第8話
文字数 8,636文字
ー後楽園ドームー
ワアアアー、と大歓声のスタンドを埋め尽くす人々・・・
ここは、かつての東京ドームを拡張改造して造った密閉型ドーム球場、リニューアル
した東京ドームである。新しくなったのでまた名前を変えよう、ということで
元々の「後楽園球場」と「東京ドーム」を合わせたような名前「後楽園ドーム」と呼ばれるようになった。
観客収容人数は9万人、コンサートなどではアリーナ開放で10万人を超える観客を収容できる大型多目的ドームスタジアムであり、アジア最大級でもある。
アナウンサー「さあ、もりあがってまいりました〔阪急タイガース×日就ジャイアンツ〕 伝統の3連戦を後楽園ドームから生中継でお送りしております。今日の先発は球速160kmの
解説は、俳優でハリウッドスターでもある〔ケン・ワタネベ〕さんです。
ケン「はい、解説と言いますかゲストです、どうぞ「ケンさん」とよんでください。今日はタイガースの勝利を実況中継いたします」
「いやいやケンさん、放送ですのでどちらかに偏ったコメントは自重していただきたいのですが」
「わたくしを呼んだからにはタイガースびいきの偏向報道をしろということでしょう?」
アナウンサー「・・・・(汗)」
アナウンサーはインカムで小声で叫んだ
「ちょっとー誰ですか?彼をチョイスしたのは」
ー対策室ー
新藤「よいまとけロボ、万世橋交差点を曲がり外堀通りに入りました」
鈴木刑事「やっぱりか・・」
歩行ミサイルは
宮川「現在のロボットの位置と方向、バッテリー予想残量から計算して、あと数キロしか動けないはずです」パソコンで調べていた宮川が答えた。
栗元「後楽園ドームで間違いない(98%)と量子コンピューターも判断しました」
「わかったわ、それで決まりね!命令!!」
確信を得たブルーは目を見開く、そして
いつのまにか瞬きではなく、声に出して叫んでいた。
「雲ジイ!」
雲ジイ(ホイホイ何じゃ?)
ブルー「なに浮かれてんのよ?場所がわかったわ、GFP緊急命令を伝えます」
雲ジイ(ほいきた)
ブルー「防衛省へ、アサガヤから陸自の災害派遣第2中隊をヘリボーンで後楽園ドームへ
展開!それと冷凍ナパーム弾使用解除、命令は緊急・第一優先」
雲ジイ(リョーカイ)
ブルー「つづいて、警察庁、消防庁、逓信(ていしん)省へ下命!
文京区、後楽園一帯を封鎖、交通規制、擬似情報拡散を開始。逓信サイバー部は携帯と
ツイッターのジャミングを・・あっ、それと報道管制も、特に週刊誌は入れちゃダメよ
ジンマガとかゲンザイとか、電子雑誌にナニ書かれるかわからないわ。
「記者」と「文士」は不良なんだからね(偏見)排除よ排除!」
雲ジイ(リョーカイじゃ、厳しくやるぞい)
ブルー「海上保安庁は東京湾の底を探索、わずかな証拠も見逃さないように。海自は日本近海に所属不明の潜水艦がいないか調査、ジャクサは衛星で不明航空機が物体投下してないか調べてちょうだい。
厚生省から官・民問わず放射線対応の医者と看護士を集めて、ドームへごーあへっど」
雲ジイ(リョーカイ)
雲ジイ(ちなみに何でブルーが直接各省庁に連絡しないのかというと、GFP捜査官の顔も声もさらすわけにはいかないからじゃ、わしが仲介して命令を伝える・・・万能ナビコンじゃからのーhahaha)
ブルー「そんなことはどーでもいいの、早くして!」(誰に言ってんのよ)
雲ジイ(ヘイヘイ、コンピュータ使いが荒いのう、まあ同時に全ての省庁に送れるから時間はかからんよ、高性能じゃからのうー)
あっけにとられて見ていた対策本部の一同、
はじめは何を叫んでいるのかわからなかったが、すぐにどこかへ命令を下しているのはわかった
栗元「彼女は誰に向かって叫んだんだ?」
鈴木刑事「やっぱり、外部と交信していたんだな」
原田「予想はしていたけどね」
新藤「クモジイって?」
鈴木刑事「コードネームでしょ、やっぱり」
宮川「しかし・・・」
その采配ぶりに警官たちは感心もしていた。
(スゴイな、ものの1分かそこらで全部の命令下したぞ)
(どこかの政府より行動が速いな)
(さすがGFP捜査官)
(公務員は見習ってほしいものだ)
(まったくまったく・・)
(あれっ、オレタチ何だっけ?)
