耽溺

文字数 316文字

恋は夜空の星のように、美しく輝くものである。

そういうものだとずっと思っていた。

僕の恋なぞは、暗闇の底を行ったり来たり。

常に希望と失望が混交する。

微かな光が見えたかと思うと、指の隙間を細砂のように瞬く間に消え落ちていく。
 
近づくと離れ、離れれば近づく。
 
希望を感じるほどに苦しみは増していく。

それなのに希望に縋りついてしまう。

縋りつく糸は、頼りのない一筋の蜘蛛の糸のようだ。

見えているようで、見えてはいない透明の糸。

この糸は粘着質に僕に巻き付き捕らえて離さない。

 逃げ場はない。
 身動きできない。
 呼吸ができない。
 苦しい。とても苦しい。
 
この苦悩、苦痛はいつ迄続くのだろう。

いっそ餌食になってしまおう。
きっと楽になれるにちがいない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み