マイ・フェア・がーる

文字数 8,267文字


シュシャンの城にきて、およそ一年。
月日がたつのは早いものね!
私はここに来て、すぐに王様に会えると思っていたんだけど、とんでもなかった・・・。
最初の六か月は没薬の油で毎日体をヌットヌットのべっちょべっちょにされてたり。
次の六か月は毎日香料とお化粧品で身を飾られて。
・・・王様のお妃さまになるのって、大変なのね!

その間、私がおじさまと離れて一人、さみしく過ごしていたかと言うと、
そうでもなく。
「エステル様、珍しい異国の果物をお持ちいたしました」
「エステル様、香料で、お体のマッサージをいたしますわ」
「エステル様、いま、町中で大ブームの化粧品が届きましたわ」
「エステル様、流行のファッションを身に着けてくださいませ・・・
そんな適当な服装では、王様に気にいっていただけませんよ」
「そうですわ、他の娘様方をご覧になって。皆様メイクだネイルだと、
盛りに盛りまくっていますわ」
「あんな、孔雀みたいに着飾れ、とはいいませんけど、せめて・・・」
「ほんとですわ、エステル様はみがけばここのどなたよりも、美しいのに、もったいない!」
・・・・。
こんな感じで、とてもにぎやか。
というのも、ヘガイさんが王宮の侍女さん7人を連れてきてくれて、私のお世話?をするようにしてくださったの。
「・・・あの、いつもいってるんだけど、私、贅沢なものはいらないから・・・」
「何をおっしゃいますエステル様!ここのシュシャンの城にはいられたということは、
選ばれし乙女・玉の輿中の玉の輿なんですから、贅沢を楽しみませんと!」
「それに、王様に気に入られるには、なんでもする必要がありますわ!
ある娘さんは、最近毎日、牛乳風呂に入ってお肌をみがいてますわよ!」
・・・それは美味しそうだわ。
「あと、なんでしたっけ、何かの鳥のフンに美容成分がはいってるとかで、顔にぬりたくっている娘さんもいますわね・・・」
・・・そ、それはご遠慮するわ・・・
「まぁ、その方の侍女は毎日庭で、鳥のフンを集めさせられていますし、
他にも美容のため、という大義名分でこきつかわれている侍女が多い中で」
「私どもは大変楽を、ゴホン、無駄な労力を、ゴホン、させられないですんでいて、
大変ラッキーといいますか」
「エステル様にお仕えするのは喜びでございますが、」
「「「「「「「エステル様、もう少しだけ、オシャレしてくださいませ!!!」」」」」」」

・・・・そうはいわれても。
王様を射止める努力している他の方々は凄いなー、って思うし、
私もそうするべきかな、とは思うんだけど。

てくてくと王宮の庭にむかって歩いていると、
「(エステル―!わしじゃ!わしじゃよ!)」と、王宮の庭をさりげなく闊歩しながら、モルデカイのおじさまが手を振ってきた。

・・・・・・。

ここ、王の門のそばの庭―から、私達のいる婦人部屋の庭はつながっていて、市からめずらしいものを売りに来た商人とか、婦人たちが取り寄せた品々を運べたりできるようになっている。たくさんの商人やお客さん?が訪れるので、男の人を見かけることは珍しくない・・のだけれども、まさか、毎日来るとは思わなかったわ!
(この人、ホントに毎日、なんの仕事しているのかしら???)

人通りのある庭をぬけて、城の裏手―ひっそりとしていて、あまり人の来ないイチジクの木の下に来て、ようやく、一息ついた。

モルデカイのおじさまが心配して、毎日きてくれるのは嬉しい。(気がするし)
ヘガイさんが、私のために、7人もお付きを用意してくださったことも嬉しい。
(何より、『あんたはもう少し肉をつけないとだめよぉ、胸にもおしりにも』っていって、美味しいごちそうを手配してくれるのはヘガイさんマジぱなぃというか)

