決戦!水上ジャンヌ

文字数 7,858文字

 その後、私達は、この世界のシナリオを一通りクリアし、エンディングを迎える事ができた。まるでVRゴーグル装着ゲームのように、眼前にエンディングのスタッフロールが流れる。そして、それが終わった後、視界が真っ暗になり、しばし無音の後、私達が眼を開くと…。

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「ここは…?」

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「元の世界に、戻って来たのか…?」

 どうやら私達は、二次元ギャルゲー世界での冒険を終え、三次元のリアル日本に帰って来られたようだ。


しかし、そこは元に居た2011(平成二十三)年ではなく…。

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2023(令和五)年 関東平野 武蔵野台地

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 そこは、私達が二次元に転移した日から、十年以上の歳月が過ぎた世界であった。


私達が二次元の世界を楽しんでいた間、リアルのほうでは、平成時代が終わって「令和」という新時代が始まっていた。


また、二次元の地球は、小惑星が衝突して荒廃した文明…という設定だったが、こちらの世界も随分と大変な事になっていた。


未知の新型ウィルスと薬害によって、未曽有のバイオハザードが引き起こされ、更に東ヨーロッパでは戦後最大の戦争が勃発していた。


そして「マスクを着用しているか」「予防接種を打ったか」という線引きで人間が選別されたり、著名人へのテロが頻発したりする、不気味な時代であった。

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「龍宮城から帰って来たら、こんな事になっているとは…」

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 その隣で十三宮顯は、携帯電話で各所に連絡を試みたのだが…。

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「どうやら、私の家が無くなっているようだ。リアルの私は、この十年間で、どこかに引っ越したかも知れない。あとは、誰かリア友と連絡が付けば良いのだが…」

 十年も経てば、メールアドレスや電話番号が変わっている人も少なくない。


しかも、この世界では、携帯電話が薄っぺらい形に変貌しており、韓国製の変なアプリケーションが連絡手段に使われていた。


それらを知らない私達が、十年もブランクがある現実の知人と再会するのは困難だが、どうにか一件、十三宮顯からの連絡に応答があった。


取り敢えず私達は、その人の所に向かったのだが…。

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吉祥寺(きちじょうじ) 幹雄(みきお)

「と…富田さん達、生きてたんすか?」

「生きてますよ、幹雄氏。そちらこそ『アイドルのATMにされている』のを『彼女が出来た』と勘違いする癖は治りましたか?」

 富田巌千代の数少ないリア友であり、東京 武蔵野市のミュージシャンである幹雄と合流できた。

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「幹雄君、以前と顔が違うような…?」

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「あー俺、実は整形したんですよ。そのために先日、韓国にも行きました」

「いやはや、十年も経てば何もかも変わるものだな」

「いやいや、驚いてるのは俺のほうですよ。だって富田さん達は、十年前に埼玉で死んだはずじゃ…?」

「…どういう事、詳しく教えて!」

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 そこで私達は、幹雄から事の真相を聴いた。


私達は、二次元に旅立った2011年7月下旬に、埼玉県 浦和市 緑区で死亡した事になっていたのである。


それも単なる行方不明ではなく、御丁寧に水死体まで発見されたらしい。


私達に「遺跡の池に飛び込めば別世界に逝ける」と語ったのは、あの女神らしき人物。


十三宮聖によれば、彼女は「水上ジャンヌ」という名の神霊であるらしい。


確かに、私達は別世界に転移できたものの、その代償が自分達の死で、しかも「自分達が死んだ後の現実世界」に帰されるとは…。

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「つまり、私達は…」

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「水上様には感謝しているし、事前に『契約条件』を確認しなかった私達の自己責任だが、まあ水上様に騙された…という面も無くはない、かな」

 法的に死亡した状態のままでは、身分証明書を更新できないので、学校にも職場にも入れず、このまま生活するのは難しいだろう。

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「どうする?」

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「こうして私達が生きている事実を、信じてくれる仲間に相談してみよう。幹雄氏のほかにも、連絡を取れる人が居れば良いのだが…あ、そうだ!」

