マシュマロがないから苦かった

文字数 286文字


僕と君とココアの食卓
いつもの朝
ココアに浮かべたマシュマロが
しっとりやわらかく
じんわりあたたかい
テーブルの端のラジオが言うには
今日は午後から雨らしい
いつも君が買ってくる
マシュマロの入った袋から
最後の1つをつまんで食べた

忙しい君は傘を忘れた
僕は2本の傘を持ち
君を迎えに街に出た
冷たい風が吹く夜の中
電話に出ない君の方から
短い文章が届いた
「今日は帰れません」
少しだけ文句を言った
少しだけ文句を言われた
「もういい」
最後の文章はあっけなかった
家に帰って横になる
いろんな考えが頭を巡る
知らないうちに朝が来ていた

君がいない食卓
いつもと違う朝
1人で飲んだココアは
マシュマロがないから苦かった
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