第2話   シャロンが加入

文字数 1,082文字

 この町に来たことが偶然ではなく必然のような気がする.....
 
 シャロンの直感がもうゆるぎないものになっていた。ここが人生の分岐点になってくるのではないか。例え今は何も分からずに走っているとしても、そう感じずにはいられない。

「快く引き受けてくれたことをうれしく思うよ。良い判断だ」
 ケインは心から喜んだ。シャロンが近くにいれば安心でき、いつでも手助けできる。
「ええ。これが私の仕事だと思っているわ。国に尽くすわ」
 ケインのオフィスの向こう側ではすでに歓迎ムードだ。窓の向こう側でステュアートふざけて万歳をしている姿が見えた。

「さあ、これを」
 ケインはバッジとグロック19をシャロンに手渡した。
「グロック19が希望だったよな。地下の射撃訓練場でもう一度テストだけは受けてくれよ」
「わかっているわ」
 シャロンは懐かしそうにバッジを見つめグロック19の銃の感触を確かめた。
「早速だが、ただ、言っておきたいことがある」
 ケインのチームに入る限りは伝えておかなければならないことがあるのだ。
「このチームは必ず俺の指示に従ってもらう。例えヤバイ事でもだ。ここが法となるから、それだけは頼む。口外は厳禁ですべて機密事項だ」
「ええ。理解しているわ」
 特別捜査部処理課SIDのことは、先日にスティーブンから聞いていた。どうにもならない事案がここへ集まってくることも告げられていた。だからこそシャロンがチームに必要だという事だ。
「チームを紹介するよ」
 奥のケインのオフィスを出たところがチームのSID作戦本部となっている。市警を通り抜けた所だ。
「おい!みんな!シャロンだ。今日からチームに加わった。宜しく頼む。」
 みんなの拍手で迎えられた。
 一番にマリアが手を差し伸べた。
「マリアよ。チームにようこそ。背は低いけど若いからパワーはあるわよ!ブラックだからって遠慮しなくてもいいわよ」
「ステュアートだ。宜しくな!俺は独身の三十五才!彼女募集中だ。誰か紹介してくれ!頼む!」
「はいはい」
 誰も相手にしない。普段からくだらないことを言っているがムードメーカーだ。男前で気がいいのになぜか彼女がいない。
「スティーブンだ。初めまして!ニューランドにようこそ!」
 知ってるだろとみんなが笑った。
 スティーブンも笑っておどけて見せた。
「分析官のリョウです。なんでも指示してね」
「シャロンよ。宜しく。チームに加えてもらって光栄だわ。力になれるように頑張るわ」
「このチームは団結力が大切だ。和を乱す奴は去ってもらう。今まで通りプロらしく仕事してくれ」
「オッケー」
 
 このチームはすべてを理解している。










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登場人物紹介

シャロン。(前作ではSHIHOとして潜入捜査)特別捜査部処理課 特別捜査官。幼き頃の治験薬が原因で記憶が曖昧なままだ。その反面、直観力が研ぎ澄まされている。

ケイン。特別捜査部処理課SID ボス。知事の下で動いている。シャロンの親代わり。

スティーブン。(前作ではジョンとして潜入捜査)特別捜査部処理課 特別捜査官。ケインの右腕。前回、シャロンと潜入捜査をしていた元コンビ。

正義の為なら殺しは辞さない。

創一郎。製薬会社 社長。シャロンの元恋人。互いに恋人時代の記憶を失くしている。シャロンと共に幼き頃、治験された過去がある。

スチュアート。特別捜査部処理課 特別捜査官。単純な性格。

マリア。特別捜査部処理課 特別捜査官。

州知事。特別捜査部処理課を創設。州の為なら何でもする。

レイチェル。シャロンと血のつながっていない妹。

そうじ屋。通称ブラック。スティーブンの仲間の殺し屋。

長官。

ミラー。自称カウンセラー。

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