ブルー捜査官は雲ジイとの通信を終えると、吉田警部のほうを向いて礼を言った。
「ありがとう警部、あなたのヒントでわかりましたわ」
吉田警部「えっ?ああ、
警部は少し苦笑いをしながら言った、これは警部なりの照れ隠しなのだろうか?
「さすがですね、こればかりは
ブルーはおせじではなく本心でそう言ってるようだ。
「何のことかわからんね?」
「いいえ警部、才能や能力に関してGFPはウソは申しません。本来、吉田警部の功績は素晴らしいものでした、あなたが今までに解決した事件の数々、それと同じくらい上官に握りつぶされた報告書や違法スレスレの捜査も・・」
「そんなことまで知っているのか?」
「評価されずとも、書いたり打ち込んだりしたものならたいていわかります。部下の皆さんのツイートや愚痴でさえ情報ですからね」
「・・・・」無言で聞いている吉田警部
首を上げ、ひとさし指を
「今のアドバイスといい、おわんの件といい、お礼をしなければいけませんわね」
そう言うとちょっと考えて、手をポンと叩く
「【警視監】のポジションでどうでしょう?」
オオオッと
「すごいぞ!」
やっと、やっと吉田警部の功績が認められそうなのだ、しかも日本の警視庁ではなく国際警察から、世界政府の組織から認められるだなんて前代未聞のことだ。
部下1(なあ警視監って偉いのか?)
部下2(警視正、警視長より上だ、警視総監のひとつ下、全国で70人しかいない・・って、おまえ知らないのかよ?)
ブルー「これはGFPに協力し、国家非常事態A級案件の解決になるかもしれない働きに対しての正当なる報酬です。まあ無事解決したなら、という条件付きですが。警部はなんら気にすることはありません堂々とお受けください」
鈴木刑事(解決したらならって、失敗したら全員吹き飛ぶんだが・・)
小声で話をする一同
原田「GFPなら警視庁の人事なんて簡単に変えられるのだろうなあ」
栗元「まあそうだろう、今はあの女学生が総理大臣の次に偉いんだから」
鈴木刑事「えっ、そうなの?」
宮川「ノンキャリで警視監になった人って?」
栗元「いないよそんな人」
取り巻き連中(うおぉ警部~うんと言ってくれ~)
吉田警部はあっけに取られた顔をしていたが、すぐに「ほうっ」と息をはき、おだやかだがマジメな顔をして云った
「せっかくだが
取り巻き「えっ!」
「それに、庁内でイスに座りっぱなしでは現場に行けないじゃないか」
それを聞いて、ニッコリと笑うブルー捜査官
「予想通りの答えをありがとう、そういうことならやめとくわ」
「警部ぅ~もったいないー」(うるうると涙目の取り巻き連中)
「ただし警部、あなたはそれだけの働きをしたことは事実です、もし1000万の都民を救った後には事件解決の関係者としてWGPOに記録されます。ただまあ日本政府には記録されませんが、皆さんは覚えておいてください」
ブルーは皆のほうを向いて話す。
「では、後はわたしにまかせてください、これより原爆ロボット解体作戦を指示します」
「えっ?」
「マジで?」
「作戦はこうです・・・」
「・・・・」
一同「ええっ、それが作戦?」
鈴木刑事「そんなんで核爆発を止められるのかい?」
吉田警部も、ブルー捜査官が何を考えているのかわからず驚きの顔をしている。
「チャンスは一度きりです、爆発前の一瞬を狙います。」
ブルー捜査官は、袖をごそごそとさぐると小さな吸盤をとりだした。
「じゃあ、ひと足先に現場に行ってますわね、都内の交通規制と後のフォローをよろしくー」そう言ってツカツカと奥の窓に向かうブルー捜査官
一同(な、何をするつもりだ?)
ぎゅうーと吸盤を窓に取り付けると、それを中心にブルーは窓に両方の指を出し、右手と左手でそれぞれ半円をなぞり円を描いた
ブルー「急ぎますのでここから失礼しますわ」
栗元(あれは・・最初に爪を手入れをしていたのはこのためか?)