「富田さん、どうしました? 俺にできる事なら、協力しますよ!」

「幹雄氏、今すぐ確認して欲しい連絡先があります!」
 そうして、私達が次に向かったのは…。

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「あ…あなた様は、まさか…!」

三浦(みうら) クリス(Chris)

「と…富田先生!? ど…どうしてここに!?」

「み…三浦先生!? どうも、お久し振りです!」

 この人物は、富田巌千代の学友にして恩師、歴史学者のクリス フレデリック フォン ミュラー、略して「三浦先生」である。

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「い…いや、違う! そんなはずは無い! あなた方は、十年前に死んだはずだ! わ…私は幽霊など信じない!」

「信じたくない気持ちは分かりますが、これが現実なのですよ」

「えっと、何があったのかと申しますと…」

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 三浦先生に説明中、ちょっと待ってね!

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「…そんなわけで、その水神様に誑かされてしまったようなのですよ」

「わ…私は神など信じない! この世界は全て、進化という偶然の産物なのだ! 神は死んだのだ!」

「その偶然こそが神の意志であった結果、私達は三次元から二次元に、そして三次元へとリープして来たんですよ、こっちは!」

 十三宮顯と三浦クリス…すぐ眼前に主人公が居るのに、二人だけでイチャイチャしやがって、間に挟まってやろうか!?

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「ならば富田先生。その神とやらが実在する事を示す、再現可能な証拠を提出されたい! あなた方お二人の目撃証言だけでは、証拠能力が低いと言わざるを得ない。私や幹雄氏にも観測できる、客観的な論証を挙げよ!」

「三浦先生とは長い付き合いですが、私が先生に、今までに一度でも嘘を言った事がありますか!? 聡明なる三浦先生なら、分かって下さるでしょうに…」

「あなた方が十年前に死んだのも、そして…その未確認生命体を目撃したというのも、確か埼玉の…浦和市 緑区でしたよね?」

「はい、そこです」

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「ならば今から、その事件現場に向かってやろうじゃないか! あの辺りは…遺跡が発掘された地区ですよね?」

「仰る通り。縄文~江戸時代の遺跡で、かつては湖面に鳥居もあり、龍神様が棲む常世への門だと言い伝えられています」

「ならば私に任せよ。私は歴史家だ、そういう物の扱いには慣れている。そして、その水神とやらの正体を…科学の力で暴いてやる!」

 こうして私達は、三浦先生の自動車に乗って、再び「あの場所」へと向かう事になった。


運転席に三浦先生、助手席に十三宮顯、後部座席に幹雄と主人公が座り、目的地へと疾走する…のだが、スピード違反で免停になりそうな速度、そして随分と荒々しい運転である。

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「…ところで、三浦先生。私が居なかった十年間、ほかの御友人などとは、どうされていましたか?」

「皆を纒めて下さっていた富田先生がお隠れになり、ほかの者達も次々と卒業・就職し、全体的に疎遠ですね。今は専らSNSで知り合った者達と連絡を取り合っています」

「ネットの人脈、ですか…どんな方々なのですか?」

「そうですね…女装している人とか、アイドルを追っ掛けている人とか。最近は、多重人格の女性が2~3名ほど現れて、対応に難儀している所です」

「…私が死んでいた十年間に、三浦先生の交友関係、一体どうなってんだよ…」

「神だの幽霊だの、そういう事は分かりませんが、お二方に一つだけ、言っておきたい事があります」

「なんです?」

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「生きていてくれて、ありがとう…これは、私の本心です」
「俺も、同じ気持ちですよ」

「ふっ…どう致しまして。こちらこそ、ありがとう御座います」

 そんな事より、もう少し丁寧に運転してくれと、三浦以外の3人は思った。

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決戦!水上ジャンヌ

全ての運命、失われた過去と未来を取り戻せ!