心配していた大奥?女の園のいじめ?も、たまに、
『あらいやだ、イモくさいのがいると思ったら、エステルさんね
わたくし、自分に自信がないから、そんなすっぴんで出歩ける、その神経がうらやましいですわぁ』とか、
『そんなに食べて肥え太る心配がないのも、うらやましいですわぁ。
ほら、わたくしなんか、これ以上胸が大きくなったら、Gカップこえてしまいそうですもの』
『わたくしはホラ、モデル体型ぐらいしかとりえがないものですから、
エステルさんのように、ちまっとしているのもうらやましいですわぁ。』
・・・とか。
こちらを見てくすくす笑っている方々に傷ついたり、頭にきたこともあったけど、
だんだん気にならなくなってきたというか。

だって、あの方々は、
本当に命がけでー王様に気に入られるために努力しているのだもの。
・・・自分の価値が、そこにしかない、とばかりに。
勿論、ここにいる以上、王様を喜ばせる努力は必要なんでしょうけどー・・・

人生には、もっと大切なものがあると思うのよね・・・
崇高な使命というか、生きる意味というか。
キミたちはどういきるか的な。

・・・うん、例えば、この、全世界を造られた神様の偉大な作品を楽しむというか!
この!隠れ場ともいうべき!人々に知られていない裏庭の片隅!に生えている、
いちじくの味を楽しんでみる、的な!

今日は、ちょっと上の方にあるイチジクの実がほしいんだけど、
手が届かないのよねー・・・
石とか投げたら、当たって落ちるかしら?

そう思って、小石をいくつか用意してひゅっ、と投げてみたら、
葉のおいしげった上のあたりから、「いてっ!」って声がした。

2.

「だれだ、こんな真似をするやつは・・・何だ、またお前か」
そう言って、木からするすると降りてきたのは。
えーと。
・・・・・・・。
「あ、いちじく屋さん?」
「・・・お前、本当に顔はいいのに、頭が残念だな・・・」
むかっ、今のくだりで完全に思い出したわ!
「あの、一年前のハタクさんのお店で会った、いちじく農家さんね!」
「ちーがーうだろ!この、・・・じゃないが・・・
俺は商人だ、商人・・・!大体、お前がなんでこんなところに・・・」
そうだったわ、ハタクさんもそう言ってた・・けど、一年前と変わらず、こう、顔が
きりっとしてて、背が高くて、イ、イケメンかもしれないけど、えらそうなとこも失礼なとこもあいかわらずね!
「・・・私は、この、シュシャンの城に呼ばれたから・・」
「呼ばれた?お前みたいな、イモくさいのが?何の用で・・・、そうか、
この香料の匂いといい、お前、アレか、王のー慰み者にでもなるのか」
・・・本当に失礼なやつだわ。

「前のワシュティ妃を、王が『見せしめ』なんてくだらない理由でお払い箱にしてから
一年ちょい。そろそろ、王も次の女がほしくなってきたと見える。
聞いた話では、大臣たちが国中の乙女を呼び集めて、よりどりみどりで選ばせるつもりとか・・・だがまさか、お前みたいな子どもまで集めるとはな。」
子どもじゃないわ。もうすぐ、17になるんだから!
「・・・しかし、王の好みはこう、ぼんきゅ、ぼんの、グラマアスなタイプときいていたが、こんな、子ども体型のお子様に興味を示すかねぇ・・・」
「ほんっとに、さっきから失礼ね!これでも、シュシャンにきてから、Bカップから
Cカップになったんだから!年だって、私はもう17さいーもごっ、」
「わ、わかったから、大きな声をだすな!人が来ちまうだろうが!」
コイツが慌てて口を押えてきたのには驚いたけど、焦った様子は見ものね。
「お前、わかってんのか?こんな、ひとけのないところで、王の女とふたりっきりでいたのが他の人間に知られたら、俺が捕まって死刑にされちまうだろうが!」
「もごー、もごごぉおおー、(へぇー、そうなんだー)」
「・・・お前、口を押えられてんのに律儀に答えなくても・・・
・・・なんで、お前って顔はいいのに全体的に微妙なんだろうな・・・」
「もごごぅっ!(失礼ね!)」