鈴木刑事「つ、爪にガラス切りを仕込んでいたのか⁉」
ブルー「ただのダイヤカッターよ」
キュキュキューーぱかん・・窓が円形に切り取られ、抜くと、
ゴウッ、と風がまい込み書類の束を吹き飛ばした、皆は腕で顔を覆い一瞬見失った。
再び目を開いたときには・・・
ブルー捜査官は切り取ったガラスから吸盤を外し、切り取られた窓のへりに腰掛けて
笑顔で手を降っていた
栗元「おい、バカ危ないだろ、ここは10階だぞ!」
ブルー捜査官の背後には、上から見た東京の街並みが広がっている。
ブルー「皆さん、おわかりとは思いますが、今回のことは絶対極秘にお願いします。富士山の森で白い石ころになりたくはないでしょう?」
原田(し、白い石ころって何?)
ブルー「それではチャオチャオ~」
そう言って窓から飛び出すブルー
一同「うえぇ!」
落ちた・・・と思ったら
隣のビルから、ぴょんぴょん飛んでゆく着物姿のハイカラ女学生
鈴木刑事「今、とび降りたたよな?」
新藤「夢でも見ているのか、オレたち?」
原田「し、白い石・・だ、だから誰も現場から政府に報告しなかったのか」
鳥肌が立ってくる原田
栗元「GFPならできるだろうな、人一人くらい軽いもんだろう、実際にやるやらないかは別だけど」
鈴木刑事「とび降りたのに、なぜ無事なんだ?」
原田「あれは
栗元「軍用か?」
原田「そうだ、しかしあんな使い方?方向やバランスを一つ間違えたら頭からアスファルトに叩きつけられるはず、身体能力が尋常じゃない!一般人ではありえないよ」
その鳥肌は恐ろしいことを言われたせいか、または捜査官の人並みはずれた身体能力を見たせいか?どちらかはわからなかった。
栗元「GFPの捜査官とは、皆あんな化け物なのか?」
遠ざかってゆく一つの影を見ながら、みんな口をぽかんとあけるだけだった。
そのはるか後方から、カラ台車を引いて追いかける一台のロボ リキ車があった。
ムホーマツ「また、お嬢に先に行かれてしまったー」
ー後楽園ドームー
アナ「4回表巨陣打線、六番の井戸端、第四球め打った!センター右寄りの犠牲フライ、十分な距離です。サードランナーのサカモトが返って、ジャイアンツ2対1と1点リードしました、どうですかケンさん?」
ケン「むう、これは上手い打ち上げですね、地味に見えますがランナーを考えた職人技ですよ」
アナ「⁉ちゃんと解説できるじゃないですか」
ケン「何を言ってるんです、あたりまえでしょう、私はハリウッドスターですよ」
アナ「えーっと、ハリウッドスターと解説は関係ないと思いますけど、良いですその調子でお願いします」
ー対策室ー
ブルー捜査官が去っても対策本部は忙しかった、GFPの作戦を遂行するためである。
栗元「そう、白山通りから外堀通りまで封鎖だ、機動隊を回してくれ、空いた場所は大阪府警がカバーする、大丈夫、今回はできるんだ」
新藤「目立たないようにドームを囲んでくれ」
吉田警部「さすがおやっさん、もうできた?すぐにトラックを廻すから準備しておいてくれ、今度お礼はするよ、社員の皆も一緒に、わしのおごりだ・・」
「厚生省からです、医療班はどこから入れば?」
「警視庁が防衛省に命令していいのかだって?国際命令だ!政府公認だ!やってくれ」
「大臣の許可はいらん、とにかくすぐに行動してほしい」
「米軍から電話がきたけど、誰につなげばいいんだよ?」
もはやカオス、てんやわんやの状況だ
「最初とあまり変わってないじゃん・・」鈴木刑事がぽつりと言った。
そのとき対策室に声が響いた
「大泉、災害対策・復興政務官がお着きになりましたー」
ガタ、ガタ、ガタッ・・・・
皆、驚き起立、全員敬礼
キリリとしたイケメンの若い国会議員が入ってきた。
大泉政務官「あっ、そのままで良いです座っていてください。皆さんごくろうさまです」
だが気さくな青年といった感じでもあった。吉田警部が迎える、
吉田警部「これはこれは?政務官どのがいらっしゃるとは思いませんでしたな」
大泉政務官「いえいえ大臣でなくてすみません、核テロに首都東京が狙われているのに、防衛省ではなく警視庁が対応ですからね。政府が送った切り札は役にたちましたか?」
「えっ?いや、まあ・・」
みんな一瞬、
それに気づいた政務官
「あっ、いけない!政府が認めちゃいけないのだったね。じゃあえーっと、誰が呼んだかは知らないけれど、警視庁に来た協力者は役に立ちましたか?」
