第9話 台湾ラーメン

文字数 1,038文字

 俺が抜けたことをフォローしてくれた和真に礼をして、一足早く帰宅。
 酔いは冷めた。食べたりなかった腹を満たすべく所業とするか。

 台湾料理のルーツは中国にあり。代表的な五香粉(ウーシャンフェン)は5つのスパイスがブレンドされた香辛料、桂皮(シナモン)丁香(グローブ)花椒(カホクサンショウ)小茴(フェンネル)大茴(八角、スターアニス)陳皮(チンピ)が主な内容。日本でいうところ七味だ。

 エキゾチックな風味を漂わせる…麺、そうだ麺にしよう。

 冷蔵庫から挽肉、野菜はニラとキャベツを細切りにして下拵えを済ませたらフライパンにごま油を大さじ一杯回して鷹の爪を割り入れ、香りが立つまで強火で炒める。挽肉の色が変わるまで炒めたら春キャベツ、ニラの順に入れて軽く混ぜニラの色が鮮やかになったら塩ひとつまみ五香粉と黒コショウで味を整えて火から上げる。
 「寿がきや」の台湾ラーメンを鍋に作り、器に盛り付けたら具材をのせて即席めんの完成。

 名古屋を代表するご当地メーカーから販売されている台湾ラーメン。

 辛いは辛い、けど豆板醤の旨味に箸が止まらない。
 昭和の遺産ともいえる油揚げ麺を引き上げ吸い込み、具ごとスープを飲み込む爽快さは例えようもないドラマだ。
 一気に食べてしまったが、追い酢をかけてもこれ旨いんだよな。
 
 腹心地も良く、もう一杯というところでスマホが振動する。
 路嘉だと思い込んで電話に出ると宗一郎の声に拍子抜け、再会に気を悪くして帰ったのではないこと告げて切り捨てるつもりが甘い誘惑に押されて、指先でスケジュールを確認しながら二つ返事をした。


 佐伯宗一郎の通り名は「スイーツ王子」


 数年前から始めた食べ歩きの活動域がワールドワイド、多くの著名人と関係して蓄えたフォロワー100万人を日々魅了するスィートな文章からは想像もできない男らしさを兼ね備えているのだが宗一郎の舌に惚れてる。

 「じゃあ、今度の日曜に。仕事入りそうなら早めに連絡する」
 「俺より仕事の方が大事なの?」
 「悪かったな、甲斐性なしで」
 「半年も独り身でそろそろ寂しい頃だろ。俺が慰めてやるよ」
 「じゃあ今度の日曜、おやつの時間に…」

 笑いながら別れる間柄には次がある。
 宗一郎はいつだって心を結ぶリボンを解く楽しみを与えてくれる、一度でもその甘さを知ってしまったら逃れられない。
 恋は終わっても繋がれる甘い予感に期待する俺は、寂しい男なんだろうか。
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登場人物紹介

江波絢斗

176/65/37・A型

趣味が料理の純然たるアラサー部長。

仕事には誠実で真面目、温厚な性格。恋愛には臆病…元彼のあまい呪縛から

逃れられない一方で、令和チャンの彼氏に翻弄される日々。

好きなもの・肉、麺類、和菓子

白鳥路嘉

165/56/23 B型

平成最期の新入社員で毎日が食べ盛り!令和のツン担当タチわんこ

性格

・小悪魔です

・すぐ機嫌が悪くなります

・親しい人に対してどS

・好きな食べ物「絢斗のつくるごはん」

・酒が弱い

・基本めんどくさがり

・ぼっち嫌い

・絢斗が大好き過ぎる!でも浮気っぽい…飽きっぽい…

・怒ると泣く

・双子の兄はラガーマンで弟/溺愛♡

的場和真

180/69/37 O型

日本全国を食べ歩く!バイヤーが天職のイケメン営業バリダチ

絢斗の食を常にリードする、ティーインストラクターの資格を持つ紅茶王子。

オンラインで料理研究家として名を上げる。

実業家の父親と2人の母を持つ複雑な家庭環境で人間不信…

絢斗にずっと片思い。一途な面も?

性格

・見た目と中身が全然違う

・好きになったら一直線

・現状維持型マイペース人間

・恋愛アドバイザー

・絢斗以外にあまり興味がない

・キレると面倒くさい感じになります

佐伯宗一郎

185/72/32 AB型

絢斗の元彼。国民的スイーツ王子として芸能人レベルで活動中、タチ寄りのリバ。

甘い物が主食で「男」も食べ物として見ているせいか

病的な浮気性…他人に理解されないところがある天才肌。

激しい収集癖があり、一度言ったらきかない頑固者。

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