わずらいの旅人

文字数 409文字

ふり積もる雪のように、あなたの心も僕の気持ちで重さを増していく。

ふり続く雨のように、あなたの心の色彩も僕の言葉で消えていく。
 
僕の燃える情熱で溶かせてみせたい。僕の溢れる想いで彩りを与えたい。
 
チェーンが外れた自転車のペダルのように僕の気持ちは空をまわり続けた。

あなたの前では胸の痛みで苦しくてたまらないのに、いつも作り笑顔を絶やさないようにした。
 
つよがりばかりで、いつか心が壊れてしまう。

あなたも同じように想ってくれているのだろうか。霞がどこまでも深く遠くまでかかり、何も見えない。

進むべき道がわからず迷子になる。

ありきたりの会話しかできない。本当に伝えたいことはたくさんあるのにそれ以上は踏み込むことを許されない。
 
愛を語り合えたらどれだけ幸せだろうか。

雪の眩い輝きがモノクロの背景へと変わる。  
 
いつまで僕は、こうしてチャップリンを君の前で演じ続けるのだろう。
 
僕のわずらいは長く長く続く永遠の旅人のようだ。
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