第19話 被疑者
文字数 1,340文字
ステュアートが見た被疑者は覆面をした男二人だった。
銃を携帯していなかったので上手く対応できなかったことを悔やんでいる。
「俺が先に気づいて動けたなら......くっそ、銃があったなら」
拳を握りしめ呟いた。
「仕方ないわよ。やることはやった」
シャロンが労った。
市警の会見では銃乱射事件で大学に恨みを持つ二人組の犯行と予想。けが人は数名で死亡したのはミックひとりだったことを伝えていた。
「かなり妙だな。おそらくミックだけを狙ったな。シャロン、大丈夫か?」
ケインが言った。
「ええ。大丈夫。教団の犯行だと思うわ。何故だか.....ショーンのような気がする」
「確かに一人は眼鏡をかけてた。黒縁の」
ステュアートが思い返していた。しかし、ミックの友人のショーンがミックを殺すかは疑問ではあった。二人で組むならショーンとトムになるのか。
「防犯カメラの映像はどうだ?映っているか?」
ケインがリョウに聞く。
「この映像では顔認証にかけられません」
リョウが答えた。覆面に横顔では無理だ。
「車で来たならナンバーはどうだ?追跡装置は?」
「ナンバーはありません。車は十年前の車体なので追跡装置はついてません」
「打つ手なしか。さあ、聞き込みだ!」
上着を取りシャロンとステュアートがSIDを飛び出して行った。
二人はトヨタのSUVに乗り込み走り出した。
「ところでシャロン、彼氏はいるのかい?」
今日はハンドルを握っているのはステュアートだ。
「なぜ?」
「全くプライベートを明かさないからだよ」
シャロンは窓の外の流れる景色を見ながら過去を思い出そうとしていた。
「記憶がないの」
思い出せない。脳が思い出そうとしないどころか拒んでいる。
「すまない.....いらないことを聞いたね」
「いいの。あなたは大丈夫なの?立ち直れた?」
「ああ。時間が必要だよ」
信号が赤になり車を止めたところで無線が入ってきた。
<ピピッ、ヨコツー通りの南西の角で誰かが銃を発砲、至急応援を頼む。ピピッ>
「おい、このそばだ。三ブロック先だ」
「ゼロロクイチゼロ、応援に向かいます」
シャロンが返答した。聞き込みは後回しだ。サイレンを鳴らし車を飛ばした。
路肩に車を停め周りを確認し二人は車を降りた。
銃を抜き犯行現場に向かう。
「ここは教会じゃないか」
「そうみたいね。中に入るわよ」
スチュアートがそっと扉を開ける。静まり返った教会の中は誰もいない。明るい日差しがステンドグラスから差し込んでキラキラと反射している。銃を構えゆっくり奥へと進む。ゆっくりとゆっくりと。前方で椅子の陰から足が見えた。
「誰かが倒れてる! 」
シャロンが走って近寄った。右肩を銃で撃たれていた。捜査官だ。
「マイクじゃない!どうしたの!何があった?」
止血をしながらシャロンが聞いた。
どうやら、市警のマイクが銃をもった奴を追いかけていたら、教会に入り撃たれたらしい。腕にBHのタトゥーがあったとの事だ。
「これヘロインだ、五キロはあるぜ」
落ちてたカバンの中からスチュアートが見つけた。
「どう言う事なの?」
「奴のだ」
マイクが痛みに堪えながらに言った。
大きなキリスト像の横に小さなシルバーの十字架に黒のビー玉状のネックレスが斜めにかかったオブジェがあった。
銃を携帯していなかったので上手く対応できなかったことを悔やんでいる。
「俺が先に気づいて動けたなら......くっそ、銃があったなら」
拳を握りしめ呟いた。
「仕方ないわよ。やることはやった」
シャロンが労った。
市警の会見では銃乱射事件で大学に恨みを持つ二人組の犯行と予想。けが人は数名で死亡したのはミックひとりだったことを伝えていた。
「かなり妙だな。おそらくミックだけを狙ったな。シャロン、大丈夫か?」
ケインが言った。
「ええ。大丈夫。教団の犯行だと思うわ。何故だか.....ショーンのような気がする」
「確かに一人は眼鏡をかけてた。黒縁の」
ステュアートが思い返していた。しかし、ミックの友人のショーンがミックを殺すかは疑問ではあった。二人で組むならショーンとトムになるのか。
「防犯カメラの映像はどうだ?映っているか?」
ケインがリョウに聞く。
「この映像では顔認証にかけられません」
リョウが答えた。覆面に横顔では無理だ。
「車で来たならナンバーはどうだ?追跡装置は?」
「ナンバーはありません。車は十年前の車体なので追跡装置はついてません」
「打つ手なしか。さあ、聞き込みだ!」
上着を取りシャロンとステュアートがSIDを飛び出して行った。
二人はトヨタのSUVに乗り込み走り出した。
「ところでシャロン、彼氏はいるのかい?」
今日はハンドルを握っているのはステュアートだ。
「なぜ?」
「全くプライベートを明かさないからだよ」
シャロンは窓の外の流れる景色を見ながら過去を思い出そうとしていた。
「記憶がないの」
思い出せない。脳が思い出そうとしないどころか拒んでいる。
「すまない.....いらないことを聞いたね」
「いいの。あなたは大丈夫なの?立ち直れた?」
「ああ。時間が必要だよ」
信号が赤になり車を止めたところで無線が入ってきた。
<ピピッ、ヨコツー通りの南西の角で誰かが銃を発砲、至急応援を頼む。ピピッ>
「おい、このそばだ。三ブロック先だ」
「ゼロロクイチゼロ、応援に向かいます」
シャロンが返答した。聞き込みは後回しだ。サイレンを鳴らし車を飛ばした。
路肩に車を停め周りを確認し二人は車を降りた。
銃を抜き犯行現場に向かう。
「ここは教会じゃないか」
「そうみたいね。中に入るわよ」
スチュアートがそっと扉を開ける。静まり返った教会の中は誰もいない。明るい日差しがステンドグラスから差し込んでキラキラと反射している。銃を構えゆっくり奥へと進む。ゆっくりとゆっくりと。前方で椅子の陰から足が見えた。
「誰かが倒れてる! 」
シャロンが走って近寄った。右肩を銃で撃たれていた。捜査官だ。
「マイクじゃない!どうしたの!何があった?」
止血をしながらシャロンが聞いた。
どうやら、市警のマイクが銃をもった奴を追いかけていたら、教会に入り撃たれたらしい。腕にBHのタトゥーがあったとの事だ。
「これヘロインだ、五キロはあるぜ」
落ちてたカバンの中からスチュアートが見つけた。
「どう言う事なの?」
「奴のだ」
マイクが痛みに堪えながらに言った。
大きなキリスト像の横に小さなシルバーの十字架に黒のビー玉状のネックレスが斜めにかかったオブジェがあった。