観天察人

文字数 7,937文字

Planet Blue kaleidoscope

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 ある教育機関の、ある研究室。

そこで昼夜を問わず、ある時はペンで、ある時はキーボードで、またある時は口頭で、何かを記録し続ける者が居た。

それが論考なのか、日記なのか、はたまた小説なのかは分からない。

分かっているのは、そこに章と節と、そして本文があるという事だけだった。

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大牧(おおまき)実葉(みのは)
「文明がまだ未発達であった時代、人が生きる目的はまず何より、食糧を獲得し、生き残る事それ自体にあった。それから永い年月を経た現代、人生に明確な意義を求め、時代への意志を貫こうとする者は少ないように思われる。いや(むし)ろ、どんな形であれ目的自体は存在するにせよ、ただその事に気付いていないだけかも知れない」

「この物語に登場する人々もまた、激動の時代の中で自らの心と向き合い、それぞれの進む道を選んで行った。大海原に囲まれた、大陸東端の弧状列島。そこに生きるあなたと、人々が紡ぐ現代の神話」

「著者の自己紹介が遅くなってしまいました。私の名は大牧実葉、一応学校の教諭という肩書を持っている者です。もっとも、あなたがこの文章が目にする頃には、この世に居ないかも知れませんが…」

「本書の前書きを兼ねて、私のこれまでの経歴を少し説明させて頂きます。格別自慢できるような人生でもありませんが、いま私がこれを書いている理由を説明するには、どうしても『あの日』の事に触れる必要があるからです」

 2649(光復元)年夏、外東京コミューン

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「私がまだ幼かった頃、空一面が烈火に染まり、世界が終わった日の事を覚えている。人民学校の窓から外を眺めると、そこにあるのは降り注ぐ無数の石の破片と、火の海と化して行く大地。何が起きているのかも分からないまま、私は校舎を飛び出し、両親が囚われている収容所を探して、殺戮の大地を走り続けた」

「また一つ、また一つと爆発音が聞こえ、そのたびに耳を塞いで目を閉じ、次に見た時には、さっきまで居た人が、建物が無くなっている。私もいつ死ぬか分からなかったが、その時はそんな事を気にする暇も無かった。とにかく両親に会いに行かなければ…その気持ちだけが私を動かしていたらしい」

「そして遂に、私はその場所に辿り着いた。けれどそこに、両親の姿は無かった。会える(はず)も無かった。収容所その物が、隕石で粉々になっていたのだから…それを知った瞬間、自分がどんな言葉で慟哭したかはもう覚えていない」

「確かなのは、私の心身がその時既に限界だったという事だった。血まみれの全身に灼熱が追い打ちを掛け、程なく私の意識は闇に沈んだ」

遠野(とおの)フォイニクス(Phoinix)(まもる)

「…まだ生きている! おい、しっかりしろ!」

「誰かの声が聞こえる。身体が重力から解放されていないし、どうやら自分はまだ死んではいないようだ。そして、隕石の爆発とはまた別の、何か騒々しい事が起きている」

「気付けば、そこは戦場になっていた。左手にはこの国を治めている人達が、右手には彼らを倒すべく海から渡って来た人達が。そして目の前には、私に手を差し伸べる人の姿が。どんな顔をしていたかは良く覚えていないが、ともかくその人は私を拾って、どこかへと連れて行った」

「そして爆心地から離れ、少しだが温度の下がった所に、傷だらけの私を休ませた。その人のほかにも何人か、仲間のような人達が居た」

「共和国はもう終わりかも知れない。けれど、そこに生きる民衆が居る限り、希望は…少女よ、お前もその一人だ…死ぬなよ!」

「後に私は、この人達が日本人民解放軍、つまり政権側の軍人であった事を知る。もしあの人が生きているなら、ぜひ一度会って見たい者である」

「それからもう少し成長した後、(ようや)く私は事の次第を理解した。私が生まれ育った国『日本人民共和国』は、あの日の隕石と、それに続く内戦で消滅した。そう、それはほかでもなく現代史に『七月革命』と記された事件であり、私はその時、外東京コミューンに居た者の生き残りである」

