どれも個性だね！
文字数 2,335文字
ごめん……別の蘭ちゃんから話聞いちゃった……
そ、そうでしたか……
あの、どんな話をしたのか私にも教えてもらえますか？
あ、聞いちゃう……？
はい……自分の事ですから……！
話聞いた感じだと、ずっと蘭ちゃんの為に頑張ってきた事を認めてほしいみたいだよ
認めてほしい……？どういう事なんですか？
今まで蘭ちゃんの為に頑張ってきたのに、高校に入ってからは邪魔に思われてるんじゃないかーって……
そんな……邪魔だなんて……
今まであたしが代わりにやってた事を自分でやろうとしてるのは良い事かもしれない。けどそれじゃ、あたしの居る意味が無くなる、そうなったらどうすればいいんだ……って言ってたよ
私は……いつまでも頼りきりなままは良くないと思ってただけなのに……
蘭ちゃんも悩んでたんだね……
別の私が生まれたのは、私のせいですから……
それ、ゲームが関係してるって言ってたけど……
あはは……そこまで知られちゃってましたか……
うん、詳しい事までは聞いてないんだけどね……
そうですか……
一瞬、無言！
蘭、再び話し始める！
……小学生の頃、一時期クラスメイトの子にからかわれた事があるんです。女の子なのにゲームしてるのは変だ、話してもつまらないって言われて……。それで気付いたんです、今の私は他の子とは違う、もっと普通にしないといけないんだって思いました
その日は思わず耐えられなくなって仮病を使って帰っちゃいました
そうなんだ……
それからですかね……別の私が出て来るようになったのは。私の代わりに頑張ってくれてたみたいで、学校の成績はいつも平均より少し上を取ってたんですよ
何それ羨ましい……！
でも正直、毎日つまらなかったです。好きなゲームが出来なかったんですから
やっぱり蘭ちゃんもゲームが好きなんだね
と言っても、昔の話ですよ？今では全くやらなくなって……
じゃあ、今も続けてたら私に勝ち目は無かったと言う事……！？
かもしれませんね、私の知らない事は別の私にも分からないと思いますから
そっかぁ、そのおかげでちーちゃんの秘密を言わずに済んだ訳だね
イツキさんのではなく、千恵さんの秘密ですか……？
さっきだってちーちゃんの秘密を教えてあげるよー、って言ったら別の蘭ちゃんが出て来たんだよ
えぇっ？千恵さんの事で心当たりなんて無いと思いますけど……
急に話が変わったからびっくりだったよ！ちーちゃんを手に入れるなんて言うし……
よく分かりませんけど、これからはご迷惑をかけないように善処します……！
うーん、でも良いんじゃないかな？蘭ちゃんもちーちゃんと仲良くしたいみたいだからね
それなら良いんですけど……
それに……私としても、色々と語り合いたい事があるんだ……！
語り合いたい事……ですか？
それはもちろん、ちーちゃんの事だよ……！
あはは、千恵さんの事好きなんですね
でもでも、委員長も好きだしー、蘭ちゃんも好きだよ！
イツキさん……
さて、私の蘭ちゃんへの思いは伝えたよ！蘭ちゃんも思ってる事言ってみようよ、そしたら少しはお互い悩まずに済むんじゃないかな？
言いたい事よりも、寧ろ私の駄目な所を教えてほしいと言いますか……でも私、どう話したらいいんでしょうか……？
恥ずかしい気持ちも分かるよー、よしっ私が代わりに聞いてみるね！
あ！あんな所にちーちゃんがぁぁぁ！
千恵？！どこだ！
って……居ねぇじゃねぇか！
だって居るなんて言ってないもん
くっ……このぉ……！
今までの話、聞こえてた？
あぁ……
けど、自分の事なんだし、話したい事があるなら言えばいいと思うけどな？
うーん……それはぁ……
イツキ、閃く！
それってさ……伝えようとしないんじゃなくて、伝え方が分からないとかじゃない……よね？
…………
なーんて……
ちょっと聞いてみてくれ
可能性ありなの……？！
あ、イツキさん。どうでしたか……？
あー、うん、その前に聞きたいんだけど……
蘭ちゃんって、今まで蘭ちゃんに何か言おうとした事ってある？
いえ、伝えようと思ってもどうすればいいのか分からなかったので特に何も……
今までずっと遠慮してたとかじゃなく……？
それもちょっとはありますけど……自分とどうやって話せばいいか分からなかったので……
あー……そうだったんだねぇ……
イツキ、原因解明！
＊ ＊ ＊
メール……！録音機能……！全く思いつきませんでした！
これで蘭ちゃんと会話し放題だね！
はい、良かったです！
じゃあ早速……！
こんにちは！
こんにちはバカ
イツキさん、何で私怒ってるんですか！？
あ、愛情表現だよ……多分……
＊ ＊ ＊
イツキさん、ありがとうございました。これからはお互いの事、ちゃんと理解し合いながら頑張ろうと思います
うんうん、それなら良かったよ
それでも学校では他の皆さんに受け入れてもらえるか、まだちょっと不安ですけどね……
うーん……それは良くないねぇ……
イツキさん……？
へっへっへっへ……
イツキ、蘭に抱きつく！
わぁっ！
ほれほれ！私に笑顔見せてごらん？スマーイルスマーイル！
あははは！イツキさん、くすぐったいですよ……！
うんうん！笑ってる蘭ちゃんいいよー！
て、照れちゃいますって……
よし、決めた！私はどっちの蘭ちゃんも人気者にしてみせる！
えぇっ？！私はただ受け入れてもらえれば充分ですよ……？
そなの？じゃあ1週間、私に任せてよ！
何だか分からないけど、分かりました！
え、本当に！？
はい！
おーけー、そんなに迷いなく返事されたら私も頑張るしかないね！
にしても……蘭ちゃんも結構あるんだねぇ……。ちーちゃんには及ばないけど……
蘭、イツキの目線に気づく！
イツキ……それ、あたしにも教えろよ……
し、しまったぁぁぁ！つい心の声が……！
もっかい勝負しろ！そんで勝ったら詳しく聞かせろぉぉぉ！！
ひぃぃぃっ！！勘弁してぇぇぇっ！
