第6話 「誘惑」
文字数 1,800文字
しょうがないな……。
（久々に会った訳だ。折角来たのに追い返すのもな。
ららさん今日は無理だな。メッセージ送っておこう。
「悪いが、今日は行けなくなりました。また改めましょう」 っと）
《送信》
アレって何だよ。
……まさかアレか？ ねぇーよ。悪かったな。
良かった。
やっぱねアタシ、今日久しぶりに策也に会って、改めて良い男だと思ったの。
アタシね、策也ならね良いと思ってるの
１人で暮らしてるみたいなもんでしょ？
この先、仮に無理矢理変な男に初めてを奪われるのは
御免だからアタシは策也さえ良ければ良いの。
これを機に付き合うってのはどお？
アタシ、策也の為にがんばるよ。
ねぇ、さっきから黙ってないで何か言ってよぉー。ダメならダメって言って。
（あぁ、いざこんな状況になるとヤってみてえよ……。
別に良いよな。俺も男として一皮剥けて視野も広がる）
なぁ理麗。俺はよぉ、お前の事かわいいと思ってるし今の理麗の裸だって見てみたいさ。
何だその、これから俺らがしようとしてる事は、そりゃ俺も男だからしてみてえけどさ、
それって一時の湧き上がった気持ちなんかで簡単にしちゃいけないと思うんだ。
うまい事言えんけど、その、お互い本当に心の底から好きで信頼し合って良い所も、悪い所も全部知ってて、
そう！ その行為はエネルギーの交換って漫画で言ってたな。
そのエネルギーの交換は、今の俺はエネルギー違う事に費やしてんだ。
だから、何だその……。
――わかったよ策也。
はぁ……、せっかく理麗ちゃんが誘ってあげてるのにね。
出た出た、策也得意の漫画知識！
ますます磨きがかかってるのね♪
じゃあ今日の事、後悔しても知らないからぁー☆
女の気の変わりは早いのよ。もったいなわね～。
（全く、変なところは真面目な男なんだから）
誘ってくれてありがとよ、嬉しかった。
でも悪りぃ、ちょっとこれから忙しくてな。
そんじゃ、またな！ 帰り気をつけろよ。
ふぅ。理性保つのギリギリだったぜ。
クソッまだ膨らんでやがる！
確か"ｐＨ７.３前後 弱アルカリ 硬度３０位の水２２２mlを一気に飲んだらこういう気持ち、収まるんだったかな。コンビニで買って来るか。
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お会計○○○円、になりマス。
《会計》
ハイ、○○○円、丁度頂きマス。
只今キャンペーン中でして、
対象商品お買い上げのお客様サマにスピードくじ、実施中デス！
ドウゾ～。
さっ飲もう、飲もう。
――ゴクゴク。
ふぅ……、確かにさっきまでの変な気持ちは、どっか行った気がする。
まっ、“プラシーボ効果”って奴だろうな。
《プラシーボ効果》
自分の思い込みが身体に良い影響を及ぼす事。
まっ気にすることねえな。
もう、要らねえや。ポイッ！
――おっと、悪い癖で思わず捨てちまった。
俺もこういう所から直していかねえとな。
《容器を拾い上げゴミ箱へ捨てる》
あれ、ららさんだよな？
間違いない、何処に行くんだ？
何か嫌な予感がする。
《尾行》