「私は全てを失った。両親も、友人も、学校の先生も、地元の人民公社も、私が知っている人の大半は死んだ。そして、永遠と言われた祖国までもが消え去った。けれど…私は生き残ってしまった。どうして、どうして私のような者だけが…」

「あの日から、もう20年近く経つ。その間に、私は多くの経験をした。本来ならば、あの日の隕石で死んでいた筈の私。私は幾度も、自殺未遂を繰り返した。けれど…偶然か必然か、とうとう死ぬ事はできなかった」

「私は科学者や宗教家に片っ端から会って、人が生きる目的について()いて回った。私が求めている『答え』は、そのどれか一つ、どちらか一方ではなく、一見相対する両方にあるのではないか? そう考えた私は、私が生きているこの世界と向き合い、それを通して自分自身と向き合ってみたいと思い、誰でも入れる名も無き三流学校に(しばら)く通った」

「そして今、私は無名の自称学者と成って、あの日のクレーターの上で、教壇に立っている。一度死んだ人間が歴史の主人公に成ろうとは、生意気な話である。けれど、歴史の傍観者に成る事ならできよう。恐らく今の私にできる事は、それしかない」

「不治の病が日に日に身を蝕む中、私は生涯最後の研究として、一冊の本を書く事を決意した。七月革命から東アジア地中海戦争に至るこの国の歩みを、私はこの場所からずっと見続けて来た。その激動の時代と対峙して来た、人々の軌跡も」

「それを後世に語り伝える事こそが、私に残された使命であると信じている。それが成し遂げられるまで、私の命脈が持ち(こた)える事を願ってやまない…」

禍津日原第四学校

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 2669(光復二十一)年4月、禍津日原(まがつひはら)第四学校

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 ラテンアメリカ支局より、新しいニュースが入りました。

カリブ海・西インディアス諸島のセントルシア島において、自称「アイドル」気取りの虚人芸者(無職)による、新人歌手への不適切な行為が発覚し、無事に炎上しました。

なお、今から消火しても間に合わん模様。

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「…虚像の仮面で偶像に成り切っても、所詮は生身の人間。今日も綺麗に燃焼しているわね…本当に、哀れな子達」

 ここは20年前…2649年6月に、小惑星の破片である隕石の一つが衝突した、あのクレーターの跡地である。

現在は「禍津日原(まがつひはら)」と呼ばれ、東京埼玉の県境にして、日本帝国日本民主共和国の国境地帯でもある。

生き残った人々の尽力によって、人間が生活できる環境にまで復興した事を示す象徴として、この場所には「禍津日原第四学校」がある。

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十三宮(とさみや) 伊豆守(いずのかみ) (ひじり)

「…実葉様、そろそろ時間のようですよ。えっと、配信開始ボタンというのは…どちらでしたっけ?」

「ああ、これです…皆さん、聞こえますか? こちら、禍津日原第四学校です。瀬戸内海が海賊に荒らされ続け、それに伴う外出禁止令が長期化している事態などを考慮し、私達の学校では、世界中どこからでも授業に参加し、単位を修得できるインターネット通信教育を始めました。初対面の人も居ると思うので、自己紹介の時間を設けます。私は大牧実葉、主に地理科目を教えているわ。まあ、宜しくね…」

 学校の先生が、何故チェーンソーを持ち歩いているのか?
…などと質問する勇気ある勇者は、多分この中には居ない。

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「私は、十三宮 伊豆守 聖です。教会祭司を務めながら、非常勤講師として本校のお手伝いもさせて頂いております。一応、教科としては道徳・倫理などを担当する先生ですが、皆様の幸せな未来を導く保護者でありたいと思いますので、取り敢えず『お姉ちゃん』って呼んで下さいね^^」

「それ、今ここで言う事なのかしら…まあ良いわ。そうしたら次に、中級生の…間宮(まみや)主計(かずえ)さん、居るかしら?」

間宮(まみや) 文次郎(ぶんじろう) 主計(かずえ)

