第240話 お酒

文字数 667文字

 世の中には様々なお酒がある。ビール、日本酒、ワイン、ウイスキー、ジン、ウオッカ、テキーラ、老酒などなど、酒好きとしては一杯でもいいから飲んでみたいと思う酒が、わんさと存在している。
 しかし、酒には同じく苦い経験もあって、飲みすぎてその酒にノックアウトを食らった酒もある。醸造法の関係だろうか、日本酒やワインにはあまりいい思い出がない。ワインをこよなく愛すペンションに泊まり、飲みすぎた結果、地球が回りだし、朝までトイレの中で過ごしたこともあった。




 でもいまだに、酒がきらいになったわけではない。世の中が成熟したのだろうか、超高級な酒が世界にはあると聞く。一本が1億円という酒もあるらしい。そんな酒は飲めるわけもなく、その匂い、雰囲気だけでも思うのは酒好きの宿命みたいなものだ。酒をネットで注文できるようになったことは嬉しいことだ。
 昨年に、病が高じて評判の<獺祭>の一番安いのを注文した。到着予定日にドライバーから電話があり、途中で破損したので返金するとのこと。どうやら俺には呑ませたくないらしい。それに反発して再注文。後日めでたく到着した。
 酒米を削り倒して作ったという<獺祭>は、そういうイメージが頭の中で洗脳されていたせいか、旨く感じた。一人で飲むのももったいなく、少し息子にお裾分けする。

 昔、酒好きの親父が言っていたことを思い出した。あるバーで、この酒を飲んで酔っ払わなかった人はいません、とバーテンが言ったらしい。親父はそのカクテルに挑戦した。そのカクテルの名は「ノックアウト」。やはりその名のとおりに結果だったらしい。



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