とりあえず、落ち着いたところで、二人でイチジクの木の枝に座った。
さっき、アイツが休んでいたところね!
ここなら、この庭をのぞいた人もなかなか気が付かないし、いい隠れ場所だわ。
・・・ちょっと、のぼるのに苦労するから、今みたいに、コイツにもちあげて
もらわないといけないけど。
(高いのよ!決して、私がどんくさいわけじゃないから・・・!)
「いいか、ここは俺だけの休憩所なんだからな、人にはもらすなよ!」
「へー、こんな、人が乗れるほど、枝がしっかりしてるなんて、知らなかったわ。
モルデカイのおじさまは絶対、木登りなんか、させてくれなかったし。」
「・・・、お前にも、一応、女らしいところがあったんだな。
あんなにイチジク、イチジク言ってるから、この城の木にのぼっちゃ、木の実を食い散らしてるかと思ったぜ」
あ、どんくさいから、のぼれなくて石で落とそうとしたのか!
と、からかいまじりに言う。
「・・・そのことはさっき、謝ったでしょ!それに、今日で、このお庭ともお別れだから、・・・最後に、このイチジクの実を一つ、もっていこうかと思ったの!」
楽しかった、最後の思い出に。

お前、それは、、
と、隣でつぶいた声がきこえたけど、私は答えなかった。

なんとなく、自分の口から、言いたくなかった。
今日、私がーそう、王のもとに行く、日だという事を。
会ったこともない、男のもとへ、それも、婚姻ではなくー
彼の言うとおり、慰みもの、として、いくのだということを。


これ、と、急に、黒光りする、宝石のようなものを差し出された。
「・・・?なにこれ?・・・まさか・・・!!!」
「そう、そのまさか・・・王宮御用達、めったに市に出回ることのない、逸品・・」
「ま、まさか、私がこの目で、これを見る日がくるなんて・・・・」
ごくり・・・手が震えるわ。
「「並み居る宝石をも凌ぐ、ブラック・ダイヤ・・・」」
「そう、これを、お前にやるよ。・・・だから、元気だせ!」
「ありがとう・・・!これで、私も、思い残すことはないわ・・・
こんなに、テカテカと黒光りする、おっきな、黒ダイヤ・・!
いただきまーす!!!」
ぶぉりぶぉり。
ぶぉりぶぉり。
「名品・キングいちじく・・!その逸品は王家御用達、一粒が黒ダイヤ一粒にも匹敵するといわれている・・それを、こんなに豪快にかみ砕くやつは、初めてみたぜ・・・!」

ぶぉりぶぉり。
美味しいわ。
この人、いろいろ失礼でもあるけど、いい人ね。
ふと、彼の方をみると、ぱち、っと目があった。
・・・失礼だけど、この人には、とりつくろったりする嘘がないわ。
シュシャンの城にきて、はじめて、素でいられたかもしれない。

 (エステル)優しくイケメンだけど
       中身は意地悪よ
       それでも不思議、
       なぜか、憎めない気がするわ

  (男)  彼女が俺を見て
       そして話しかけてくる
       怯えも震えもしない
       力強い眼差しで

 (エステル)そう とてもアメージング!
       胸がときめくの
       二人でいると
       なにかが 彼と芽生えそうね

 (二人)  驚いた まさか 意外だ こんなことになるなんて
       待って もう少し
       何かが芽生えているから
       何かが芽生えて・・・

「すとーっぷ!だだ、だめなのよ、芽生えたら!」
「おまへ、だかりゃって、かおほほすなおほs・・
(お前、だからって、顔を押すな、顔を・・)」

「あー、びっくりした!あぶなかったわ!」
「危ないのはこっちだ・・顔の形がおかしくなるとこだったぜ・・・」
「だって、あなたがおかしなこというから!なにかが、はじまるとこだったじゃない!」
「お前、それがここからのメインというか・・いいところじゃないか・・・?」
「だめよ、だって、私は今夜、王のものになるんだから!」
「・・・だから、俺が、慰めてやろうとしてだな・・・」
「それがダメなのー!」
「落ちつけよ、なにも、こんなとこで最後までしようって話じゃない、
ただ、ちょっとの気晴らしにだな・・・」
「こんなとこでなによ!最後ってててぃ、さ、さいごまでぇぇぇぇいてぇい、」
「・・・お前、これで真っ赤とか、ウブというか、カマトトにしてもやばいだろ・・・」


3.

