第6話 過去編・神聖文明の成立

文字数 782文字

 奇跡使いは弱体化した。それは否めない。しかし、『彼女』と戦う時により多くの同胞が必要だ。そこで『彼女』の遺産クオリアを使って残った同盟国側に奇跡使いがいないか探すことになった。その業務はテンペストとエカチェリーナが担うこととなった。
 冷戦が始まった今、躊躇している余裕はない。
 自分は民主主義の原則に乗っ取って銀河にある独立した星系と同盟を結ぶことを進めていった。
 無論、銀河帝国は面白くない。神聖文明が何故神聖であり、軍部や政治部が迂闊に動けないかを誇示する必要があった。
 なので、自分は銀河帝国に宣戦布告した。地球に来た艦隊を一瞬で消滅させ、一気に首都星まで侵攻した。圧倒的な戦力の差。銀河にその知らせを届けた。銀河帝国を僅か数日で解体し、圧倒的な力をみせつけておく。銀河のどの星系も自分のことをミルキーウェイ銀河の英雄と呼び、神聖文明は銀河にとって神聖な地となった。
 だが、それでも機械文明は侮れなかった。帝国の技術と自分達の技術を融合させ、より高度な文明を築いた。神聖文明に不満を抱く旧帝国側の星系と同盟関係を築き、神聖文明に対抗している。
 惑星国家の思惑は一つ『始祖』への畏怖にあった。ミルキーウェイ銀河の英雄では勝てなかった『始祖』とはいかなる存在なのだろうか。噂は噂を呼び『始祖』は一種の神格化がなされていった。 
 そして、自分は禁忌を犯した。『彼女』が死ぬその日まで自分も又生きながらえる様に奇跡を行使したのだ。
 全ては予言を変える為だった。『彼女』を倒し、シトー・クオリアを保護する。その為に研鑽を積む。幾十億の犠牲も出させない。
 幸いにもケファやペテロといった弟子達にも恵まれた。アンナという突出した奇跡使いも生まれ続けている。
 準備は整いつつあった。
 時間にしてほんの数秒の回想だったが走馬燈の如く走った想い出だった。
 そして、現実に戻る。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み