CARD 15

文字数 994文字

「俺は、コスト十のドラゴンを呼び出す!」
「コスト十! 最上級か!」
「灼熱の大地に、怒りの炎が燃え上がる! 全てを焼き払う、我が魂の燃焼! 今、その身に刻め! 《サラマンフリート・ムスプルヘイム》!」

 見ているだけで周囲の気温が高くなりそうなドラゴンだ。当然、それは幻想ではない。

「さあ真子…。俺はこの、《サラマンフリート・ムスプルヘイム》で直接攻撃を行う! コストは十。そしてお前の残り体力も十。ブロックしないという選択はないが……その手札はトリガーカードでもないんだろう?」

(な、何! 見透かされている、だと!)

 図星。この時の真子の手札は一枚のみで、それは《ドラゴンリベンジ》なのだ。

(しまった…! 詰み、だ…)

 この時真子は自分の負けを悟った。この攻撃を防いでも、《サラマンフリート・ステラー》の効果でダメージを受けてしまうし、そうなった場合、後続のドラゴンの攻撃を防げないのだ。

「……私は《ショベルの建築龍機》でブロックだ…」

 それでも最後まで、プレイをやり抜く。それが相手に対する敬意だ。

「おっと、この瞬間! 《サラマンフリート・ムスプルヘイム》の効果! ドラゴンとバトルする場合、俺の墓地のサラマンフリートの数だけコストが上がる!」
「そ、そんな効果があったのか…!」

 墓地に眠るサラマンフリートは、五体。よってコストは十五。コスト三の《ショベルの建築龍機》では、防ぎきれない。

「くらえ! クリムゾン・フューリー!」
「負け、た…」

《サラマンフリート・ムスプルヘイム》は真子の残り体力を、《ショベルの建築龍機》ごと焼き払った。


「決まりました! 勝者、小前田輝明選手! しかし山里真子選手も、熱い試合を見せてくれました!」

 司会はそう叫んだが、リュウシは、

「違う…。一方的だった! あの輝明ってヤツが終始リードしていた!」

 試合の本質を見抜いていた。

「あの人、強いね…」

 それは横にいた菖蒲も同じ。

(もし…戦うことになったら、俺は勝てるのか?)

 あの爆発力の高いデッキは、一気にゲームを終わらせる危険性が高い。そうなるとあの真子のように、自分のバトルができずに負けてしまうのだ。

(いいや! 勝てるかどうか、じゃない! 勝つんだ、俺は!)

 試合観戦は、リュウシのモチベーションを高めた。
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