第2話 「吐露」
文字数 2,933文字
《邂逅》
思いがけない出会い。偶然の出会い。
ワタシもね……。小学生の頃に両親が離婚してね、理由は聞いてないの。
片親である母親に育ててもらったわ。
迷惑はかけまいと小学校・中学校と勉強だけは必死に頑張って市内で1番の高校へ進学して、卒業後すぐ就職したの。
――本当は学校の先生になりたくて行きたい大学あったんだけど……、
金銭的な問題とか、その他種々の問題で断念したの。
就職したその会社は所謂ブラック企業。
毎日激務で精神的に追い込まれて一時は自殺も考えたりしたわ……。
だけど、母親を残す訳にはいかないと思ってね。
藁にも縋る気持ちで思い切って転職したの。
学歴が功を奏して、思いのほかスグ決まったわ。
《カタルシス効果》
心の苦悩や怒りを言葉にして表現し、吐き出す事で取り除くこと。
《幼少期の回想へ》
「えーん! 帽子返してよ!」
「ヘヘッ、やーだよ♪」
女の子に悪戯する男の子の母親が慌てて駆け寄る。
「あぁー、こらっ□□っ! ちょっとこっち来なさいっ! △△ちゃんごめんね!」
「ちぇっ……」
「どうしてそんな事するの、駄目でしょ!
お友達に優しくって、いつも言ってるでしょ! あんた男の子なんだからいい?
“男の子に優しく、女の子にはもっと優しく”よ」
「はぁーーいっ!」
《回想終了》
いや、そもそも意味なんて無いのよ、ただ響きだけで付けたのよきっと。
“らら”なんて何かメルヘンチックでキャラクターみたいでしょ。
こんなオバさんで“らら”って名乗る度、もうそれだけで嫌よ。
今じゃキラキラネームっていうのかしら? 昔からあるのよ。