第20話 エピローグ

文字数 604文字

エピローグ

 魔女が消えた後、「ミラクルおてあて」で町だけじゃなく、苦しめられた人たちをみんな治した。
もちろん、太郎丸(たろうまる)君の優しい家族の人たちも。
そうするとバットはマスコット姿になり言った。学校に行こう、と。
彼の姿が薄れて見えるのは夕焼けのせいでも、私がメガネを失くしたせいでも、言い出せなくて涙で視界が歪んでいるせいでもないのだ。

 忍び込むようにして教室に太郎丸(たろうまる)君と入る。
どちらからということもなくキスをした。
あの声がきこえてくる。
私は光に包まれたが何も変わらない。
キスをやめて目が合うと、太郎丸(たろうまる)君は優しく笑ってくれた。
手をつないで一緒に廊下を歩く。
昇降口から外に出ると声がきこえてきた。

〈カウント・クリアー!!!〉

ぱちんと弾ける音がして色とりどりの紙吹雪が舞う。
魔法は終わったのだ。
バットはほほえむように目を細め、私の手の中から消えた。

 おかえりなさい、と玄関で出迎えた太郎丸(たろうまる)君に私はとびついた。
仕事帰りのスーツ姿はカッコいい。

「ご飯にする?お風呂に入る?それとも……」
「一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、それから……」

高校の時と変わらない笑顔を向けられると私も笑顔になる。
手をつないでリビングまで行く。
一緒にいると胸が高鳴る。
私のラブカウントはずっと続いていく。


ラブカウント21
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