2023(令和五)年11月1日(水曜)聖者の日

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 その場所に(たたず)む、一人の女性。


彼女が手を僅かに動かすと、地下水の激流が道路に噴き出し、その真上に差し掛かった私達は、乗っていた自動車ごと吹き飛ばされた。


この地域は環境保全のため、コンクリート舗装されていない緑地が広く残されている。


そのため、空中分解した乗用車から四散するように落下した私達は、柔かい土壌に着地できたお蔭で、致命傷を負わずに済んだ。

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「だから後部座席もシートベルトを締めろって、いつも言ってるだろうが!?」

 そして、立ち上がった私達の瞳に映るのは…!

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水上(みずかみ) ジャンヌ(Jeanne) (うみ)

「あら、また逢いに来てくれたの? 嬉しいわね。どうかしら? 龍宮城の夢から覚め、現実に引き戻され、自分が死んだ世界で生き続ける屈辱は?」

「最高です! 水上様のような美しい女神に嵌められるなんて御褒美です! 私などで良ければ、もっと踏んで下さい!」

「…もう少し、空気を読んだ台詞を言ってくれないかしら…?」

「えっと…私達の命を奪った上に、十年後の未来に放置するなんて、話が違います! 私達の運命を、過去と未来を返して下さい!」

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「そうそう、そういう反応で良いのよ! それで、何を言おうとしたのかしら…あ、思い出したわ。私は、遙かなる平安時代の世に、人間達から忘れ去られ、誰にも信仰される事なく、千年もの孤独に耐えてきたのよ!お前達も、私と同じ苦しみを味わいなさい!」

「大丈夫ですよ! これからは私達が、あなた様と共にあります! 私が独りでない事を教えてくれた方々と同じように、今度は私達が、水上様を永遠の孤独からお救い致します!」

「ならば、その忌々しい十字架を今すぐ棄てなさい! 私以外の神を信ずるなど、認めない! 我こそが唯一の神だ、ほかには居ない!」

「えー、浮気禁止なんですか? 大目に見て下さいよー」
「人間の分際で、この私に…口答えするなぁっ!」
「ぐはぁっ! あ…ありがとう御座います! もっと激しく蹴り飛ばして下さい!」
「…いや、だから、そういう反応は頼んでいません…」
「www」

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 最早、何をしに来たのか分からない十三宮顯に代わり、三浦先生が前へと進み口を開く。

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「…お前か? 自称、神という輩は」
「同じ事を、何度も言わせないでくれる?」

「お前が、どこの怪しい宗教団体の教祖だろうと、そんな事はどうでも良い。だが、私の友である彼ら…富田先生達から、十年もの時と命を奪ったのが事実ならば、返してもらう!」

「ふふっ…その言葉を待っていたわ! やれるものなら、やってみなさい! 歴史を学んだ者ならば、少しは神話の智識もあるでしょう? 愚かにも神に挑んだ人間共が、悲惨な結末を迎える事…お前達なら知っているだろう!」

「そんな物は、王権が人民を支配するために捏造した、作り話に過ぎない! いや…もし仮に実話であったとしても、所詮は過去! 人類の…我々の未来は、神などではなく、我ら自身で切り開き、掴み取ってみせる!」

 やれやれ、全く誰が主人公なのか分からないよ。

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「そこまで言うなら、相手になってあげるわ。でも、果たして私に触れるのかしら? さあ出て来なさい、我が忠実なる眷属よ…!」

 水上ジャンヌの背後、その空間に複数の穴が空き、内部から大勢の人影が…!

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東山(ひがしやま) 備中(びっちゅう)

「「我ら東山軍、水上様を援護し、ターゲットを攻撃する」」

「あ…あれは、量産型備中!?」

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「まさか…二次元のキャラクターを、現実世界に転送させる…だと!? これが、神の力…!」

「あー、そう言えば…こっちの日本は銃刀法が厳しいから、あなた達も大した武器なんて持ってないわよね? じゃあ、これを上げる。あなた達が、向こうの世界で使っていた物よ。ほら、受け取りなさい!」