「えぇ…俺、自己紹介とか苦手なんだけど…あー、俺は大坂・和泉の間宮主計。一応、工学専攻という事になっているが、好きか得意かは知らん。以上!」

 「孤高」を擬人化したような性格の間宮主計は、最近の日本社会に増加しつつある「悟り世代」らしく、自分は周囲の者達に言われているよりは健康だし、恐らくは自分こそが世に言う天才だと思い込んでいる…が、どう見ても顔色が寝不足で不健康だし、今その成績じゃ間違い無く落第寸前です、本当にありがとう御座いました。

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十三宮(とさみや) 巫部(かんなぎ) (めぐみ)

「聖姉様の妹、十三宮 巫部 仁です! 好きな科目は日本史・国語・倫理かな。私達を見守って下さる神様にお仕えする、巫子さんのお仕事が好きだよ! 例え何回死んでも、何度生まれ変わっても、必ず…あなたに逢いに往くから(圧)宜しくね^^」

「宜しく」

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 その瞳に百年後の世界を映す「国民的彼女」十三宮仁は、今日も残酷な運命に立ち向かってそうな眼を輝かせている。

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十三宮(とさみや) 寿能城代(じゅのうじょうだい) (アキラ)

「右下のコラボ画像、十三宮 寿能城代 顯と申します。大森貝塚武州(ぶしゅう)本門寺などがある東京市大森区の出身です。地理学などを探究し、様々な文章を執筆しており、いずれ自分が創った物語をゲーム化できるような、地球学文芸作家にでも成れたならば…などと、自由な夢を妄想しております。宜しくお願い申し上げます」

「ありがとう御座います。では次に下級生…綺音(あやね)ちゃん、宜しいですか?」

土御門(つちみかど)綺音(あやね)

「遥かにゃる縄文の海『古鬼怒湾』の海跡湖、母にゃる霞ヶ浦を戴く常陸(ひたち)土御門綺音だにゃ。先祖は陰陽師だったらしいにゃ、でも今は陰陽道の賽銭だけじゃ喰って生けにゃいので、軍需産業のお仕事を開店したにゃ! 武器が欲しけりゃ、そして戦争に勝ちたけりゃ、御賽銭を握り締めて内に来いにゃ。初回の課金は、お得だにゃ! リピーターも大歓迎にゃ!」

「にゃんにゃん可愛いけど、言ってる事が少し怖い…(^^;」

「いつも両手に庖丁を持ち歩いている仁しゃんに、言われたくはないにゃん…」

﨔木(けやき) 長門守(ながとのかみ) 夜慧(やえ)

「山陽道の周防・長門から参戦、﨔木夜慧だ! 勉強は苦手だけど、美術とかは好きかも知れない」

「本州からは以上。後は、九州から参加の下級生ね」

神田(かんだ)エルンスト(Ernst)遊火(ゆうか)

「はい…日本帝国西海道、伊万里県神田エルンストです」

夢宮(ゆめみや)魅咲(ミサ)

「ひ…火州の、ゆ…夢宮魅咲ですっ!」

「ミサっち、今日も可愛いなあ…」

「は…恥ずかしいめぅ///」

「…全く、どいつもこいつも俺の話を最後まで聴かず、なのに責任だけは俺のせいにしやがる…人間って面倒だな」

「でもね、本当は主計ちゃん、物事をしっかり考えて、毎日を一所懸命に生き抜いているんだよね。めぐちゃん、知ってるよ! だからね、主計ちゃんは自信を以て、誇り高く道を歩み進んで良いと思うし、そうあって欲しいと、いつも私は祈り願っているんだよ^^」

「仁さんの言う通り、だ。私の勝手な直感だが、間宮氏は決して、歴史の脇役で終わる程度の人材ではないような気がします。もし私が、間宮氏の小説を書くとするならば、きっと十年後には…いずれにせよ、あなた様の将来には期待しております」

「悪く落とされるのには慣れているが、あまり礼讃されるのも、それはそれで対応に困るんだよ…」

「十年後の世界、か…」

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 ここに居る間宮主計・十三宮仁・十三宮顯などの人々は、得意・不得手の落差が大きく、智識を重んずる生き方が似ているからか、気が合って同じ派閥に属している事が多かった。