「ねぇあんた、ほんとぉーに、なんにも、いらないのぉ?
ほかの娘たちは、山のように、宝石とかで身をかざっていったわよぉ。」
「・・・何にも、必要はないわ。今のままで、充分よ。」
「そうはいってもさぁ、願ったものが全て与えられるなんて、
こんなことはもうないのよぉ?あとは・・・そうね、よほど、王に気にいられでもすれば、あるいは・・・。
けど、明日からあんたは、別の婦人部屋で、私の管轄からも離れて・・・
いわば、王のセフレとして生きていくことになるのよぉ?」
アタシはその制度に賛成してないけどねっ、と、ハガイさんは鼻息荒く言う。

「だから、悪いことは言わないわ、もらえるもんはもらっときなさい?
宝石とか贅沢品がたくさんあればあるほど、これからの後宮での生活にも、はくがつくってものよぉ?」
「・・・これからの生活で、自慢してまわりたいわけじゃないの。
一番、持っていきたいものはもっていけないし・・・」
「それって、なによ?このハガイが、なんだって、調達してあげるわよぉ?」
「・・・・ハガイさん、だもの。」
せっかくお友達になれたのに、というと、ハガイさんは
「エ、エステルー!アンタって娘はー!!!!」
と、その力強い腕で私を抱きしめ・・・
まわりの侍女たちも、エステル様・・・と、感動の面持ちで見ていた。
あの、ぐば、あまりきつく抱きしめると、さっきのイチジクでちゃうの・・・!



「・・・・失礼、します・・・」
扉を通されて、王の寝所にはいる・・・
なんて声をかけたらいいのかしら?
『こんばんは、おじちゃん、これからよろしくね!』とか?
それとも、おじいちゃん?
あ、おじさまとか、おじいさまとか呼んだ方がいいかしら・・

一応、歩きかたにも気を付けて、しずしずとすすむ。
ゆっくりと、顔をあげると・・・・

・・・・・・・。

そこには、数時間前、いちじくの木の下で別れた、アイツがいた・・!


「しっ、大きな声をだすな、衛兵が来ちまうだろ(小声)」
「そんなこといったって、ここで、なにしてんのよ?(小声)」
「見りゃわかるだろ、今夜好きでもない男の相手をする、
ーかわいそうな娘を、助けにきてやったのさ」
そう言って、彼は、にやっ、と笑って、こちらに手を差し伸べる。
・・・イケメンだから、嫌になるほど、決まっているわ。
こういう、ロマンチックなシチュエーションに、乙女は弱いと思うの・・・

「王はまだこちらには来ない様子だが・・早く、ずらかるぞ」
そう言って、早くこの手をとれ、とうながす。

・・・いけないわ。

「・・・おい、俺だって、こんなことがばれたら縛り首だ。
けどな、お前があまりにもー・・・・
――いや、いい。
とにかく、ここを逃げて、二人で、遠いところで生きていく、
俺とお前なら、きっと、楽しくやっていけるだろう、だから」

