では、因みに日下部ららが元上司に拉致された時、状況が違っていたら……?
ここから、いわゆる”トゥルーエンド”という形式で展開していきます。
いや~楽しかったっス♪ また、誘っても良いっスか?
佐野君も若いんだから、こんなおばさんよりもっと周りに若い子、いるでしょ?
自分、日下部先輩だから良いんっスよ!
……駅まで送っていきやす!
ありがと。
……でも大丈夫。その気持ちだけで十分よ。
後ろ姿も素敵ッス……。
今日は本当に良かったなぁ~♪ 来てくれたって事は脈ありって事~? 男はすぐ勘違いするッスよ……。
せっかくだから。今からみんなでカラオケ行かんか? 護がいると盛り上がるよ!
ジチジジチジチジジチジチジジッ!! 《スタンガン音》
何か知らんけど、反射的にやってしまったぜ。
変な胸騒ぎがする……。
さっきの音といい、車の急発進といい何かヤバそうじゃね?
どうせ暇なんだ、人助けかもしれん、動くとするか。
クナイのキーホルダーが目に入ると同時に活字の張り紙に気づく策也。
こ、これ……ま、まさかっ!? ららっ!? ららさん!
クッ……ソォォ!! 何だよっコレェッ!! ふざけんなよっ!
すぅ……はぁ……。
すぅ…………はぁ…………。
ふぅ……。
“困った事が起きたら「面白いことが起きた」と言ってみな。奇跡が起きるから”
ハハッ、面白れぇよ! 上等じゃねぇか!
らら。今助け出してやるよ。覚悟しろ。
――あっ! 忘れてたけど俺、咄嗟に反射であの車にGPS張り付けたんだった!
そうだよ! もう、俺が一歩アドバンテージじゃねえか。
余計な事は一切考えるな……。とりあえず動くぞ。
その後は出たとこ勝負だ!
アレは……あるよな?
いつもズボンのポケット入れてあるメリケンサックを確認する。
その後、タクシーを捕まえ、GPSの示した先へ向かう策也。
いいんだ。気持ちだから。
家族と美味しい物でも食べておいでよ。
恐れ入ります。ありがとうございました。
お忘れ物ございませんか?
黒い車が1台……。
さっき見たのは一瞬だったけど間違いない!
ここから、本当に慎重に行動するぞ。まず見つからないように侵入だ……。
若さ故の体力と、持ち前の身体能力で窓枠、通気口等の僅かな足場をよじ登り、蜘蛛の巣が貼り放題で、自分の体より狭くカビ臭い隙間を無理やりかいくぐって、内部へ侵入に成功する。
――――――需要。
ヌー…………。
――――――売れる。
そんな都合よく聞き取れんか。
さて侵入出来たのはいいがこれからどうするか……?
あん時、コンビニで当たった“味のり”かよ……。
何だよ、マンガじゃこういう時もっと役に立つ物出てくんだろがよ……。
――ハッ……!!
この中には“石灰乾燥剤”が入ってるじゃねえか!
近くに何か燃えやすいものは……。
発熱した石灰乾燥剤が火種となり、断熱材に着火。
鼻を刺すような臭いと煙を上げ周辺はじわじわと燃えていく。