CARD 61

文字数 2,335文字

「われの、ターン!」

 この時、枝垂のエネルギープールは十枚。

「われが召喚するのは、《災害竜タイダル・ウェーブ》!」

 効果で一枚ドローし、これでターンを終えた。
 輝明のターンだが、エネルギープールは九枚。先ほどのランデスが効いている。

「でもな! 俺はコスト九、《サラマンフリート・ブリムストーン》! 効果で《サラマンフリート・マーズ》を疲労状態にして、そのコストを自身に加算! これで二十七だ!」

 この高コストには、流石の《災害竜タイダル・ウェーブ》でも対処しきれない。
 しかし、

「われは手札からトリガーカード、《パラノーマル・ディザスター》を発動!」
「何だそれは?」

 今までに見せたことのないカードである。

「効果を説明する。われの場の災害竜を一体、デッキに戻す。そしてカード名が異なる災害竜を一体、デッキから場に出すのじゃ」
「入れ替え効果……?」

 輝明が驚いたのは、そのカードの効果ではない。枝垂がデッキに戻したカードである。何と、《災害竜ゲリラレイン》ではなく《災害竜タイダル・ウェーブ》を戻したのだ。

「育む潤しの代わりに、出でよ! 許されざる過ち、《災害竜グラウンド・ゼロ》!」
「な、何ぃいいいい!」

 強力無慈悲なリセット効果を持つそのカードの登場により、場のドラゴンが吹っ飛んだ。ただし、この効果で場に出たドラゴンは攻撃できないので、《災害竜グラウンド・ゼロ》が輝明を直接叩くことはない。

「まだじゃ。《パラノーマル・ディザスター》の効果! デッキに戻したのがコスト十の災害竜の場合。このカードは発動後、墓地に送らず手札に戻る」
「それじゃあ、次の俺のターンにまた効果を使えるってことか…!」
「その通り。次々とそなたに襲い掛かる災害に、果たして耐えられるかな…?」

 場のドラゴンが消し飛んでは、輝明はターンを続ける意味はない。

「われのターン…!」

 枝垂は新たにコスト七の《災害竜シンキング》を召喚し、攻撃に移る。がら空きの輝明の場を素通りし、直接攻撃が襲い掛かる。

「防げない……が! 俺がダメージを受けたことで、《アベンジドロー》を発動だ!」
「二枚のドローか。良かろう。だがな、《災害竜シンキング》がダメージを与えた場合、同じ数値分われは体力を回復する!」
「な……に!」

 この攻撃で輝明の体力は残り十八点。対する枝垂は、三十六点。倍の差がある。かなり絶望的な状況になった。

 しかしそれでも勝負は諦めない。

(既に場には、《災害竜グラウンド・ゼロ》がいる。同名カードは一ターンに一枚しか使えないから、《パラノーマル・ディザスター》で展開できるドラゴンは一体。それが何であれ、俺の場を荒らすことはない!)

 輝明もエネルギープールを十枚貯めた。

「行くぜ! 俺は《サラマンフリート・スーパーノヴァ》を召喚! そして効果発動! 俺の手札を全て捨て、捨てられたサラマンフリートのコスト分、自身のコストが上がる! 手札は二枚。両方ともサラマンフリートだ!」

 墓地に送られたのは、《サラマンフリート・ボイラー》と《サラマンフリート・ヴァイオレット》。よって《サラマンフリート・スーパーノヴァ》のコストは十二上昇。

「攻撃だ!」

 この攻撃が通れば、枝垂の体力を一気に減らせる。《災害竜グラウンド・ゼロ》でブロックすることもできるが、そうすればドラゴンを失うので、《パラノーマル・ディザスター》を発動できなくなる(厳密には《災害竜シンキング》を戻せるが、その場合は《パラノーマル・ディザスター》を手札に戻せなくなる)。

「……という考えだろう? 違うな! われは《パラノーマル・ディザスター》を発動し、《災害竜グラウンド・ゼロ》をデッキに戻す!」

 そして代わりに出て来たのは、コスト五の《災害竜ライトニング・ストライク》。その効果でさらにデッキから、《災害竜イエローサンド》を呼び出す。それは相手がコストを踏み倒してドラゴンを場に出した時に手札から出せるが、デッキに眠っていては意味がない、また、輝明はコスト踏み倒し系のカードをあまり使わないと判断したから、出した。

「そして、《災害竜イエローサンド》でその攻撃をブロック!」
「その手が、あったか!」

 攻撃は防がれた。おまけに枝垂の場には、コスト十の災害竜が残ってしまった。

「ではわれのターンじゃ」

 枝垂はコスト九の《災害竜ソーラーラジエーション》を召喚。ここで《災害竜ライトニング・ストライク》の効果が発動し、デッキから《災害竜プラントペスト》を場へ。

「まずは《災害竜ソーラーラジエーション》の効果発動! 自身を疲労状態にすることで、相手のドラゴンを一体選ぶ。それはスタートステップで回復できなくなる!」
「封じられたか……!」

 最後に、《災害竜シンキング》で直接攻撃。これでまた体力に差が開く。枝垂は四十点(カード・オブ・ドラゴンでは、体力の最大値は四十点であり、それ以上は増えない)、輝明は十一点。

「俺のターン!」

 手札はこのドローカードのみ、しかも《サラマンフリート・スーパーノヴァ》は回復不可能と、絶望すべき条件は全て揃ってしまっている。

「だが俺は諦めないぜ? スペルカード、《パワーオブドロー》発動だ!」
「いいだろう。だがドロー勝負でわれが負けるとは思えんな……」
「だろうな! でもこれしかないんだ、やるっきゃないだろう!」

 お互いに一枚ドローし、確認する。それがドラゴンであれば、コストを踏み倒して場に出す。

「ドロー!」

 まずはターンプレイヤーの輝明から。
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