最終話 一つの時代の終焉

文字数 366文字

 議長が発見されたのはすぐだった。死因は二人とも老衰とのこと。
「シトーのやつ、もやもやしているだろうな」
 思えば、自分のケファという名は議長が与えたものだったと回顧する。
「岩の様に強くか……」
 そう呟く。
 シトーがグランドプロフェッサーになるまで自分が当面代理を務めなくてはならない。重荷だ。
 銀河各国から使者が来て会いに来た。皆が皆、ミルキーウェイ銀河の英雄の死を惜しんでいる。
「シトー、いつかお前も気付くよ。親の愛情にな」
 独りごとで電子タバコに久しく口を付ける。
 ようやく解放されたのだ。あの二人は最期をどの様に過ごしたかは判らない。
 だが、きっと平穏な生活だったのだろう。
 それこそが。
「幸せってもんだな」
 今度は自分達が彼らの歴史を紡がなくてはならない。
 それが残された者の務めだ。

                 ―了―
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