「ぷっ、ふふふ・・」と皆声を押し殺し笑った、一言でその場の雰囲気に溶け込んでしまう
大泉政務官、閣僚なのにえらぶったところがなく威厳もない、しかしあっという間に場になごみ昔からの仲間のようになってしまうのだ。
皆はホッとした、考えてみれば政府がWGPOに依頼を出したのだから知っていて当然である
栗元「すでに現場に向かっています」
大泉政務官「いやあ間に合わなかったか、日本にもGFP捜査官はいるんですねえ」
「役にたったというか、振り回されたというか・・」吉田警部も苦笑いである
原田「われわれも、驚きました」
政務官「一度会ってみたかったなあ、GFPの捜査官という人に」
吉田警部「テレビでごらんになれると思いますよ」
政務官「えっ?」
吉田警部「これから爆弾の解体作業が始まります」
「原爆を?」政務官は不思議そうな顔をした。
ー都内ー
日比谷通りの歩行者は、空を見上げながら言った
「今日は何だかヘリコプターが多いなあ」
ーグオオォ~、と飛んでいるC2輸送機内ー
隊員1「なあ、どうして中部方面隊の我々が、東京に空挺降下するんだ?」
隊員2「知るかよ、防衛大臣の直接命令ならやるしかないだろ」
隊員3「都内にって?これ演習じゃないだろ、実戦?実戦だよな」
機長 「降下ポイント後楽園上空!降下開始!」
隊長「キサマら無駄口たたくな、飛べ!ゆけー!」
うひゃー
降下してゆく空挺部隊員
ー地上ー
ザッザッザッ・・・ドヤドヤ(おおぜいの軍人さんたちが後楽園に集結中)
「普通科大隊は、ドームの各入口を封鎖!」
「東北方面隊・第6師団、到着しました」
「第12旅団、装甲車、前へー」
ドーム入り口付近の小隊がドアを開けると、ゴウッ、と強い風が中から外へと吹き出してきた・・
「隊長、この風は?」
「あわてるな、ドームの特徴だ」
後楽園ドームは密閉型タイプである、ドームは柔らかい丸い天井を維持するため、内部は外よりほんの少し気圧を高くしてある、だから外との境界ドアを開けると中から外へ風が吹くのだ、そのため機材搬送用入出口などは二重扉になっている。
ー後楽園ドーム内ー
ジャイアンツ1点のリードで、タイガース打線は四番の
レフト側スタンド「あー神様仏様コメスさま、なにとぞタイガースを勝たせてくだせえ」
ライト側スタンド「おまえら前世紀からそればっかり、他にないのかよ!」
「せからしかー」
「九州弁になってるぞー(笑)」
アナ「ヤジ合戦が盛り上がっているようですが・・ケンさん、ケンさん?」
見るとケンさんは興奮して立ち上がり、机に脚をかけマイク片手に叫んでいた
「いったれコメス!根性見せてみろおおぉー」
「ちょっとケンさん、落ち着いた解説はどうしたんです、それじゃあ飲み屋で飲んだ後の
虎ファンですよー」慌ててケンさんを抑えるアナウンサー
カキーン!! 米須打った!
「ああっと、コメスが打ったー初球をたたいた、打球はアーチを描きライトスタンドへ・・・入った~」
「よっしゃー!よくやったぞコメス、侍じゃ、おぬしこそ最後の切り札ラストサムライじゃ!」
「ケンさん、これは映画じゃありません、セリフが役がかってますよ」
「てがらを立てたなら
「いや、そうですけど。そうじゃない、中継なんですってばー」
「ワハハハ・・あっぱれじゃ」いつの間にか扇子を持ってるケンさん
(ダメだ、聞いてない)
後に、この中継の視聴率がうなぎ上りだったことを彼らはまだ知らない。
アナ「六回裏、終わりましてタイガース米須の本塁打によって同点に追いつきました」→CM
(やれやれ疲れるなあ、今日の中継は・・)
UUUU~~(サイレン音)
CM中、突然、球場内に電子サイレン音が響き渡りアナウンサーは驚嘆した、
(えっ、何だこのサイレン⁇)
バタンッ、と慌ててドアを開けADが放送ブースに駆け込んできた・・
ADは青い顔をして、手書きで書きなぐられた原稿を差し出す、
「はあはあ、こ、これでつないで下さい、それとプロデューサーからの伝言です〝試合は中止になった、だがパニックにならぬよう放送は続けろ”です」
「それはどういうことだ?」アナウンサーは叫ぶ、そのときADが開けたドアから見えたのは、完全武装した兵士5,6人が駆けてゆくところだった・・
(い、いったい外では、何が起こっているのだ?)
