寝違え話

文字数 553文字

寝違えた
眠りの浅い日が続き
久しぶりに深く眠れた朝に
首が回らない
肩甲骨や背中にも張りがある

着替えることすら難しく
眠れた喜びはあえなく薄らぐ

いつもこうだ
何かが解決すると
新しい問題が起きる
仕事が上手くいくと
私事で下手をする

久しぶりに深く眠れた
それだけでいいのに
ただそれだけで幸せなのに
それで済まないのは
なぜなのか?
ずっと首を傾げながら考えている
あるべき位置に戻そうとすると
ひどく痛むので
考え事をしていなくても考えているみたいに見える
けど
僕はけっこう真面目に考えている

寝違えるのであれば
せめて明朝にして欲しかった
一日くらいは
深く眠れた喜びに浸りたかった

僕の願いは
そんなに無理難題だと思わない
誰からも嫉妬されることのない
とても小さな願いだ

おそらく
今晩は首回りが痛くて眠れないだろう
深く眠れたのが一日で
寝違えに苦しむ日の方が多いのは
不公平ではないだろうか?

首を庇うから
歩き方も不自然で
すれ違った小学生に笑われた

難航している商談に
首を傾げながら向かい
不快に思われるといけないから
寝違えたことを正直に話すと
一瞬の間があり
いつも無表情の役員にまで笑われた

寝違えが場を和ませ
商談が意外にも進んだのは
不幸中の幸いだが
そもそも深く眠れなかった原因がそこにあったのだから
今晩こそ、深く眠れるはずなのに
間違いなく首回りが痛くて眠れまい
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