しかし…間宮主計が10年後の世界で、この国の最高司令官にまで成り上がっている事を、真に予知できた人は居なかったであろう。

更に言えば、間宮主計が周囲の者達から、「無能な指示待ち勇者」などと過小評価されて来た事、実はそれ自体が、彼女の計画通りだったのかも知れないが、その真相はきっと、神と本人にしか分からない…。

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「そう言えば…あっくん、新しい服を買ったみたいだけど、もしかして…好きな人が出来た、とか…?」

「僕はもう、そういう事には興味が無い。今の自分には、ここに居るあなた方のような…愛すべき、大切な隣人が居るのだから。天主(Deus)真善美に目覚めた私が、いやしくも義に反する関係を交える行為など、断じて…!」

(着信アリ)

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「ん、私の着信だ。暫し、お待ちを…」

「…もしもし、ナギちゃん? ん、どうしたの? え? 別れるって、急にどうして…は? 寝落ち電話したの!? 俺以外の相手と!? どうして、どうしてそんな…え、俺が浮気したから? ち…違うって、あれは誤解なんだ! あの時は、俺のほうから手を出したんじゃなくて、美少女に強引に誘われ迫られ断れず、一夜の過ちだったんだ! 信じてくれよ! お金は払う! 宝石も買う…待って、着信拒否しないでよ!」

 その時、十三宮仁は思った。

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「今日の日記。あっくん、可哀想…」

「…落ち着け私。戦況を見極めよ、勝機は必ずある。このままでは、惜しい人材を失うリスクが高い…だがしかし! いま私の手札には、まだ『キープされし最愛の美少女』達が残っている! 次のターンで、ユミちゃんアッキーちゃんを召喚できれば…ん? 背後に誰かの気配が…え、君そんな凶器を持って、何しに来たの…え? ま…待て、早まるな! 敵の急襲を受けた! 至急、援軍を要請すr…ぐはぁッ!!」

「…深淵に、眠りし我は、可哀想。勿体無きと、お悔やみ申せ…」
チ───(´-ω-`)───ン

「お悔やみ申し上げます」
「かwわwいwそwうw」

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「まーみや・マミヤ低収入~♪ おい、間宮っ!」
「騒がしいな﨔木、なんの用だ?」

「バイトで作らされた蛸焼(タコやき)が余りまくって、俺が持ち帰る羽目になった。俺が食べたら太りそうだから、お前が喰えっ!」

「お前は山口、俺は大坂だぞ! どうやって送るんだよ?」
安芸益田(ますだ)権納言(ごんなごん)松浦(まつら)アイユーブ(Ayyub)安子(やすこ)を脅して、下関・広島から西廻(にしまわり)航路瀬戸内海に当日お急ぎ便したぞ」

「権納言はともかく、松浦安子ってガザから密航して来たテロリストじゃねーか! 頼む相手を間違えてんだよ…」

「主計ちゃんも、可哀想…」

 だが、果たして蛸焼が大坂に届く事は無かった。

益田・松浦の輸送船団は、その任務を遂行途上、瀬戸内海で国籍不明の海賊に襲撃されていたのである…。

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「確か…この配信アプリケーションって、仮想現実データベースに接続して、地球上の好きな場所に移動できる機能があるのよね。例えば、今は本校のバーチャル教室に皆が居るけれど…」

「…あら、ここは天空? あ…足が雲の上に浮いています! 美しき青天白日の世界…まるで浄土、畏れ多くも『神の国』に昇らせて頂いたかの如き錯覚が…」

「これにプラネタリウムのプラグインを追加すれば、バーチャル宇宙空間『メタバース(Metaverse)』を構築できるだろうな。飽くまで情報の世界だから、重力から解き放たれ、光よりも速くワープし、遥か彼方の地球外天体にだって行ける…まあ、こんな広大な時空間に万が一、敵軍が侵入するような事があったら、それこそSFみたいな戦争だよ…」

「…あ、緊急警報よ。瀬戸内海にて不審船団の航行を確認、沿岸各地の政府が、船型を解析しつつ対応を協議中だって。例の東山海賊だった場合、遅くとも明朝6時までに、四国の『南海コモンウェルス』が義勇軍を動かすみたいよ」

