第43話    本気で上を目指します

文字数 863文字

最高の合宿が終わった

僕達1年生の戦績は

1日目、2勝3敗1分

2日目、4勝1敗1分

そして3日目は5勝1分

チームとしても1人1人としても確実に力を付けた3日間だった



家に帰ったが足の痛みが酷くなってしまい

次の日、父さんと病院に行った



レントゲンを撮り異常は無いと聞き僕は安心した

念のためと言われMRIも撮った

先生は写真を見ると



「あーここですね。」



僕と父さんに見せながら



「疲労骨折です。しかも3箇所。」



疲労骨折?僕歩けるよ

骨折じゃ歩けないよね?

先生は続けて



「サッカーやってる子がよくなるんだよ。練習のしすぎだね。とりあえずギブスはするけど歩いたり日常生活には問題無いから。ただ暫く運動は禁止です。」



運動禁止?

もうすぐ1年生大会が始まるんだよ?

初めての公式戦でみんなで頑張ろうって

みんなで優勝しようって約束したんだ

シュート君みたいになるんだって

もっともっと頑張るんだって心に決めたのになんで?

僕は頭が真っ白になってしまった




帰りの車の中、僕は涙を堪えるのに必死だった

我慢したけど涙が出てきた

それなのに父さんは運転しながら鼻唄を歌っている

僕は父さんを睨みそうになった



「ぷっ。あははははっ。」



突然父さんが笑いだした

僕は全く意味が分からない



「練習のしすぎだって。空、凄いな。小学生の時は疲労すらさせて貰えなかったのに疲労骨折だなんて本当に頑張ってるんだな?本当に頑張らせて貰ってるんだな?」



父さんは凄く嬉しそうにしている



「でもすぐ1年生大会があるんだよ?出たかったよ。」



父さんは笑顔で



「それは悔しいよな?でもそこがゴールじゃないだろ?中学3年間て意外と長いんだ。少し位立ち止まる時間があっても良いと思う。」



「それに今の空ならきっとただ止まってる訳じゃないさ。足はダメでも筋力も体幹も鍛えられる。上に行くなら必要な事だろ?最近太ってきたし父さんも一緒にやるかな?」



父さんのあまりの前向きさに思わず



「ぷっ。あははははっ。そーだね?父さんも一緒に頑張ってよ?」



みんな、一緒に戦えなくなっちゃったけど頑張ろうね



僕、本気で上を目指します



そう心に決めた日だった
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