足りない理由

文字数 490文字

私たちは4人家族です。
庭の木には、立派なリンゴが、毎日5つ実ります。

お隣さんは、子供のいない夫婦です。
夫婦は、懸命に働き、毎日2つの桃を買います。

ある日、お隣さんは、桃を1つ持ってきて
“リンゴと交換してくれませんか?“と言いました。

すると父が庭の木から、リンゴを1つとってきて、渡そうとしました。

お隣さんは、少し、悲しそうに
“私たちが、働いて働いて、ようやく手にした桃です“と言いました。

どうやら、
桃1つで、リンゴを2つ下さい。
と、いうことのようです。

父は顔を真っ赤にして、夫婦の足元にリンゴを投げつけました。
砕けたリンゴは、食べられません。
その上、夫婦の桃をひったくると、それを砕けたリンゴの上に落として、思い切り踏みつけました。
踏まれた桃は、食べられません。

すると、夫婦は泣きながら、私たちの庭に押し入り
リンゴを2つ、奪って、逃げて行きました。

今日、家には2つのリンゴしかありません。

今日、お隣さんには、1つの桃と、2つのリンゴがあります。

父は、ずっと怒りがおさまらないようで
“明日は、奪ってやる“と、ぶつぶつ言っていました。

分け合えば、余るのに
これでは、ずっと、足りません。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み