「ここにいらっしゃる皆様は自宅待機中だと思いますが、特に西国の方々は、瀬戸内海沿岸から急ぎ避難して下さい! 海賊の傾向・対策は津波と同じです! 海から離れた、高い台地へと逃げて下さい!」

「兵役に属している方々は、動員令に備えて下さい…全く、海賊相手に少年兵を『学徒出陣』せねばならぬとは、実に慌ただしい世の中だ…」

0600時 指令室

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 午前6時・中立国共同体「南海コモンウェルス」義勇軍、四国サイドワインダー指令室。

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鵜久森(うぐもり)ミナト

「これから、任務の内容を説明するよ」

 今回の任務は芸予諸島伊予大三島(おおみしま)安芸生口島(いくちじま)を結ぶ多々羅大橋の防衛だよ。

ここは本州四国の境目で、本州からの支援物資が、多々羅大橋を渡り大三島を経由して伊予に入る。

逆に、四国から本州へ物資を送る際は、生口島を経由して本州へ入るんだ。

万が一、この多々羅大橋がド畜生■■■(bitch)共の手で、落とされたりすれば、本州と四国の補給路が断たれる。

今回は、本州への重要物資を満載したトラック数台が、多々羅大橋を通過し、経由地の生口島へ渡る。

しかし、その重要物資を狙って、例のド畜生■■■共が多々羅大橋を落として、それを回収するに違いない。

「何としてでも、重要物資を経由地の生口島へ渡そう! では出撃!!」

「土御門家の縁故で、アラビア帝国から格安の石油を輸入できたから、補給は安心だにゃん! 後方兵站(へいたん)支援は私りゃに任せ、存分に戦って来いにゃん!」

「ありがとう、いつも助かるよ!」

「数の劣勢など、質で補えば問題は無い! 行くぞ、畿内軍! 正義とは何か!? 愚者とは誰か!? (たわむ)れと舞い踊りし上級国民の者達に今、分からせてやれ!」

「そんな台詞を考えてる暇あったら、さっさと戦えよ馬鹿間宮」

「お…俺が隊長の時ぐらい、少しは好きにさせてくれよ…」
「お、今度は病み間宮か? ざぁ~こ♪」

「もし俺が大統領に成ったら、まずは貴様を拉致して叛逆罪で尋問してやる、覚悟の準備しとけ!」

「東山…いえ、■■■■■…今はまだ、動くべき時機ではないって、あれだけ言ったのに…全く、先生の言い付けを守れないなんて、悪い子ね…! まあ、私の思い通りに動かない不良品なんて早晩、四国の子達が廃棄処分してくれるでしょう。さーて、次は誰を玩具にして、遊んであげようかしら…?」

 私達の担任教諭であり、ミステリアスだが結局は優しい大牧先生が、裏でテロリストに内通していた…という事実に気付くのは、もう少し後の話になる…。

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「…そして、あの十三宮聖さん…どういう技術なのか分からないけれど、ある種の読心能力を習得している…との噂は本当のようね。彼女の前では、こういう事を考えないようにしておきましょう…」

「実葉様、お呼びになりましたか?」

「え、よ…呼んでないですけど、どうしてここに…? 中継授業が終わって、先に帰られたはずでは…?」

「あ、驚かせてしまいましたね…申し訳御座いません。私、時間を止めて瞬間移動する呪術を練習しておりまして、試しに通学路を行き来していたのですが…如何(いかが)でしたか?」

「た…確かに物凄い速度で、目の前に現れたような気がするわね…」

「…天国か、さもなくば地獄か…かつて神は、全ての人間に選択肢を与えた。だから私も、お前達に選ぶ権利を授けよう。我が子種を受胎し、産み落とす快楽に溺れ生かされるのか? それとも苦しみながら、誇り高く逝かせてあげようかしら? さあ、選ばせてあげる…いいえ、選びなさい! 我こそが、創造主に成り代わってはいかんのかね? いかんでしょう! だが、もう戻れない…最後の審判が、幕を開ける…!」