 自動小銃やレーザー剣など、私達が二次元の世界で使っていた武器を、背後のゲートから取り出し、私達に向けて放り投げる水上ジャンヌ。


どうやら私達、完全に舐められている…。

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「「戦闘開始、全てを破壊する」」
「来るぞ!」

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「あーもう、やるしか無い!」

 私達は、二次元の世界に居た時、十三宮カナタの四国シナリオを攻略するため、東山備中の軍勢と戦うミッションもプレーしている。


その経験に基づき、今この瞬間の現実世界でも同じ要領で、量産型備中の大群に斬り掛かった。

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「…奴が用いている背後の新兵器は、物質を異次元の出力先に転送させるゲート…ならば、入力元の位置情報を…」

「三浦先生、何をしている!? 戦闘に集中して下さい!」

「これだけじゃ足りないかしら? じゃあ、もっと楽しませてあげる!」

「た…大変です! たった今、ロシアが日本に宣戦布告し、多量の戦闘機とミサイルが、東京方面に急接近しているとのアラートが…!」

「な…なんだって!?」

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「馬鹿な!? 奴らは今、ウクライナのほうに居るんじゃなかったのか!?」

「私の眷属が、ここにしか居ないなんて…言ってないわよ? この子達は既に、全世界中に潜伏し、行動を始めているわ。政府も軍隊も、国家を丸ごと乗っ取れるのよ! 今頃、モスクワキエフも、北京平壌も、ワシントン東京も、全て備中達が掌握しているわ。後は、私の意のままよ!」

 二次元の量産型備中を、現実世界の地球に送り込み、国家のコントロールを奪い、最終的には全人類を自らに隷属させる…それが、水上ジャンヌの野望なのだろう。

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「次は何して欲しい? 核ミサイルでも撃たせてみようかしら? ねえ、どの国を滅ぼしたい? 誰が死ぬのを見たい? あなた達に選ばせてあげるわよ。さあ、選びなさい!」

「…やはり、人は神には勝てないんだ! もう降伏しよう! 私達が死ぬだけならば、まだ良いが…この世界を、人類を破滅へと巻き込むわけにはいかない!」

 十三宮顯が武器を捨てようとした、次の瞬間…!

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「…この座標で、間違い無いはずだ! 幹雄氏、頼む!」
「了解、命令コード実行!」

 三浦先生の指示を聴いた幹雄が、やたら高性能そうなノートパソコンを操作し、最後にエンターキーを打ち込む。


すると、水上ジャンヌの背後にあるゲートが再び開き、その中から光と共に…。

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「皆、大丈夫? 助けに来たよ!」

「ここが、平成・令和時代の日本、ですか…いやはや、世界は一つだけではないという古来の説は、やはり本当だったのですね…あ、皆様。取り敢えず、呪術でお怪我を治しますので、少々お待ちを…」

「全く…時空の彼方でも戦わなきゃいけないなんて、さすがの私も面倒に感じ始めているわよ。差し当たり、あの次元ゲートをどうにか広げて、私達の戦闘機もこっちに転送できるよう、鳥羽(とば)魅兎(みうさ)ちゃんに頼んでおいたわよ。ついでに、四国の子達も呼んでおいたから。まあ、そういうわけで…サフィルスⅠメーテルリンク、交戦!」

虚人東山軍の残党と、その黒幕である『アズサ』という人物が、ジャンヌ様を唆し、私達の世界を、異次元から蝕もうとしている事が発覚したわ! 瀬戸内海からバーチャルに、そしてメタバースの次は、よりによって別世界に転移し、東山軍の高度な科学技術を、ジャンヌ様の神力と融合させていたなんて…懲りないわね。でも、その野望もここで終わりよ…ハンター零、交戦!」

「十三宮カナタ改め鷺原イズミ、未来から援軍に参りました! ジャンヌさんの目的は、次元転移ゲートの技術を悪用して過去にタイムトラベルし、かつて自分が碓井(うすい)(えんじゅ)ちゃんに退治された歴史を、改竄してしまう事です! 顯先輩と士官先輩、お二人が2011年から2023年にリープさせられたのは、その技術を確かめるための実験台だったんです! あたし達の過去を、そして未来を護るために…天狗中隊ハンターⅣ、交戦!」

