エンド Ａ 「女同士」
文字数 1,750文字
そう、誇りたいとこなんッスが……。
（あの子には悪いけど……。別に言ったって良いじゃないか！）
実は……あの時、あの現場に神憑った少年がいたんスよ。
はい。
何か普段から街フラフラしてるみたいで、
たまたま車が走り去ろうとしたあの現場に居合わせて少年曰く……
反射的に、ＧＰＳ貼り付けた上、車種と色を警察に言ってたんス。
その情報のおかげで、すぐ場所がわかって、すぐ逮捕できたんッスよ
じゃぁ……、その子のお陰で私は助かったのね。
その子にお礼しなきゃ！
一緒にいたんだから、名前くらい知ってるでしょ？
いや、それが……。
情報だけ残して、その後逃げるようにスグ居なくなったんスよ。
そおっスね……。
あぁー、でも姿は覚えてるッスよ。
一見、不良に見えたんでしたが、アイドルみたいな顔立ちでしたからね！
格好は確か……そうだ！ダイヤが並んでる柄。
“アーガイル”でしたっけ？
そんな服着てたッスね。
それとペンと小っちゃいノートをベルトにつけてましたね。
佐野君ごめんねっ！ 私今日、もうこれで帰るわ！
係長に言っておいてっ！ お疲れ様っ！
お疲れっッス！
（急にどうしたんだろう……？）
もぉー！！、何で電話変えた時、番号交換しなかったのかしら。
あれ以来電話は繋がらないし、あの家からも引っ越ししちゃってるし、
――やっぱりあの場所に行けば或いは……。
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あら？ いつかのお姉様じゃない？ そんな急いで息切らしてどうしたんですか～？
まさかとは思いますが……もしかして策也をお探しで？
ワタシ、日下部 ららっていうの。
３０超えた本厄のオバさんよ。
私の話、少し聞いてもらえるかしら……？
（どんな自己紹介よ……）
何ですか？
以前、ワタシと策也君の関係で、何か誤解を招いたみたいだから事実を話そうと思って。
ワタシね、つい最近まで”自殺”しようと思ってたのよ……。
そんな時ね、ワタシ”策也君”に会って、彼に救われて人生が変わったの。
恩人よ。
そう……だったんですか。
あっ、アタシ名前”谷宮 理麗”っていうの。
アタシも実はあの時、アナタに策也が彼氏なんて言っちゃったけど、
本当はただの幼なじみであの時は、何か嫉妬しちゃって……。
アタシも策也には救ってもらってた身だから尚更だったの。
それからこの２人。四苦八苦公園へと向かい、ららは策也に出会って今日までの事。
理麗は転校時の事を互いに語り合った末、次第に意気投合していく。
さっき言ってくれたその辛い時、素直に"策也君"に相談してれば違ったと思うわ。
彼、言ってた。
――”一人で抱え込むなよ。誰かに頼ることで救われることもある”って
状況は違うけど、同じ辛い思いをして過ごしたのはとても共感できるし、
他人事とは思えないの。こうして面と向かってお話したしね。
偉そうに聞こえるかもしれないけど、
これからは策也君だけじゃなく辛い時、ワタシもいるわよ。前向きに生きていきましょ。
縣屋でラーメンを食べ終え、自販機で買ったチョコミント味のアイスを買い食い。
四苦八苦公園へと赴く策也。
あぁん？ 聞き覚えのある泣き声が聞こえるぞ？
んっ、何だ！？ ららさん？ も居るぞ。
あら、策也君……久しぶりね、会いたかったわ。
君に、後で聞きたいこと沢山あるのよ！
おいおい何だ、何だ？ 何がどうなって！？
（一体、この２人どうしたんだよ……）
まだ、俺は何も言ってねえよ。
（全くこれだから、女って奴は……）
エンド Ａ 「女同士」
