第5話
文字数 2,809文字
僕はその後に続いて、ここまでスムーズに来たけど、四階は今まで見てきたフロアとは何が違っていて、異質な何かが潜んでいるようなそんな気がした。だから自然と僕の背中の毛が首筋からしっぽにかけて一直線に逆立っていた。
今いる階段から垂直に北の方へと延びる通路の先に、正体不明の何者かの気配がする気がする。だけどその正体何なのかまでは僕にもよくわからなかった。
中層階は左右と背後の三方を新しいビルに挟まれていているせいで、外の光が入りにくい。だから三階の廊下の奥は濃い暗闇があるだけで、シーンと静まっている。
とそんな時、唐突にレイカのスマホが鳴り出した。耳障りの悪い電子ビープ音が鳴り続ける。
僕もその後を追っていこうと一段目の階段に足を掛けたとき、なんとなく後ろが気になった。
振り返ると、さっきまで真っ暗で何も見えなかったはずの廊下の奥の床の一部がすこし明るくなっていた。そのすぐ右にある部屋から漏れている光のようだ。それはテナントようのメインスペースの出入口からの光が漏れてきていて、室内のどこかか光っていて、青白い不気味な光が明滅を繰り返していようだ。
そういえば以前にも僕はこの光をここで見たことがあった。そのときは嫌な気がしてそこには近づかないようにしていたのだ。
ここはなぜだか知らないけど不思議なことがよく起こる建物だ。そして人間がよく言うように、
「面倒なことには首を突っ込まないほうが身のためって」言う。
さっきゲームの誘いを断った彼女たちの選択も正しかったのかもしれない。かといって彼女たちは結局五階へ向かっていったのだから、そこでも間違いなく何かおかしなことが待ち構えているに決まっていると僕は思うのだけど、彼女たちの有り余った好奇心は決して引き返す選択を許さないのだろう。
というわけで、このあとすぐ五階へ向かおうと思う。そしてその様子を次回も読者諸君にお伝えするとしよう。
To be continued.