嫌いな人(10/4)

文字数 434文字

五十歳になったら
嫌いな人が増えた

好きになることはあっても
嫌いになることはなかったのだが
とつぜん変わった気がする

年々
人を好きになることが減っている
そんな気はしていたのだけれど
それは年のせいだろうと思っていた

男も女も
友情も愛情も
次第に機会もなくなり

ある日
嫌いが好きを追い越したのだ

好きになる熱量がなくなり
嫌いになる熱量が噴き出した

好きな人を嫌いになる
ということではなく
今まで隠れていた嫌いな人が
一気に表に出て来た感じ

度量が狭くなり
生理的に受け付けなくなった

自分の周りに
こんなにも嫌いな人がいて
見て見ぬふりをしていた自分に
腹立たしさを覚える

断捨離ということなのか
関係性を見直したくなったのだ

どうして
この人に関わらなければならないのか
どうして
この人はこんなに勝手なのか

見えていたはずなのに
見ないようにしていたものが
急に視界良好になって
見ないふりができなくなったのだ

もう我慢はやめよう

でも
嫌いな人のことばかり
考えている時間は無駄だとも思う

もう人を好きになることはできないのかな?
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