第12話 お祭りと父

文字数 460文字

 細長い村の宮地区を四区に分けていた。
祭りの当番は4年に1回ってきた。その時は
地区からだんじりを出す。打ち子は籤引きで決める。
当たった家は、威勢のいいことだと満悦だった。

 だんじりが1台と他地区からの遠征が1台。神輿が1体
朝から「ドンドンヒャラ。ドンヒャララ」
風に乗って聞こえてくる太鼓や笛の音に浮きたっていた。
365分の1の日は、1年で1番楽しい日だった。

境内には露天が軒を並べ、この日ばかりは立ち食いも
意のまま。私は蒟蒻のおでんが好きだった。
 
 宮の蔵の前に土俵が設けられていた。
四本柱の1隅にいつも父が見張っていた。
祭りが終えたら、柱に巻いてある紅白の布を
もって帰っていて、お産する人に安産のお守りと
して差し上げていた。兄嫁は腹に巻いたという。

 お祭りには近隣から若人がたくさん集まる。
そこで、ある年は大喧嘩があり、誰も手がつけられ
なかったところ、父が難なく治めた。

 ある所にはあるもの、食したことのないような上肉
を後日、お礼に貰った。
食べ方もわからず、味噌づけにして食した。
 今なら分厚いステーキにするだろうに。



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