ー対策室ー
新藤「よいまとけロボ、ドームに到着しました!間違いありません」
栗元「そのままだ!攻撃せず、そのままドームに入れてくれ」
指示マイクに栗元は叫んでいた。
ー後楽園ドーム内ー
ボウン・・と煙が上がり、グラウンドの一角でショーが始まった。
にぎやかなBGM、後楽園でおなじみの戦隊モノだ!
「ただいまドーム内設備トラブルのため、試合は一時中断しております、もうしばらくお待ちください、それまでは戦隊ショーをお楽しみください・・・」
渡された原稿を読みながら、冷や汗でしゃべるアナウンサー
「イーッ」と黒い雑魚キャラ〝ニョッカー”があらわれ、ジャイアンツとタイガースのマスコットキャラを人質にとる(パターン)
「イーイーッ、フフフ・・」ふてきに笑うニョッカーたち、顔までマスクなのに何でわかるんだ?などどつっこんではいけない!その時・・・
「おまちなさーいぃ」
ものすごく高い回転ジャンプをして、ニョッカーたちの前に立ちふさがったのは、全身ピンク色のスーツを着た女戦士だ!
スタンドで観ていた、小さな男の子が指さして隣のパパに言う
男の子「見て、パパ『キルリュウジャー』の『キルピンク』だよ」
パパ「ぶっそうな名前だなあ、そんな番組を見るのはやめなさい」
男の子「えー、キルピンクは大きなおともだちにも人気なんだよー」
パパ「そういうおともだちに、なってはダメですよ」
~ピンクの中の人~
雲ジイ(なあブルーよ、これは本当に必要な演出なのかの?)
ブルー「必要よ!(断言)」「本当はブルーの方が良かったのにブルーを着たかったのに、女性サイズはピンクしか・・」
雲ジイ「そういう問題じゃないと思うのじゃが?」
「イーッ」キルピンクに襲い掛かるニョッカー達、戦うキルピンク「トウッ、ハイッ、トウッ」バシッ、ビシ、ポーン(ちぎっては投げちぎっては投げ)次々倒してゆくキルピンク
ケン「あれ?今の
アナウンサー「何がですか?ケンさん」
ケン「昔、監修の武術師範が動きで見せたことがあるのですが、本当の敵の討ち方というものに似ているような気がします」
ー対策室ー
宮内「観客を避難させたほうが良いのでは?」
栗元「もう手遅れだ、核が爆発すれば水道橋一帯が吹き飛ぶ、この
宮内「・・・・」
栗元「始めから・・
ブルー(そんなことはないと思うけどー)
ゴオオオォォンン・・・グラウンドの機材搬出入ゲートがゆっくりと開いた
ブワワァーと強烈な風がグラウンドから外へと吹き出す、二重扉のタイミングが合わなかったのか?
「キャ・・マスクが!」強風でキルピンクの顔のマスクが取れ、長い黒髪がこぼれた。
雲ジイ(バカモノ、顔を見せるな)
ブルー「もう遅いわ、原爆で蒸発したくなければ大したことじゃないわ!」
砂塵が舞うゲート逆光の中、3mの巨大ロボ登場!!
ブルー「タイミング時間バッチリ、ここからが本番よ」
キルピンクは腰に下げていた小さな筒を取り出した、
ブオン・・とうなり、青白い光が伸びてくる、装飾用の剣を手に持ったブルー(今はピンクだけど)
風で飛んできた1個の空き缶が、青白い剣に触れたとき一瞬で消えた。それをテレビで視ていた原田は見逃さなかった。
「あれは・・違う、あれは装飾用の剣なんかじゃない!」叫ぶ原田
一同「・・・?」
原田「青白く輝くプラズマ光?あ、あの剣は・・・NATO軍がもつ、究極の近接兵器
『電磁サーベル!』」
左目が光り、剣を斜めに構え、ロボットと対峙する撫子
「いらっしゃい、ボスキャラさん!待ちかねたわよ」
この後楽園の地に、
~つづく~(次回で了)