私は嘘つきだった

文字数 376文字

貴方が好きです。
彼は嬉しそうにしてくれました。

彼はそばにいてくれました。
私がワガママを言ったら
困った様に笑って、それでも聞いてくれました

彼は私が好きだと、毎日言ってくれました

ある日、私は体調を崩しました
彼は忙しい中、すぐに駆けつけてくれました
優しく抱きしめてくれました

私は入院しました
彼は毎日、私のお見舞いに来ました

来ないで

疲れた彼の顔は、笑顔を少しだけ崩して
それがとても悲しんでいる表情だと分かりました

もう来ないで

何度言っても、彼は毎日、来てくれました

鬱陶しいの。私の苦しさなんて分からないくせに
貴方なんて大嫌い

彼は、今にも泣きそうな顔で
私を抱きしめました

私の嘘に、彼は気付いていたのです

“いいんだ“

彼は絞り出す様な声で

“仕事なんて、どうでもいい。お金なんて、後からいくらでも稼げる“

私は、もう何も嘘がつけなくなって
彼に“ごめん“と何度も言いました。


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