エレジー

文字数 506文字

 眼の前に見えるものが決して本当ではない。
 画面に映る姿だけが真実ではない。

 瀟洒、華美、絢爛、華麗な部分だけを切り取った一端を垣間見て、羨望の思いに駆られ、果てにはどうせ私なんかと己を貶める。
 学生時代のテストもそうであった。いつも良い点をとる奴が居て、どれだけ勉強したのだと問うと、ほとんど勉強していないと答える。そうすると、何も考えない私のようなものは秀才だ、天才だと、羨ましがるのみである。
 これに平行して、一線で活躍する美男美女の芸能人に対しても同じ想いを抱くのである。

 愚か者の極み、まさに悪癖である。目に写るものだけが真実と勘違いを起こし、裏側にある苦しみ、痛み、努力する姿を脳内に思い描かず、見ないふりを決め込むのである。

 物事は表層部分だけを見てはいけない。だからといって、決して馬鹿をみるからだと言うわけではない。何事も真実を見極める目をもって、互いに認め合あえる、見識ある人物になれるよう努力しなければならないと思うのである。

 力を出し切ったが、志、道半ばで途絶えてしまったものを、とてもとても悔しく、辛く、悲しく、残念に思われて仕方がない。
 出来るならば、美しき鐘の音を奪わないでほしい。
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