「な…量産型備中の次は、ゲートから味方が出て来た…!」
「こ…これは一体、どういう事?」

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「ジャンヌさんのゲートに、バグを送り付けてハッキングしたんすよ。二次元から敵キャラを召喚できるなら、味方も呼び出せるんじゃないかと思いましたが、予想通りでしたね」

「そんな事、簡単にできるのか…?」

「あの次元転送ゲートは、明らかに遥か未来の技術で、操作には高度な情報工学が必要です。古代の旧神である水上が、あんな機械を使いこなせているとは思えない。恐らく、備中やアズサの指示に従っているだけで、本人はゲートの設計図も、その脆弱性も充分に理解していないはず。ゲートを構成するプログラムを解析し、そのセキュリティーホールを発見できれば…と思いまして、幹雄氏に頼んでみたのですが、さすが有能ですね」

「俺のハッカー歴を舐めないで下さいよ。まあ、ここまでセキュリティーが脆弱とは思いませんでしたが…」

「おのれ…人間の分際で、神の力を偸盗(ちゅうとう)するとは…お前達、生きて帰れるとは思うなよ…!」

「さあ、ここからは総力戦です! 皆の力を結集し、水上様をお止めしましょう!」

「どこかに、量産型備中の制御装置があるはず! それを破壊すれば、東山軍が別世界の歴史に干渉するのを阻止できるわ!」

 こうして、遂に最後の戦いが始まった。

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「かつて皆が、あたしを救ってくれたように…今度は、あたしが皆の未来を護ります! ジャンヌさん、お覚悟!」

 鷺原イズミの斬撃「焔纒(ほむらまとい)」が水上ジャンヌに、直撃こそしなかったが側面を掠り、装束の袖を僅かに焼け焦がした。

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「あ…熱い! いやぁっ!」

「ジャンヌが取り乱している…もしかして、火に弱いのかしら?」

「水上様、苦しそう…早く仲直りして、この戦いを終わらせないと…そのためには、あっくん達が死んでしまった過去を、本来あるべき形に戻さなきゃ…!」

「幹雄氏、次のコードを頼みます!」
「任せて下さい! これで合っているはず…行けーっ!」

 幹雄が再び、ゲートへの遠隔操作コードを入力すると、ゲートの形状が歪み、奥に見える光の色が変わり始めた。

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「富田先生・分隊長! 今です! あのゲートに飛び込んで下さい!」

「どういう事ですか!?」

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「二次元世界に接続されていたゲートの行き先を、2011年の現実世界に切り替えさせました!」

「それって、つまり…!」

「はい! あのゲートに飛び込めば、2023年から2011年に逆リープできます! お二方が2011年の世界に戻り、そこで生き続ければ、あの年に死んだという過去の歴史自体を変えられます!」

「了解した! 相棒、一緒に行こう!」
「ああ!」

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「あたし達も、早く量産型備中の制御サーバーを破壊して、元の世界に帰らないと…まずは、お二人の脱出を援護します!」

 水上ジャンヌが、鷺原イズミの砲火攻撃で弱体化している間に私達は、2011年へと接続された次元転移ゲートに向かって走り出す。


しかし、なおも残存する量産型備中が、行く手を阻む。

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「巌千代…いや、顯君! 私が敵を引き付けるから、あなたが先に行け! 顯君が突破したら、すぐに私も追い掛ける! さあ、早く!」

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「かたじけない! 分かった、私が先に行く! あなた様も、必ず付いて来てよ!」

「ああ、もちろんだ!」

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 主人公達が東山軍に最後の攻勢を仕掛けている間に、十三宮顯がゲートへと駆け出した。


しかし、幹雄によるハッキングは長続きせず、バグ修復モードに移行したゲートは、空中に浮かんだまま縮小し始め、その門を閉ざそうとしていた。


そして、そのゲートが浮かんでいるのは、全ての始まりである、あの遺跡の池、その湖面に建つ鳥居であった。


台地の端から駆け飛んだ十三宮顯は、空中でレーザー剣を構えた。


そして、閉ざされつつある次元の扉を抉じ開けるように、それを振るった。

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「…人は、神には敵わないかも知れない。だが、運命を乗り越える事は…きっと、できる! 私は今、自らの過去を、未来を、現在を、己が運命を…取り戻す!」

