冬枯れの木

文字数 322文字

あなたへの恋を失いたくない。

あなたは神に愛されて生まれてきた。

あなたはすべてに愛されている。

あなたの夕陽のような美しさに、なんなく奪われた僕の心は安物の玩具のようだ。


あなたは僕の名前を親しみを込めて呼ぶことはない。

壁を高く築き、近付こうとする僕を寄せ付けないかのようだ。

あなたは僕を愛してはくれないのか。

あなたが僕の目に映り込むたびに憂鬱になる。

僕の言葉に少しは迷って欲しい。

僕の声を少しでも聞いて欲しい。

僕の視線にわずかでも動揺して欲しい。


淡い雪が降ってきて、僕の手の中でゆるりと溶けた。

なぜ今このタイミングで出会ってしまったのか。

街中の冬枯れの木が寂しそうだ。

きっと僕の片恋でドラマは終わりを迎える。

僕の苦しみも枯れ散ってしまえばいいのに。
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