ガベージ・ボックス

[ミステリー]

2

243

0件のファンレター

祝!メフィスト賞落選……。よろしい!供養だ!

【ツァラトゥストラの嘲笑】
大阪府吹田市にある総合電機メーカー「松島電器」の重役や社員が相次いで殺害される事件が発生。社員の1人である西川沙織は、事件を解決すべく友人である卯月礼華を頼ろうとする。
礼華と沙織の付き合いは古く、中学1年生の頃に遡る。2人が友人になった理由は「互いに京極夏彦のファンだったから」である。もちろん、沙織は今回の事件を「京極夏彦の小説みたいに妖怪の仕業なのでは」と推理した。それもそのはず、遺体には無数の「鳥の嘴」のような傷痕が付いていたのだ。
沙織の押し付けで(?)仕方なく松島電器の期間工として社屋に潜入した礼華は、オートモーティブ事業部でシステムエンジニアの岩嵜慶太と出会う。礼華と慶太は互いに発達障害を患っており、特に礼華は「自分が発達障害を患っていること」についてコンプレックスを持っていた。
そんな中、社員の1人であるベトナム人の遺体が発見される。遺体には件の殺人事件のように無数の「鳥の嘴」が付いており、連続殺人事件であると断定。礼華と沙織は大阪府警捜査一課の刑事・阿川理と共に事件の謎を解き明かす。
そもそも、松島電器のCEOである化野光雄は「蘇魯阿士徳の会」というカルト教団の信者だった。「蘇魯阿士徳の会」はゾロアスター教系の教団であり、与党の政治献金等で問題視されていたのだ。
ゾロアスター教は火葬をタブーとしており、基本は鳥葬で死者を葬る。
「――遺体に付いた無数の傷痕の正体は、もしかしたら鳥葬によるモノなのでは?」そう考えた礼華は、社員の中にゾロアスター教の信者を捜し出そうとする。
しかし、信者を探しているうちにホームエレクトロニクス事業部で凄惨な事件現場を目の当たりにしてしまう。
実は、事件の元凶は化野CEOの娘である化野薫という女性であり、彼女は所謂「カルト教団の二世信者」だったのだ。
二世信者として復讐の炎を燃やす薫。そんな彼女に対して礼華はある行動に出る。それは――「ゾロアスター教の邪神である『アンリ・マユ』を薫から祓うこと」だった……。

【頭の中のホムンクルス】
兵庫県豊岡市で「凶器不明の撲殺事件」が発生。被害者は地元の建設会社で社長を務める男性だった。
芦屋在住の売れない小説家である卯月絢斗は、かつての同級生である錦織恵介から事件の解決を依頼されてしまう。
恵介は、絢斗の処女作である『ゴーレムの殺人』と殺人の手口が同じであることに気付いたのだ。そこで絢斗に事件の解決を依頼したという算段だった。
渋々豊岡へと向かった絢斗は、そこで恵介と合流することになる。『ゴーレムの殺人』の犯人自体は女性の国語教師であり、恵介は絢斗と中学校共にミステリ研究会を立ち上げた女性である古谷聡子を犯人であると疑う。聡子は母校である豊岡第一中学校で国語教師として勤務していたのだ。
聡子と接触した絢斗と恵介だったが、絢斗は「聡子は犯人なんかじゃない」と推理をする。
しかし、事件は解決するどころか混迷を極めてしまう。第2の被害者が出てしまったのだ。被害者は倉田翔平という男性であり、彼もまた建設会社の社員だったのだ。
第2の事件を目撃した水嶋貴史という男性から話を聞く絢斗は、そこでようやく「ある人物の存在」に気付いた。「ある人物」とは、福代加世という中学校教師であり、ミステリ研究会の責任者を務めていたのだ。しかし、福代先生は現在行方知れず。
福代先生の行方が分からずに万策尽きた絢斗は、溝淡社の担当者である井ノ瀬克彦とビデオチャットをした後に脈を打つような頭痛を訴え意識を失ってしまう。
絢斗が次に意識を覚醒させたときには、「卯月絢乃」というもう一人の人格に思考を乗っ取られていた。絢斗は元々双子として産まれてくるべき人間だったが、交通事故によって絢乃という存在を喪ってしまう。その際、絢乃は絢斗の脳に住処を移し、自らを「頭の中のホムンクルス」と称して絢斗と人格を共用していた。
絢乃と共に推理をしていくうちに事件の犯人を福代先生であると見抜いた絢斗だったが、そこで待ち受けていたのは悲しい真実だった……。

登場人物

登場人物が未設定です

ファンレター

ファンレターはありません

小説情報

ガベージ・ボックス

卯月 絢華  udk_ayk

執筆状況
完結
エピソード
12話
種類
一般小説
ジャンル
ミステリー
タグ
探偵, 推理, メフィスト賞落選作
総文字数
118,450文字
公開日
2024年06月14日 12:34
最終更新日
2024年06月15日 18:00
ファンレター数
0