第1話 住宅全焼

文字数 734文字

 <閑静な住宅街で一軒家が燃えております。爆発したという事です>

 金髪の美女が燃え続ける家を背景にリポートしていた。大げさにふるまう話しぶりはまるで他人事の様に見えてしまう。消防隊、救急隊もせわしなく動いていた。
 シャロンはカフェでコーヒーを飲みながらそのテレビ中継を見上げていた。
 (これは単なる火事ではないね)
 直感がシャロンを突き動かす。

「ステュアート、マリア、これは単なる一家心中ではない。情報を得た。中学校へ聞き込みに行ってくれ。女の子が亡くなったようだ。中学二年生のハルという子だ」
「了解」
 情報というのはシャロンがケインに告げたのだ。ケインはシャロンの直感を誰よりの信じている。
 二人はすぐに中学校へ向かった。

「どうなってるのよ」
「ああ、なんてことだ」
 マリアとステュアートは怒りが込み上げてきた。

 校長、教頭に聞いても何も知らないとの一点張りで市警に聞いてくれというばかり、生徒に聞いても何も情報を聞き出せなかったが、一人だけ話してくれた生徒がいた。ハルの唯一の友達だ。
 その友人が言うにはハルは軽い知的障害者でクラス全員からいじめられていたと。特に四人。その四人に呼び出されてはお金を要求、そして、性的行為を強要されていたと。動画まで撮られ、脅されさらに性的要求をされていたとのことだ。
 それは学校側もすべて知っているが裏でギャングがかかわっているとのうわさもあり、見て見ぬふりをしていた。責任逃れをしていたのだ。彼女の両親も何度も学校へいじめ対応をしてほしいと懇願していたのに。

 涙ながらに友人は話してくれた。

 市警が公表している一家心中や自殺とは違う。殺されたと。

 動画を消してほしければ死ねと......

「許さない」

 チームの誰もが心に秘めた。







ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

シャロン。(前作ではSHIHOとして潜入捜査)特別捜査部処理課 特別捜査官。幼き頃の治験薬が原因で記憶が曖昧なままだ。その反面、直観力が研ぎ澄まされている。

ケイン。特別捜査部処理課SID ボス。知事の下で動いている。シャロンの親代わり。

スティーブン。(前作ではジョンとして潜入捜査)特別捜査部処理課 特別捜査官。ケインの右腕。前回、シャロンと潜入捜査をしていた元コンビ。

正義の為なら殺しは辞さない。

創一郎。製薬会社 社長。シャロンの元恋人。互いに恋人時代の記憶を失くしている。シャロンと共に幼き頃、治験された過去がある。

スチュアート。特別捜査部処理課 特別捜査官。単純な性格。

マリア。特別捜査部処理課 特別捜査官。

州知事。特別捜査部処理課を創設。州の為なら何でもする。

レイチェル。シャロンと血のつながっていない妹。

そうじ屋。通称ブラック。スティーブンの仲間の殺し屋。

長官。

ミラー。自称カウンセラー。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み