第11話 「反射」
文字数 2,114文字
その日を境に、策也とららは一切の音沙汰なくなり、問題も解決済である為、特に会う理由もなかった。裏腹にお互い、歯がゆい気持ちを抱えながら……。
だがしかし、時間の経過と感情は反比例するもので、相互的且つ次第に、希薄なモノになっていくのは避けられなかった。
策也に至っては、携帯電話を衣服と一緒に洗濯してしまい、電話帳をはじめとする全てのデータを損失してしまった。もとより変更後のららの番号も交換していなかった上、買い換えた電話は登録以外の番号は受け付けない初期設定となっていた。
その一方、ららは新しい環境下で、後輩男性と良好な関係を構築し始めていた……。
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これ“トランザム”じゃん!カッケー。
俺、外車はあんまり好きじゃないけどトランザムは別格だ。
やっぱこう1980・90年代頃の車は渋いし角張ってて良いよなー。
今はどれも丸みを帯びてなんか好みじゃねえんだよな。
性能は圧倒的に良いんだろうけどさ。
今やマニュアルなんて絶滅危惧らしいな。
俺は免許とったら絶対マニュアルに乗るんだ。
そこのお兄さん、何があったん?
変な音聞こえたから飛んで来たケドよ。俺は何も知らねえんだ。
(反射的にやることはやったがな……)
「現場は……、いま電話が繋がっている現在地でしょうか?」
「わかりました。近くの者がそちらへ急行します!」
少年がその名前に反応。
警察と佐野で事情聴取、状況を話し合っている。
……。
はいコレ。
その人を連れ去った車種と色。
それから……、コレだ。
GPSの端末だ。見てくれ。
今、車の位置は……ここだ。
俺よぉ~、普段から街フラフラして人間観察と探偵じみた事してんだ。
……ダセえだろ?
けど、今回ばかりはそれが役に立ったと自負するぜ。
それ、やるわ。
あ~そうそう! お兄さんもお巡りさんも、その事くれぐれも他言しないでくれよな。
――特に、被害者には。
じゃ、俺は忙しいし、いわば無関係だから。
後々、端末調べても俺の情報は出てこないからー。
お仕事頑張ってねー!
(今回は俺がこれ以上、出る幕じゃねぇ。あとはケーサツがやってくれる……)