ボレロ

文字数 473文字

 なぜかラヴェルのボレロが頭に浮かんだ。


 村上春樹が小説か何かで「おしっこが永遠に出るような」(もっと品のある表現だった気もするが)といっていた曲。「この曲を聴きながらトイレに行くと」という前提だった。


 いつかの年末、大晦日にNHKのニューイヤーコンサートをテレビで見て、妙に感動したのがこの曲だった。


 子どもの頃、この曲を聴きながら眠ってしまって、不思議な夢を見た記憶も蘇る。


 そう、学校の校舎で、みんなが「こっちへ来い、こっちへ来い」と言っている。私は校門の所に一人でいた。曇り空には、爆撃機が低空飛行している。


 このままでは危ない。私は意を決して、校庭へ走り出した。だが、落とし穴があった!


 私は暗い、産道のような穴に落ち込んで、みるみるうちに胎児へ、あのソラマメみたいな頭だけの大きい、母の胎内にいる胎児へ退行したのだった。


 そこで目が覚めた。


 まだ、ボレロのレコードは回り続けて、聞こえてきた。

 何ということもない、ただの繰り返しの曲のように聞こえる。


 しかし、この最後に向かう時の異様な盛り上がり、気持ちを高揚させるような何かは何だ?

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