第15話

文字数 402文字

 玄太は神社の境内に横たわっていた。祭囃子が聞こえる。玄太は上半身を起こして灯りの方を見た。数人の村人が頭にお面をつけて輪になって踊っているようだ。
(……お父さん、お母さん……ゆり子……リク……)みんないた。楽しそうに踊っている。
玄太はそっと起き上がり、怪我をしていないことを確かめると走って行き村人の踊りの輪に加わった。

 赤い風呂敷の中のアルバムの集合写真にリクと玄太も加わった。冊子の忍び沼の説明書きの最後のページが現れた。
[ただし、願い事は寿命と引き換えに叶うものとする。守り神の血族が絶えたとき、沼は永久に消える。残された土地は、先祖により永遠に守られる]

 その後、空き家となった家は取り壊され、墓はお寺に移された。不思議なことに家の中は綺麗に片付けられ、家具一つ残っていなかったという。

(ゆり子、きみはあの日、僕らの子供が欲しいと願ったんだね……ありがとう。僕はゆり子に会いたいと願ったよ……)
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