第12話 民進平和党

文字数 655文字

 民進平和党の議員事務所はN.L.の一等地のビルの十階に構えている。巧みな戦略により支持基盤が固まりつつあり、票を伸ばしてきた証だ。

「前にも聞いたが、ジョンソン議員が死んだのは、どういう事だったんだ?」
 壁に貼られた国旗と党旗の前でシューマー党首がスミス議員に言い寄った。
「やはり殺されたかもしれません」
「どういうことだ?事故じゃないのか?」
「与党の自立保守党の圧力がかかったというべきか……」
 確かな情報ではないのでスミス議員は言葉を濁した。
 シューマー党首は少し考え込んだ。
「自立保守党だと!消されたというのか。そういう事なら長官に話してみる」
「はい。お願いします」
「それと、もっと信者を増やして、指示を広げろ。どんな方法でもいいから金を集めろ。与党になって国を動かすんだ。国を支配するんだ」
 もうすでに民進平和党は大きな組織になってきた。影の母体はカナリア新教だからだ。カナリア新教もまた信者数を急速に増えている。
「はい」
「いつものように中国と韓国の事務所に情報を流し、金を送れ」
「はい」
 シューマー党首は腕を組み考え込んだ。
「そうだな。神経ガスでも撒いてテロを起こして混乱させろ。自立保守党は何もできないことを証明しろ。そう、トーマスの息子を帰って来させて使え。あいつの不祥事をもみ消したのは俺だからな。あのバカ息子め」
「はい。神経ガスは、まだ完成しておりません。爆薬なら準備できております。すぐに車に積んで実行します」

 デスクの上にはあのシルバーに光る十字架の像が窓からの明かりに照らされ輝いていた。


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登場人物紹介

シャロン。(前作ではSHIHOとして潜入捜査)特別捜査部処理課 特別捜査官。幼き頃の治験薬が原因で記憶が曖昧なままだ。その反面、直観力が研ぎ澄まされている。

ケイン。特別捜査部処理課SID ボス。知事の下で動いている。シャロンの親代わり。

スティーブン。(前作ではジョンとして潜入捜査)特別捜査部処理課 特別捜査官。ケインの右腕。前回、シャロンと潜入捜査をしていた元コンビ。

正義の為なら殺しは辞さない。

創一郎。製薬会社 社長。シャロンの元恋人。互いに恋人時代の記憶を失くしている。シャロンと共に幼き頃、治験された過去がある。

スチュアート。特別捜査部処理課 特別捜査官。単純な性格。

マリア。特別捜査部処理課 特別捜査官。

州知事。特別捜査部処理課を創設。州の為なら何でもする。

レイチェル。シャロンと血のつながっていない妹。

そうじ屋。通称ブラック。スティーブンの仲間の殺し屋。

長官。

ミラー。自称カウンセラー。

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