新解釈のドン・ジョバンニ
文字数 901文字
フルトヴェングラーが正統的であったとしたら、現代的ジョバンニはまた違った味わいがありました。
クライマックスは「新解釈」といっていいと思います。
死んだ主人公が、まだ舞台から消えず、立ち尽くしています。
何かキリストのような神々しささえ帯びて、あの世からこの世を見ている様子でした。
かつて愛した女たち… 目の前を通りすぎる女の、肩に触れても相手は気づきません。
「やあ」と手を上げても、気づいてくれません。
彼が、死んでいたことは明白です。
ですが、彼は自分の手を見つめ、腕を伸ばし、右から左へ振ってみます。
すると、地上にいる人間たちも、右から左へ、たなびくのでした。
彼は、再び悪魔のような笑みを浮かべ、踊り出します。
このラストは、ドン・ジョバンニがまだ死んでいないことを意味する、と解釈できます。
どこに生きているのか?
地上にいる人間たちの中に。
彼が腕を振っただけで、人間は悪魔的に呼応して、たなびいてしまう…
つまり彼は、地上にいる人間の心に息づいていることになります。
このイギリスBBCのライブ録音のCDも、いいアルバムでした。
ところで、実は、秋はユーミンということで、「ミスリム」というアルバムから「私のフランソワーズ」「紙ヒコーキ」を載せたかったのですが、いい動画がありませんでした。
美学的なもの、芸術的なものは、醜いかもしれない人間存在の中から、美しいものを抽出し、現わしていく、取り入れていくことだと僕は思います。
たぶん人間だけなんですよね、美醜を判断、それを求める・求めないとすることができる…
(あ、ジョン・レノンの「ハッピークリスマス」も挙げたかったのですが、これは戦場の残酷な場面があるせいか、YouTubeになく、リンクが貼れませんでした。
ハッピーさとは、かけ離れた動画で、今くり返されている戦争もそういうもの。
目をそらしてはいけない自戒もこめて貼りたかったのですが…。
「ム」みたいなマークのある動画サイトで観れます。度々削除されていそうだけど、up を続けてほしいものです)