それは、とても、魅力的だけど。
でも・・・

でも。

そっと、彼の手をとる。
吸い込まれそうな、彼の、深い色の瞳を見つめ、言った。

「・・・私、あなたと一緒に・・・

・・・いけないわ。・・・いけないの。
だって、」

ー・・・私・・・、

言葉にできない私の態度にイラついたのが、彼が荒々しく言う。




 
男:  「なんだ、結局は王の財宝目当てか?
     ・・・・・・・・・・・・・。
     ・・・お前も、ただの女だな、 黒ダイヤに目がくらんだのか?』
エステル:『そんな、あんまりでございます・・・』
男:   『・・・こうして二人が一処にいるのも今宵限りだ・・
      テベテの月の一七日、善く覚えてお置き、来年の今月今夜、
      俺は何処で此月をみるのだか・・・
      再来年の今月今夜・・・
      十年後の今月今夜・・・
      ・・・いいかお前、テベテの月の一七日だ・・・
      来年の今月今夜のこの月を、俺の涙で曇らせてみせる・・・』
エステル:『あなた・・・・』
男   :(とはいってもここは熱海じゃないし、
      こいつも元ネタわからんだろうなぁ・・・)
エステル:(“金色夜叉”はさすがに古すぎて、読者もさっぱりだと思うわ・・・)
男・エステル:((ていうか、熱海とか、金色夜叉とかってなんなの・・?))




気をとりなおして、男に言う。
「・・私のことは構わず、早く逃げて・・・。
私のことに、あなたを巻き込みたくないの」
「・・そんな顔をしておいて、よく言う。何故、そこまで王に従おうとする?
王にとって、お前などいてもいなくてもー
・・・ほかの女が、掃いて捨てるほどにいるだろう。」
「・・・そんなことは、わかってるの。けど、」
それでも。

「私は、私をここに遣わした方を信じているわ。
今、私をここに遣わしたのは、王ではなくー実に、神なのだと。」

「ふん、お前がなんの神を信じてるのかわからんが
ーその神、に全て従うっていうのか?」

・・・人から、理解されがたいことはわかってる。
そうね、私も、今ようやく、自分の想い―信仰がはっきりした気がするの。

「私は、私をここに遣わした方―
・・・・、きょうのこの日まで、ずっと私の羊飼いであられた神―
を、信じる。」

「・・・あなたと楽しく、生きていけそう、という、私の一時の感情には、
従いたくないの。
だって、先のワシュティ妃は、その時の自分の感情に従って、失墜してしまった。
・・・本当のところ、何が正しいのかは、わからない。
ただー私は、私の神と、神が私の上に置かれた方に従いたい。
私が、夫たる方の、『助け手』として、神につくられたのだから、
―そのように、生きていきたいの。」

ごめんなさい、と、つぶやくと、

彼は、だまって、うなずいてくれた。


さよなら。
短い時間でも、普通の女の子のようにドキドキしたり、男性に優しく(?)
接してもらえたこと、決して、忘れないわ。
私、多分、あなたのこと・・・

・・・ううん、このことは、私の、心の秘密のお部屋にしまっておくの。
さよなら、私のはつこ「実は俺が王なんだが」

・・・・ううん?
「だんだん言い出しにくくなったというか・・まぁ、逃がしてやろう、と
思ったのは本当だが。」

・・・・ううん?
「・・・お前の頭の回転がにぶいことは承知していたが・・・聞いてるか?
俺が、アハシュエロス王―お前の、夫だ。」

・・・・ううん、えいへいさーん、ちょっとおかしなこと言ってる
イチジク商人さんが王の寝所にいるんですけどー

「・・・おい、ちゃんと考えてみろ・・・いくら、この城がたまに
身分の高いものから低いものまで全ての民を招いて宴会を催したり、よくわからない
老人が王の門のあたりをうろついていたりしてもだな・・・
城の最奥部、王の寝所に部外者が入ってこれるわけがないだろ・・・
そもそも、お前にやった黒ダイヤの、『キングいちじく』も、
王家のものしか口にできない品だぞ・・」

えーと。
だって、王って、おじさんとか、おじいさんとかじゃないの?
こんなカッコいい(多少意地悪だけど!)人はいちじく農家さんじゃないの?

「・・・、お前、顔はかわいいし、その信念もたいしたものだが・・・
頭の中身はどうしょうもなく、残念だな・・・」

だって、頭がヒートしそう・・
「お前にも、わかる言葉でおしえてやるよ、つまり、」

そういって彼は、私の顎をくぃっ、ともちあげてー
私の唇と、彼の唇を、重ねたのだったー・・・・・



(ぷしゅー。
・・・・本日の営業は終了いたしました。)
「おい、ここで寝るなよ?お楽しみはこれからだろう・・って、おい?」
(本日の営業は終了いたし・・・ちょっと!どこさわってんの!)




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