第9話 「違和感」
文字数 2,857文字
《翌日》
【株式会社 アラガンス システム部】
どうやら張本人である君は事態を把握していないようだね。
少し話そう。ヘリで今すぐソチラに向かう。30分位で着くだろう。
馬鹿者! 戯言は結構だ。
一昔前はザラにあったと思うが、もうそんな時代とっくには終わった。
近年パワーハラスメント行為は社会問題となり如実に表沙汰となるのだぞ。
私が積み重ねてきたものを蔑ろにする気か!
世間からブラック企業だの揶揄され企業価値が下落するんだ。
幸い、まだ公になっていない、が。このままこちらが下手に隠してしまうと、
株主総会・マスメディアに公表されかねない立場なのだ。
君の処分が”懲戒免職”という形で片が付く。
何か異議申し立てはあるかな?
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策也の工作が功を奏し、ららの元上司、“帯刀 龍一郎”は懲戒免職となり、
事あるごとに噂話をしていた連中も、社内調査によって嫌がらせが浮き彫りとなり依願退職していった。
本社の上層部は、ららと面談し謝罪の意、具体的な誠意を形にして謝礼した上、
話し合いの末、部署移動を取り計らい、これからも勤続することになった。
策也が考え得る最高のシナリオで幕を閉じ、その日はそのまま退勤となり、
会社の外では策也が待ってくれていた。
…………。
“ムニュ”……。
《それからベンチに座り、他愛もない話をする2人》
……あれ、策也かな? 誰と話してんだろ?
策也は1人っ子だからお姉さんではないとすると誰?
何かすごい楽しそう。何か良い感じじゃん。 何、あの女?
ムカつくわ。よしっ……!
……ズズッ。
《鼻水をすすりながら、策也の胸にすがって泣きつく》
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【転校 初日】 回想 ~ 理麗 小学6年生 6月
《スクールチャイム音》
(口々に)
「えっ、マジ? ホントー!」