第8話
文字数 4,153文字
老人はそう言うと腰を起こして、自分の持っていた杖をヨウコの前に差し出した。
ヨウコは老人の意外な反応に少しぎょっとした様子だったが、気を立て直し杖を受け取ると、それをぐるぐる回しながらじっくりと調べはじめた。
ぱっと見た感じ自然の造形をしておらず、木製ではないようだ。それは人工的で美しい直線的な長い円柱の杖で、取っ手部分は持ち手に合わせて膨らんでいて、角度を変えながらの複数の多角形の面で構成された幾何学的な形状をしていた。手に持った感じ重すぎるわけでもなく、手によく馴染む感じのごく普通の杖と言った感じだ。材質はわからないが全体的に象牙のような乳白色をしていた。