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「里護り 散華(さんげ)せし身は 消えようと 剣の山に 御霊還らる」


  阿波徳島基地 殉職者慰霊碑

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登場人物紹介

【久遠実成】とさみや かんなぎ めぐみ

十三宮 巫部 仁

関東州 相模県 箱根町


・一人称「私」「めぐちゃん」

・二人称「あなた」「君(キミ)

・地位 同級生

・専攻 日本文化史(国語・日本史・倫理)

・属性 

・武技 庖丁・雷撃

・愛機 SCPX-02「自転火車(クラスター爆弾)


 主人公「あなた(夢小説)と共に箱根東京大森で幸せに暮らす、清純な巫女さん。母は十三宮命、姉は十三宮聖十三宮勇


「私、めぐちゃん! 大好きなあなたの、お嫁さんだよ^^」

【救世菩薩】とさみや いずのかみ ひじり

十三宮 伊豆守 聖

東海州 駿河県 伊豆郡 伊東市


・一人称「私」

・二人称「あなた

・地位 お姉ちゃん

・専攻 宗教哲学(神学修士)

・属性 

・武技 クリスタルタロット・雷撃

・愛機 SCPX-01「飛行箒木(大型爆弾)


 あなたの優しいお姉ちゃん、伊豆などで日本帝国自由天主教会(十三宮教会)を率いる神官(司祭→主教。母は十三宮命で、双子の十三宮勇、妹に十三宮仁が居る。


「あなたのお姉ちゃん、十三宮聖ですよ^^」

【正教非戦】すざき Gratia ゆうな

須崎 グラティア 優和

関東州 相模県 小田原市


・一人称「私(わたくし)

・二人称「使徒様

・地位 修道院長

・専攻 海洋学

・属性 

・武技 パワーストーン(アクアマリン)


 相模湾修道院で働く司祭だが、理系出身で海洋学にも詳しい。


「神様、お金が欲しいです…!」

【心焔文殊】みほのせき だざいのしょうに てんま

美保関 大宰少弐 天満

関東州 東京府 東京市 大森区


・一人称「あたし」

・二人称「分隊長

・地位 下級生

・専攻 軍事学

・属性 

・武技 レーザー剣

・愛機 ステルス戦闘機ラプター(高機能ミサイル)


 隕石による出雲 松江市の壊滅後、十三宮聖に保護されて東京大森へと移住。アプリコーゼン義勇軍の第三中隊(ポタージュ中隊)を率いる、正義感(と色情欲)の強い爆乳美少女。


「胸の豊かさは心の豊かさ、あたしなら隊長の期待に応えられますよ!」

【戦原維新】あららぎ むきょう

塔樹 無敎

関東州 東京府 東京市 大森区


一人称「自分」

二人称「隊長

地位・後輩

専攻・情報数学

属性・

武技・電磁レイルガン


 元来は「蘭木 訓」という学生だが、自らの存在をサイバースペースへと移す実験に成功した「バーチャロイド」であり、アプリコーゼン義勇軍の第四中隊に所属。


「世界の未来を、隊長と共に…!」

【五族協和】だいかくじ きらひめ

大覚寺 雲日女

関東州 東京府 東京市 麹町区


一人称「予」

二人称「あなた様

地位・女帝

専攻・経済学

属性・

武技・パワーストーン(ダイヤモンド)


 大覚寺元化の皇女、日本帝国の初代皇帝「光復女帝」。

法と民意に基づく議会政治を尊重し、必要に応じて助言する。

臣民との交遊を楽しむ爆乳お姫様。


「あなた様のお体、予の胸に包み込んで差し上げます…

【天道顕現】ひもと だいしょうこく たける

日基 大相国 建

関東州 東京府 東京市 麹町区


一人称「私」←(俺)

二人称「貴様

地位・太政大臣

専攻・政治史

属性・

武技・鉄剣

愛機・F/A-22A「ラプター」ステルス戦闘機(高機能ミサイル)


