セリフ詳細

 老人はそう言うと腰を起こして、自分の持っていた杖をヨウコの前に差し出した。


 ヨウコは老人の意外な反応に少しぎょっとした様子だったが、気を立て直し杖を受け取ると、それをぐるぐる回しながらじっくりと調べはじめた。

 ぱっと見た感じ自然の造形をしておらず、木製ではないようだ。それは人工的で美しい直線的な長い円柱の杖で、取っ手部分は持ち手に合わせて膨らんでいて、角度を変えながらの複数の多角形の面で構成された幾何学的な形状をしていた。手に持った感じ重すぎるわけでもなく、手によく馴染む感じのごく普通の杖と言った感じだ。材質はわからないが全体的に象牙のような乳白色をしていた。

作品タイトル:とある廃墟ビルディングにて~天国と地獄編~

エピソード名:第8話

作者名:Tadashi_Kimura

3|ホラー|完結|16話|75,097文字

オカルト, ホラー, 怪談, 黄昏症候群, 心霊スポット, 都市伝説, 村山台駅, 雛城高校, 行方不明, 女子高生

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学校を終えて下校中の女子高校生二人組が、最近耳にした、女の幽霊の声が聞こえるという、とある廃墟ビルディングの噂話を口にした。一人がスマホを取り出して、その廃墟ビルを探索して撮影したオカルト系YouTuber怪異シーカーズの配信動画をみている内に、好奇心をくすぐられた彼女たちは、まっすく帰るための駅には向かわず、得体のしれない何か背中を押されたかのように、その駅からそう遠くないところにある噂の廃墟ビルディングへと向った。その場のノリで見に行ったにすぎない廃墟で彼女たちが見たものとは‥‥。

これは一般小説で書いた作品を、チャットノベル化してみたテスト作品だったのですが、楽しくなってもうこっちをメインで書いてます。あとこれは、必ずしも連続性のない『とある廃墟ビルディングにて』のシリーズ姉妹作品です。