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登場人物紹介

【久遠実成】とさみや かんなぎ めぐみ

十三宮 巫部 仁

関東州 相模県 箱根町


・一人称「私」「めぐちゃん」

・二人称「あなた」「君(キミ)

・地位 同級生

・専攻 日本文化史(国語・日本史・倫理)

・属性 

・武技 庖丁・雷撃

・愛機 SCPX-02「自転火車(クラスター爆弾)


 主人公「あなた(夢小説)と共に箱根東京大森で幸せに暮らす、清純な巫女さん。母は十三宮命、姉は十三宮聖十三宮勇


「私、めぐちゃん! 大好きなあなたの、お嫁さんだよ^^」

【救世菩薩】とさみや いずのかみ ひじり

十三宮 伊豆守 聖

東海州 駿河県 伊豆郡 伊東市


・一人称「私」

・二人称「あなた

・地位 お姉ちゃん

・専攻 宗教哲学(神学修士)

・属性 

・武技 クリスタルタロット・雷撃

・愛機 SCPX-01「飛行箒木(大型爆弾)


 あなたの優しいお姉ちゃん、伊豆などで日本帝国自由天主教会(十三宮教会)を率いる神官(司祭→主教。母は十三宮命で、双子の十三宮勇、妹に十三宮仁が居る。


「あなたのお姉ちゃん、十三宮聖ですよ^^」

【正教非戦】すざき Gratia ゆうな

須崎 グラティア 優和

関東州 相模県 小田原市


・一人称「私(わたくし)

・二人称「使徒様

・地位 修道院長

・専攻 海洋学

・属性 

・武技 パワーストーン(アクアマリン)


 相模湾修道院で働く司祭だが、理系出身で海洋学にも詳しい。


「神様、お金が欲しいです…!」

【心焔文殊】みほのせき だざいのしょうに てんま

美保関 大宰少弐 天満

関東州 東京府 東京市 大森区


・一人称「あたし」

・二人称「分隊長

・地位 下級生

・専攻 軍事学

・属性 

・武技 レーザー剣

・愛機 ステルス戦闘機ラプター(高機能ミサイル)


 隕石による出雲 松江市の壊滅後、十三宮聖に保護されて東京大森へと移住。アプリコーゼン義勇軍の第三中隊(ポタージュ中隊)を率いる、正義感(と色情欲)の強い爆乳美少女。


「胸の豊かさは心の豊かさ、あたしなら隊長の期待に応えられますよ!」

【戦原維新】あららぎ むきょう

塔樹 無敎

関東州 東京府 東京市 大森区


一人称「自分」

二人称「隊長

地位・後輩

専攻・情報数学

属性・

武技・電磁レイルガン


 元来は「蘭木 訓」という学生だが、自らの存在をサイバースペースへと移す実験に成功した「バーチャロイド」であり、アプリコーゼン義勇軍の第四中隊に所属。


「世界の未来を、隊長と共に…!」

【五族協和】だいかくじ きらひめ

大覚寺 雲日女

関東州 東京府 東京市 麹町区


一人称「予」

二人称「あなた様

地位・女帝

専攻・経済学

属性・

武技・パワーストーン(ダイヤモンド)


 大覚寺元化の皇女、日本帝国の初代皇帝「光復女帝」。

法と民意に基づく議会政治を尊重し、必要に応じて助言する。

臣民との交遊を楽しむ爆乳お姫様。


「あなた様のお体、予の胸に包み込んで差し上げます…

【天道顕現】ひもと だいしょうこく たける

日基 大相国 建

関東州 東京府 東京市 麹町区


一人称「私」←(俺)

二人称「貴様

地位・太政大臣

専攻・政治史

属性・

武技・鉄剣

愛機・F/A-22A「ラプター」ステルス戦闘機(高機能ミサイル)


