第2話 準備
文字数 846文字
カナリア新教の教団本部は郊外にあった。中心地から南へ六十キロほど下ったところだ。そこは高い塀に囲まれた城にみえる。大きな鉄門の入口は西門と南門の二か所で警備員らしき者がひとり立っていた。外観からは大きな白い屋敷にしか見えない。門から玄関までは美しい芝生が敷き詰められている。
教団事務所西門前の二階建ての古びた住宅を貸し切ってスティーブンとマリアが張り込むことにした。二階の窓からは入り口が見える。双眼鏡、ビデオ、モニター、無線、パソコンなどを用意し、何かあれば突入できる準備はしていた。
◇◇◇
カラモント大学のキャンパスで芝生に腰かけたシャロンは不安げを装った。大学には縁がなかったシャロンはこの活気がある雰囲気は新鮮だ。
三日間、同じ場所で誰かの接触を待ったが、誰も近寄ってこなかったのは意外だった。ステュアートも同じく接点を見つけることが出来ないでいた。
「どうだ、楽しんでいるかい?」
耳のイヤホンからスティーブンの声が届いた。
「異常なし」
「こちらも異常なし」
「オッケー。そのまま続けてくれ」
我慢比べになりそうだ。おそらく相手はこちらの事を調べてから動いてくるだろうと予想はしていた。警戒してのことだろう。
◇◇◇
「あれって有名タレントじゃない?コメディアンの……髪の毛が赤色だもん」
マリアが窓の外を見てスティーブンに言った。
「そうか?俺は知らないな」
「あれよ、昔、未成年の女の子をだまして客に紹介していたという男性タレント。今はコメンテーターみたいに善悪を語っているけど、自分は反省もしないで何様よってやつ」
マリアは過去は消せないのよって怒っていた。スティーブンはタレントなんて興味無しって感じで、いつものブラックコーヒーを飲んでいる。
「でも、何かトラブっているよな」
入り口で偉そうに監視人に指示をしているように見えた。
「あいつは幹部っぽいな。取り敢えず録画しておいてくれ」
「わかったわ」
そして、トラックがやってきて大きな荷物を運びこんでいた。ますます怪しくなってきた。
教団事務所西門前の二階建ての古びた住宅を貸し切ってスティーブンとマリアが張り込むことにした。二階の窓からは入り口が見える。双眼鏡、ビデオ、モニター、無線、パソコンなどを用意し、何かあれば突入できる準備はしていた。
◇◇◇
カラモント大学のキャンパスで芝生に腰かけたシャロンは不安げを装った。大学には縁がなかったシャロンはこの活気がある雰囲気は新鮮だ。
三日間、同じ場所で誰かの接触を待ったが、誰も近寄ってこなかったのは意外だった。ステュアートも同じく接点を見つけることが出来ないでいた。
「どうだ、楽しんでいるかい?」
耳のイヤホンからスティーブンの声が届いた。
「異常なし」
「こちらも異常なし」
「オッケー。そのまま続けてくれ」
我慢比べになりそうだ。おそらく相手はこちらの事を調べてから動いてくるだろうと予想はしていた。警戒してのことだろう。
◇◇◇
「あれって有名タレントじゃない?コメディアンの……髪の毛が赤色だもん」
マリアが窓の外を見てスティーブンに言った。
「そうか?俺は知らないな」
「あれよ、昔、未成年の女の子をだまして客に紹介していたという男性タレント。今はコメンテーターみたいに善悪を語っているけど、自分は反省もしないで何様よってやつ」
マリアは過去は消せないのよって怒っていた。スティーブンはタレントなんて興味無しって感じで、いつものブラックコーヒーを飲んでいる。
「でも、何かトラブっているよな」
入り口で偉そうに監視人に指示をしているように見えた。
「あいつは幹部っぽいな。取り敢えず録画しておいてくれ」
「わかったわ」
そして、トラックがやってきて大きな荷物を運びこんでいた。ますます怪しくなってきた。