知らない町(10/5)

文字数 499文字

僕の知らない町で
僕を知らない君が恋をしたら
僕もなんだかうれしい

僕が知らない町で
僕の知らない君が殴られたら
僕は頬に痛みを感じる

知らなくても
思うことで
きっとつながる

君の知らない町で
君を知らない僕が恋をしたら
君も喜んでくれますか?

君が知らない町で
君の知らない僕が殴られたら
君は頬を摩ってくれますか?

知らなくても
どこかでつながれば
どうでもいいやが思いやりに変わる

僕が暮らす町では
君の知らない誰かがいつも
僕を指差して笑う

君が暮らす町では
僕の知らない誰かがいつも
君を傷つけている

僕は町を出ようと思う
君の住む町はどこなのかは分からないし
君が誰なのかも分からないけど
僕は町を出ることにする

恋をしたけれど恋にならず
殴られても殴り返せなかった
殴られてから
何も聞こえなくなり
この町は音無しになった

僕は町から逃げようと思う
君の住む町が在るのかどうか
君が在るのかどうか
何一つ分からないけど
僕は町から逃げ出すことにする

僕の知らない町で暮らす
僕を知らない君に恋をしたら
君の知らない町で暮らす
君を知らない僕が恋をしたら

やはり何も聞こえない

僕は君の知らない町で
僕は君ではない誰かを探そうと思う
いつか君に会いたいけど
今はその時ではない
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み