 日本人民共和国に従っていたが、アメリカ連邦に亡命し、米軍と共に人民共和国を崩壊させた、現代日本の英雄。

自由党を結成し、日本帝国の最高権力である太政大臣(大相国)を務める。

敬虔なキリシタン信仰に基づく、強固な使命感を持った政治家だが、自己だけでなく他者にも厳しい性格。


「私が切り開く新時代、それこそ貴様が物語るべき神話だ!」

【偶像崇拝】よしの Iolite すみれ

吉野 アイオライト 菫

西海道 筑紫県 筑前郡 大宰府


一人称「菫(ちゃん)」「アタシ」

二人称「プロデューサーちゃん

地位・西海道首相

専攻・芸術学

属性・

武技・両手剣

愛機・F-15S/MTD戦闘機(高機能ミサイル)


 九州グラビアイドルであり、日本帝国の西海道首相(民主社会党)なども務めた。

どんな仕事も真剣に取り組むが、自身の爆乳ボディーを人気獲得の武器として積極的に利用し、ファンへの大胆なサービス(枕営業)など、極めて開放的な性格を魅せるポピュリスト。


「菫の体、好きなだけ揉んでイイよぉ♪ プロデューサーちゃん

【青鳥開眼】とさみや Maeterlinck いさみ

十三宮 メーテルリンク 勇

関東州 禍津日原総督府


・一人称「私」

・二人称「分隊長君

・地位 中隊長

・専攻 航空工学

・属性 

・武技 銃剣

・愛機 艦載ステルス戦闘攻撃機ライトニング(対艦ミサイル)


 十三宮命の娘、十三宮聖の双子(当時はトサミヤ教団内の極秘出産で、厳密な姉妹関係は不明)十三宮仁の姉。宗教的平和主義者の聖よりも現実的・右翼的な思想を持っており、津島長政から軍事訓練を受け、禍津日原総督府駐屯軍に仕官し、航空戦部隊と特務機関に所属、後には東京政府の権力にも影響を及ぼす女傑となるが、全ての勝利は天下泰平のためであり、最期には自身の生命さえも捨て駒にした。敵・味方を瞬時に識別する能力があり、落合航ラズール中隊で活躍した後、自らサフィルス中隊のリーダーを拝命し、艦載ステルス戦闘攻撃機「ライトニング」を駆使して戦い、遂には彼女専用の試作機「アスウェル零式」までもが特注されるエース。主人公に悪戯をしたりするが、カップ麺も調理できないほど壊滅的に女子力が低く、政治・軍事以外は色々と抜けているのが不安。


我抗うならば

【暴飲愚者】AWACS Krystalos

空中警戒管制機 クリスタロス

関東州 禍津日原総督府


・一人称「私」

・二人称「分隊長

・地位 指揮官

・専攻 情報工学

・属性 

・武技 電子戦

・愛機 パシフィック管制機(ECM)


 旅客機を軍用に改造した空中警戒管制機で、日本国民軍の禍津日原総督府駐屯軍に所属。小惑星の破片が衝突した隕石クレーター(禍津日原)の上空を哨戒しており、有事には落合航十三宮勇などの部隊を指揮する。敵軍の攻撃が届きにくい高度を飛行しており、地上の司令部が壊滅しても上空から作戦を継続できるほか、敵のレーダーや無線通信を撹乱する電波妨害(電子戦機)機能も搭載できる。一見、冷静に任務を遂行する生真面目な性格だが、正体は割と優しい豊乳お姉ちゃんであり、頼めば(色々と)遊んでくれるらしい。


「分隊長、交戦を許可する」

【海天富猫】おちあい Lazur わたる

落合 ラズール 航

関東州 禍津日原総督府


・一人称「俺」

・二人称「貴様

・地位 司令官

・専攻 戦史

・属性 

・武技 機関砲

・愛機 スーパートムキャット艦載戦闘機(長距離高機能ミサイル)