 日本人民共和国に従っていたが、アメリカ連邦に亡命し、米軍と共に人民共和国を崩壊させた、現代日本の英雄。

自由党を結成し、日本帝国の最高権力である太政大臣(大相国)を務める。

敬虔なキリシタン信仰に基づく、強固な使命感を持った政治家だが、自己だけでなく他者にも厳しい性格。


「私が切り開く新時代、それこそ貴様が物語るべき神話だ!」

【偶像崇拝】よしの Iolite すみれ

吉野 アイオライト 菫

西海道 筑紫県 筑前郡 大宰府


一人称「菫(ちゃん)」「アタシ」

二人称「プロデューサーちゃん

地位・西海道首相

専攻・芸術学

属性・

武技・両手剣

愛機・F-15S/MTD戦闘機(高機能ミサイル)


 九州グラビアイドルであり、日本帝国の西海道首相(民主社会党)なども務めた。

どんな仕事も真剣に取り組むが、自身の爆乳ボディーを人気獲得の武器として積極的に利用し、ファンへの大胆なサービス(枕営業)など、極めて開放的な性格を魅せるポピュリスト。


「菫の体、好きなだけ揉んでイイよぉ♪ プロデューサーちゃん

【青鳥開眼】とさみや Maeterlinck いさみ

十三宮 メーテルリンク 勇

関東州 禍津日原総督府


・一人称「私」

・二人称「分隊長君

・地位 中隊長

・専攻 航空工学

・属性 

・武技 銃剣

・愛機 艦載ステルス戦闘攻撃機ライトニング(対艦ミサイル)


 十三宮命の娘、十三宮聖の双子(当時はトサミヤ教団内の極秘出産で、厳密な姉妹関係は不明)十三宮仁の姉。宗教的平和主義者の聖よりも現実的・右翼的な思想を持っており、津島長政から軍事訓練を受け、禍津日原総督府駐屯軍に仕官し、航空戦部隊と特務機関に所属、後には東京政府の権力にも影響を及ぼす女傑となるが、全ての勝利は天下泰平のためであり、最期には自身の生命さえも捨て駒にした。敵・味方を瞬時に識別する能力があり、落合航ラズール中隊で活躍した後、自らサフィルス中隊のリーダーを拝命し、艦載ステルス戦闘攻撃機「ライトニング」を駆使して戦い、遂には彼女専用の試作機「アスウェル零式」までもが特注されるエース。主人公に悪戯をしたりするが、カップ麺も調理できないほど壊滅的に女子力が低く、政治・軍事以外は色々と抜けているのが不安。


我抗うならば

【暴飲愚者】AWACS Krystalos

空中警戒管制機 クリスタロス

関東州 禍津日原総督府


・一人称「私」

・二人称「分隊長

・地位 指揮官

・専攻 情報工学

・属性 

・武技 電子戦

・愛機 パシフィック管制機(ECM)


 旅客機を軍用に改造した空中警戒管制機で、日本国民軍の禍津日原総督府駐屯軍に所属。小惑星の破片が衝突した隕石クレーター(禍津日原)の上空を哨戒しており、有事には落合航十三宮勇などの部隊を指揮する。敵軍の攻撃が届きにくい高度を飛行しており、地上の司令部が壊滅しても上空から作戦を継続できるほか、敵のレーダーや無線通信を撹乱する電波妨害(電子戦機)機能も搭載できる。一見、冷静に任務を遂行する生真面目な性格だが、正体は割と優しい豊乳お姉ちゃんであり、頼めば(色々と)遊んでくれるらしい。


「分隊長、交戦を許可する」

【海天富猫】おちあい Lazur わたる

落合 ラズール 航

関東州 禍津日原総督府


・一人称「俺」

・二人称「貴様

・地位 司令官

・専攻 戦史

・属性 

・武技 機関砲

・愛機 スーパートムキャット艦載戦闘機(長距離高機能ミサイル)


