神々の黄昏

　室内の気圧が変化したことを感じて、僕は目を泳がせた。入り口はオートロックだ。キーキーキーと鼠の鳴き声。それは遠藤がからだを腰で折って発しているのだ。おかしくてたまらない、そんなふうに瞼をしわよせて閉じ、腹に両手を当てている。キーキーキー、キキッ。歯のあいだから出していたその音を口を大きくあけて解放して、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッッ、ハハハハハハッ、ワァッハーッ、ワハ、ワハ、呼吸困難になっている。
　僕の後ろでガチャリと音がして、気づくと僕の同僚、遠藤の弟タケルが昔のハンターがつかっていたような散弾銃を手に僕の背後にいた。そしてタケルの背後から、ピンポン玉を眼窩に無理につっこんだよな若い女がゆっくり歩みをすすめてくる。
「君島さん、どこにいきたい？」遠藤がやっと息をとりもどして涙を手でぬぐいならがぼくに天衣無縫の笑顔をむけた。