 世界大戦に出征後、中南米(ラテンアメリカ)に亡命していた落合翔(かける)の子で、昼は『新約聖書』と『銀河鉄道の夜』を愛読し、夜は南十字星座に瞳を輝かせながら育った。日本人民共和国崩壊後、西宮堯彦に従ってクレーター復興庁に所属(少佐)禍津日原駐屯軍基地司令官禍津日原総督海軍大臣を歴任し(中佐→大佐)、退役後も羽田国際空港に勤務。アメリカ連邦で海軍訓練を受け、日本国民軍ラズール中隊(第13海上空戦隊)エースとして、空中警戒管制機クリスタロスの指揮下に配属され、艦載戦闘機「スーパートムキャット」を自在に操る。幼くして天主教会に受洗し、敬虔な騎士道を胸に戦場を駆け抜ける…が、成人男性なのに美少女にしか見えず、何故かランジェリー下着である。


「俺も貴様も、天主と共に戦う!」

【塵勞御霊】くろさわ がしょうだいし ほうがい

黒沢 俄勝大姉 蓬艾

関東州 東京府 東京市 呑川


・一人称「私(わたくし)

・二人称「あなた様

・地位 武官

・専攻 宗教哲学

・属性 

・武技 尻尾鞭

・愛機 ステルス戦闘機ブラックウィドー(高機動ミサイル)


 禍津日原総督府の特務機関に拾われている、夜叉天狗の如き爆乳妖魔。


「黒沢俄勝と申します、お見知り置きを…合掌」

【滅思颯空】けやき ながとのかみ やえ

﨔木 長門守 夜慧

山陽道 周防県 長門郡 萩市


一人称「俺」

二人称「お前

地位・後輩

専攻・芸術学

属性・

武技・付け爪・時間停止

愛機・Su-47「ベルクート」戦闘機(長距離ミサイル)・Su-37「ターミネーター」戦闘機(高機動ミサイル)


 人工爪を装着した接近戦を得意とし、時間の進行を遅らせ、敵の武器やスキルを奪い取る超能力少女。

長州の出身だが、東京大森のアプリコーゼン第三中隊に「ポタージュⅡ」として参加する事も。


「…それでも、俺は…お前と共にある世界の愛とやらを、信じてやるよ!」

【天孫射命】さいぐう ほしみ

斎宮 星見

(レミ)


―少年飛行兵は風船爆弾の夢を見ない―

 近畿地方に暮らし、伊勢天照神宮に仕えていた少女。

和国の神々を祀る立場から、関西の畿内軍閥と協調していたが、東京政府との内戦が激化する中、東海道の津島長政に保護され、関東に脱出した。

神戸生田兵庫と共に、東京大森へと移住し、地上戦を担う義勇軍第四中隊に所属。

周囲に強力なエネルギーを発生させる「電戟ラケット」を駆使して戦い、豊かな胸が激しく揺れる

【神世黙示】うらじお Michael

浦塩 ミハエル

ロシア共和国 極東シベリア管区 沿海州 ウラジオストーク市


・属性 

・武技 対戦車ロケット砲

・愛機 SCPX-01「飛行箒木(大型爆弾)


 蝦夷島(北海道)を占領するロシア軍の指導者。軍需産業「アフィリランド」を経営し、新兵器の開発・販売に取り組む。電磁レールガンレーザー兵器のほか、人工地震や「気象兵器」なども実験しており、十三宮教会の「魔法(SCP)兵器」(飛行箒木・自転火車)や、虚人東山軍の量産型ドロイドにも、彼女の機関が関与していると言われる。迷える人間達に武器を授け、それによって引き起こされた戦争を見届ける「偽の救世主(アンチクライスト)」。


「戯れましょう、始まりにして終わりの時まで…!」

【太上帝君】たきやま みき

滝山 未來

RP-MUSIC「創造主”神の右手と、悪魔の左手を持つ人間”

月宮怜


 

 

【存在不明】ぜんじょうもん ねねか

禅定門 念々佳


【造反有理】とおの Phoinix まもる

遠野 フォイニクス 衛


瀬笈《せおい》 緋夏麗《あかり》


 1300年以上も生きている天使だが、今は現世に留《とど》まって十三宮《とさみや》教会軍に属し、地上に正義を実現すべく戦っている。天使とは思えぬ長短の兵装での暗闘を得意とするが、天使なので人間の感情に疎い所がある。

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