入を実施していたことを財務省が発表。円は22日未明にかけ一時7円以上急騰、24日も4円以上円高に戻した。11月3日、防衛省は北朝鮮が7時台から8時台にかけICBM級の可能性があるものも含め、少なくとも3発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射したと発表。

 落下したのはいずれも日本の排他的経済水域「EEZ」外であると推定した。11月11日、経済産業省は次世代半導体の研究開発プロジェクトの採択先をキオクシア・ソニーグループ・ソフトバンク・デンソー・トヨタ自動車。NEC・NTT・三菱UFJ銀行が出資するRAPIDUSとすることを発表した。

 2022年12月11日、アルテミス計画を見据えたNASAの月試料収集プロジェクトに参加する日本の宇宙ベンチャー・アイスペース・ジャパンが、民間初となる月面探査プログラム「HAKUTO-R」の最初のミッション「月面着陸ミッション」で月面着陸船により月の表土サンプルを収集することになった。

 2024年にはグループ企業のアイスペース・ヨーロッパ「ルクセンブルク」も参加して2回目のミッション月面探査ミッションを実施する計画である。2022年12月27日、経済産業大臣の西村康稔が、オマーンを訪問。日本企業複数社とオマーンLNGとの液化天然ガスLNGの長期引取契約に関する基本合意書の調印に立ち会った

 2023年が明けると1月2日、ウイルス感染禍で2021年と2022年は中止となった新年一般参賀を抽選制で3年ぶりに開催された。成年皇族として愛子内親王が初参加した。1月9日、高病原性鳥インフルエンザの発生が国内56例目。今シーズンの殺処分対象羽数は約998万羽となり過去最多を更新した。

 2023年2月6日4時17分「日本時間10時17分」にトルコ南東部を震央として大きな地震が発生。1回目のマグニチュード7.7~7.8の大きな地震が発生した。その後、同日13時24分「日本時間19時24分」にも同じ場所で2回目のマグニチュード7.5~7.6の大きな地震が発生した。

 そのため、トルコとシリアを中心に甚大な被害を及ぼし、7万3千人が死亡した2005年のパキスタン地震に次いで、21世紀以降、6番目に死者の多い自然災害となった。本震発生からの約1カ月で余震が軽微なものを含め1万1020回起き、判明した被害は倒壊建物がトルコ国内で21万4577棟、シリアは1万棟以上。

 被災者数は、2千万人以上「トルコで1300万人以上、シリアで880万人以上」で、数百万人が避難生活を送っており、被害額はトルコ国内だけで342億ドルに及ぶと言われ、2023年2月23日現在、両国の死者数は計5万人以上になったと言われている。一方、日本では、新型ウイルス感染症数が低下した。

 3月に入り5百人を割ると4百人、3百人と減り2百人台まで減って来た。しかし、世の中を見渡すとロシアのウクライナ侵攻や日本においては急激な円安と電気、ガス、石油の高騰による物価高で国民生活が厳しさを増した。その一方で共産主義国家や一部の国では、運送で売れなくなったロシア産原油を安く購入し漁夫の利を得ている国もあった。

 また、富める国と貧しい国との溝が、この紛争のためにさらに広がった。こうして、自国の利益を最優先にするため、一致団結することはなかった。そのため、ロシア・ウクライナ紛争の先行きは混沌として、庶民の生活だけが苦しくなっていくという負の連鎖が世界中に蔓延し富める人々と貧しい人々の分断、格差、憎悪が拡大しつつあった。「完結」
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