シャレーにならんど。

文字数 1,728文字

てくてく。
ほふり場に引かれていく子羊のように、シュシャンの城に連れて行かれる、私。
てーくてーく。
・・・なんで、歩きなのかしら?
仮にも、王妃候補なら、馬車で迎えにきてほしいもんだわー。
「ここじゃ、エステル・・・。」
やさしかったモルデカイおじさまともこれでお別れね。
「寂しくなるのぅ、エステル・・・」
「おじさま・・・・!」
「じゃが、安心せえ。王宮には、商人などはいれる庭もあるし、
王の門のところあたりをわしはいつでもうろついておるからの・・・!」
「おじさま・・・!(この人いつもなんの仕事してるのかしら??)」
「あとな、エステル・・くれぐれも、・・・
お前の生まれ、我々の民族のことは、誰にも、明かさぬようにな・・・・。」
真剣な顔を私がしたので、おじさまは安心したようだった。
・・・おじさまのむこう、シュシャンの城の庭にたわわに実っている、
イチジクの美しさに感動してただけなんだけど★

「お、おじゃましまーす・・・・。」
おそるおそる、案内されたお部屋をのぞきこむと、・・・
マツ●デラックスがいらっしゃった・・・。(だれ?)
「はぁーん、アンタがエステルさんね、本名はハダサ、ペルシャ読みでエステル?
まぁいいわ、ここ、シュシャンの城ははじめて?
肩の力をぬきなさいよ、とりつくろったって、すぐにバケの皮、剥がれるんだから」
ペラペラとまくしたてる、え、こちらがオウサマですか・・・?
「ちがーうわよ、アタシは宦官のへガイよ。
これから、一年間、アンタたち田舎娘を美しくみがきあげて、王に献上する役目。
・・なんですって?アタシが、男か、女か、ですって?
アタシは宦官だから、男も女も超越した存在なのよぉ。
そんな、杓子定規なものの見方でこのへガイを理解しようだなんて、じょーだんじゃないわよぉおぉぉぉぉぉ!」
・・・・・。
へガイさんが、難しい言葉をべらべら言ったので、意味はわかんなかったけど、
なんだかかっこよかったので、拍手をした。
ぱちぱちぱち。
すると、へガイさんは、大変、気をよくしたようだった。
「それにしても、アンタ、まだまだチビねぇ。胸もおしりもないじゃなーい」
むかっ。失礼だわ。
「これから一年はダイエット禁止よ。甘いものとか、乳製品をたくさんとってもらうわ。」
・・・いい人だわ。
「じゃあ、いまから、シュシャンの城の説明をするから、
耳の穴かっぽじって、よくききなさい・・・・ミュージック・スタート!」
みゅーじっく???

へガイさんが、パチン、と指をならすと、何人もの召使が、楽器をかかえてあらわれた。
ええ・・・

   エステル、よく聞いておくれ
   大奥(シュシャン)の世界は最低だよ
   王の寵愛(あい)の世界  どこよりもこわいんだから
   
   城に住めてはっぴー
   部屋はひろびろ
   ドレスメイクほしいだけ
   おんなだけの 鳥籠
   
   王妃になれたら そりゃはっぴー
   運が悪けりゃ 突然のクビきり
   窓際族

   オーノー、けどまぁ すばらしい
   贅沢しほうだい
   すてきな暮らしだ シュシャンの城!
   生きてるだけだって、
   ええじゃないか
   ええじゃないか  シュシャンの城!

   
   
じゃじゃーん!!!!
と、へガイさんの歌と、ダンスが終わった

ぶ、
ぶ、
ぶらぼぉおおおおおおおおお!!!
こんなに素晴らしい舞台は初めてみたわ!
サインください!!!!

あまりの私の感動っぷりに、へガイさんはいたく満足したようで・・・
ヘガイさんとマブダチ★になれました★

「ヘガイさんて、芸能関係の仕事してました?プロ顔まけの歌唱力!!」
「アンタって、いい娘ねぇ。  
いいわ、アタシがアンタをプロデュースしてあ・げ・る★」
「私、巨人の星ならぬ、ヘガイの星をめざします・・・!」
「そこはガラスの仮面的なことを言ってほしいわ・・・」
「・・・どんなに影が濃くても光がなければ影はできないのですよ・・・!」
「エステル・・・おそろしい子!
(上のセリフなんか、若い世代にはわからなくってよ・・・・・!)」

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