第11話:アルゴアと不動産担保証券

文字数 2,026文字

 こうして、アル・ゴアは、気候変動など深刻な地球環境問題に対して責任ある立場をとる企業を対象にした投資会社のジェネレーション・インベストメント・マネジメントを設立、同社の会長に就任した。2005年4月から、伊藤家の長女、伊藤和臣が今井中学校に入学し通い始めた。4月25日、JR福知山線脱線事故が発生し死者107人を出した。

 8月8日、郵政民営化法案が参議院本会議で否決され、小泉純一郎首相は衆議院を解散した。9月11日、第44回衆議院議員総選挙、郵政民営化問題をめぐり議員が大挙離党した自由民主党が造反議員の選挙区に新人を擁立し3百議席にせまる圧勝。10月14日、郵政民営化関連法案が可決、成立した。

 2006年が始まると1月1日、東京三菱銀行とYFJ銀行が合併し三菱東京UFJ銀行が発足しこうして日本に超巨大銀行「メガバンク」時代が到来。2月6日、証券会社から電話が入り綜研化学の気配値が5470円と高いと言われた。そこで、全株、成り行き売り注文出すと売れ、税引き後利益が12544万円で残金が14180万円となった。

 2月、伊藤和臣が横浜の平沼高校を受験して合格し電車で通い始めた。その後、大学受験のため、横浜駅近くの予備校に通い始めた。「アル・ゴア」元アメリカ合衆国副大統領が主演の「不都合な真実」という地球温暖化に警鐘を鳴らす映画を作った。そして、2006年5月24日~2007年1月20日「アル・ゴア」製作の「不都合な真実」と言う名のドキュメンタリー映画が世界中で公開された。

 2006年、アル・ゴアはデイビス・グッゲンハイム監督の地球温暖化に関するドキュメンタリー映画の「不都合な真実」ローレンス・ベンダー制作、パラマウント・ピクチャーズ配給に出演。これは2006年5月24日にロサンゼルス・ニューヨーク・バークリー・キャンベル・サンノゼの限られた映画館で公開され数日後に全国で公開された。

 映画にはゴアの最近の講演が含まれている他、ゴアの談話と研究が紹介されていた。すでにアメリカ国内では6百以上の映画館で公開された。そして、2006年7月現在ではドキュメンタリー映画としてはアメリカ合衆国映画史上3番目の興行成績を収めた。この頃、アメリカでは、アメリカの住宅がピークをつけ音もなくバブルが静かに弾けた。

 サブプライムローンと変動金利型住宅ローンの債務不履行が急速に増加していた。サブプライムローンはローンの初期弁済額を低く抑えるといった借り手刺激策や長期的な住宅価格上昇トレンドから借り手は多少無理のあるローンでもすぐにより良い条件で借り換えられると信じて手を出した。

 ところが、2006年~2007年にかけて金利が上昇し、住宅価格が緩やかな下落を始めると多くの地域ではローンの借り換えが難しくなった。月々の返済額が安い初期優遇期間の満了、思うように上昇しない住宅価格。それに加えて変動金利型住宅ローンの金利が切り上がったことなどから債務不履行や抵当物件の差し押さえが劇的に増加した。

 住宅価格の下落によってローン金額よりも住宅価値の方が低いという状況が生まれた。それにより借り手側が差し押さえを選ぶ金銭的な動機になった。米国で2006年終盤から顕在化した。この差し押さえの蔓延は、世界的な経済危機の主な原因の一つであり続けていた。
理由は、これは消費者の富を吸い上げると共に金融機関の体力を着実に破壊するからだ。

 危機に至るまでの何年かに渡り、急成長しつつあるアジア諸国や産油国から巨額の外資が米国に流入してきた。この資金流入は2002年から2004年頃の米国の低金利と相まって融資条件を大いに緩和し、住宅バブルと信用バブルの両方に油を注いだ。様々な種類のローン「住宅、クレジットカード、自動車」が簡単に組め消費者は空前の債務を負った。

 住宅バブルや信用バブルの一部として、不動産担保証券「MBS」と呼ばれる金融商品の契約高が非常に増えた。これは住宅ローンの弁済金と住宅価格を価値の裏づけとする証券である。こうした金融革新によって世界中の企業や投資家が米国の住宅市場に手軽に投資できるようになった。

 しかし、住宅価格が下落すると、大量の資金を借りてサブプライム・不動産担保証券「MBS」に大きく投資していた世界的な大手金融機関が巨額の損失を計上した。住宅市場の危機が他の経済分野に波及するにつれて、他種のローンでも債務不履行や損失が目立って増加した。全世界の損失額は何兆ドルもの規模と推計されている。

 住宅バブルと信用バブルが形成されつつあった傍らで様々な要因から金融システムは脆弱さを増した。政策立案者は投資銀行やヘッジファンドといった金融機関「シャドーバンキングシステム」が果たすようになった役割の重要さを認識していなかった。一部の専門家はこれらの機関は米国経済への信用供与という点から見て商業銀行にも匹敵する重要さを持つに至った。
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