 世界大戦に出征後、中南米(ラテンアメリカ)に亡命していた落合翔(かける)の子で、昼は『新約聖書』と『銀河鉄道の夜』を愛読し、夜は南十字星座に瞳を輝かせながら育った。日本人民共和国崩壊後、西宮堯彦に従ってクレーター復興庁に所属(少佐)禍津日原駐屯軍基地司令官禍津日原総督海軍大臣を歴任し(中佐→大佐)、退役後も羽田国際空港に勤務。アメリカ連邦で海軍訓練を受け、日本国民軍ラズール中隊(第13海上空戦隊)エースとして、空中警戒管制機クリスタロスの指揮下に配属され、艦載戦闘機「スーパートムキャット」を自在に操る。幼くして天主教会に受洗し、敬虔な騎士道を胸に戦場を駆け抜ける…が、成人男性なのに美少女にしか見えず、何故かランジェリー下着である。


「俺も貴様も、天主と共に戦う!」

【塵勞御霊】くろさわ がしょうだいし ほうがい

黒沢 俄勝大姉 蓬艾

関東州 東京府 東京市 呑川


・一人称「私(わたくし)

・二人称「あなた様

・地位 武官

・専攻 宗教哲学

・属性 

・武技 尻尾鞭

・愛機 ステルス戦闘機ブラックウィドー(高機動ミサイル)


 禍津日原総督府の特務機関に拾われている、夜叉天狗の如き爆乳妖魔。


「黒沢俄勝と申します、お見知り置きを…合掌」

【滅思颯空】けやき ながとのかみ やえ

﨔木 長門守 夜慧

山陽道 周防県 長門郡 萩市


一人称「俺」

二人称「お前

地位・後輩

専攻・芸術学

属性・

武技・付け爪・時間停止

愛機・Su-47「ベルクート」戦闘機(長距離ミサイル)・Su-37「ターミネーター」戦闘機(高機動ミサイル)


 人工爪を装着した接近戦を得意とし、時間の進行を遅らせ、敵の武器やスキルを奪い取る超能力少女。

長州の出身だが、東京大森のアプリコーゼン第三中隊に「ポタージュⅡ」として参加する事も。


「…それでも、俺は…お前と共にある世界の愛とやらを、信じてやるよ!」

【天孫射命】さいぐう ほしみ

斎宮 星見

(レミ)


―少年飛行兵は風船爆弾の夢を見ない―

 近畿地方に暮らし、伊勢天照神宮に仕えていた少女。

和国の神々を祀る立場から、関西の畿内軍閥と協調していたが、東京政府との内戦が激化する中、東海道の津島長政に保護され、関東に脱出した。

神戸生田兵庫と共に、東京大森へと移住し、地上戦を担う義勇軍第四中隊に所属。

周囲に強力なエネルギーを発生させる「電戟ラケット」を駆使して戦い、豊かな胸が激しく揺れる

【神世黙示】うらじお Michael

浦塩 ミハエル

ロシア共和国 極東シベリア管区 沿海州 ウラジオストーク市


・属性 

・武技 対戦車ロケット砲

・愛機 SCPX-01「飛行箒木(大型爆弾)


 蝦夷島(北海道)を占領するロシア軍の指導者。軍需産業「アフィリランド」を経営し、新兵器の開発・販売に取り組む。電磁レールガンレーザー兵器のほか、人工地震や「気象兵器」なども実験しており、十三宮教会の「魔法(SCP)兵器」(飛行箒木・自転火車)や、虚人東山軍の量産型ドロイドにも、彼女の機関が関与していると言われる。迷える人間達に武器を授け、それによって引き起こされた戦争を見届ける「偽の救世主(アンチクライスト)」。


「戯れましょう、始まりにして終わりの時まで…!」

【太上帝君】たきやま みき

滝山 未來

RP-MUSIC「創造主”神の右手と、悪魔の左手を持つ人間”

月宮怜


 

 

【存在不明】ぜんじょうもん ねねか

禅定門 念々佳


【造反有理】とおの Phoinix まもる

遠野 フォイニクス 衛


瀬笈《せおい》 緋夏麗《あかり》


 1300年以上も生きている天使だが、今は現世に留《とど》まって十三宮《とさみや》教会軍に属し、地上に正義を実現すべく戦っている。天使とは思えぬ長短の兵装での暗闘を得意とするが、天使なので人間の感情に疎い所がある。

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