平々凡々を生きる(10/31)

文字数 868文字

他に存在意義を求めることは良いことだと思う
夫であり
父であること
でも、それだけでは心許ない
自分自身で存在意義を認める必要がある
そう言われて
思考が止まってしまった
会社の肩書きなどはあまりにも危うくて
とてもじゃないが、自分の存在意義とは思えない
そんなものに頼っていたら
明日には丸裸になってしまうことだってある
今までに嫌という程見てきたから分かる
自分自身で求める存在意義とは何であろうか?
そんなことは考えたこともなかった
目的、目標は考えたことはあっても
存在意義を考える状況に遭遇することなく生きて来た
それでも、困ったことはないのだから
本当に必要なのかどうかは怪しいものだ
そう言うと思った
お見通しだと君は笑うけれど
目は笑っていない
だったら、あなたの存在意義は何ですか?
そういうと思った
再び君は笑うけれど
そんなに大事なことを簡単に話すことはできない
そう言って突っぱねる
結局、問題提起だけして何も教えず
あとは自分で考えろ、ということのようだ
存在意義とは何だろう?
そこから始めないと着地点が見えない
使命なのか?
その他大勢として存在していることは間違いない
夫であること
父であることが存在意義でないとしたら
その他大勢の一人でしかない僕に
どのような存在意義があるのか分からなくなる
代えが効かないか…と言われれば…代えは効く
絶対に僕でなければならないことなんて存在しない
つまり、存在意義はないということになる
でも、その結論はあまりにも寂しい
僕しかできないこと
僕だからできること
そんな特別な何かは見当たらない
残念ながら、平々凡々なのだ
たぶん、僕だけでなくほとんどの人が平々凡々である
代えが効かない人は存在するけれど
そうした人でもいつかは死ぬので代えが効かない訳でもない
特別な人も
平々凡々な人も
命が有限であることは同じだ
そして、平々凡々に暮らせていない人もいる
僕はどうして上ばかり見るのか
生きたくても生きられない人や
その日の暮らしにも困っている人がいることを忘れている
しつかりと生きること
平々凡々を大切に生きること
そう考えると
生かされているのではないかと思えてくる
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