寂しさの種

文字数 369文字

時間は残酷にも無情にも過ぎてゆく。
現実をまだ受け容れることができない。

あなたは寂しさの種をまいていった。
春であろうと、夏であろうと、秋であろうと、冬であろうと、立派な花を咲かせる。今では朝、昼、夜の境なく大輪の花を咲かせる。

あなたが愛を望むなら、簡単に手に入れることができたはずなのに、雲のように霞んでは流れ、霞んでは流れ、つかませてくれなかった。

僕が感じていた運命は嘘、偽りだったのだろうか。
虚無感が、がりがりと烈しく音をたて僕を喰い尽くそうとする。

きらいだ、きらいだ、あなたなんてきらいだ。でもやっぱりすきでどうしようもない。ああ、あなたの心の中にとどまりつづけさせてほしい。

もう一度あなたに逢えるなら、しっかりと目を見て言うだろう。
「ずっとこの日がくるのを待っていた。永遠に感じる時間の中を」

僕の中のあなたは悲しそうに微笑んでいる。
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