5.。.:*♡ ざがくで

文字数 2,117文字

颯爽と扉が開いた先に、一人の女の子が佇んでいた。


シェルだった。


彼女はシールックの姿を見て、小さく悲鳴を上げた。

誰?

泥棒?

あ、ごめん。

泥棒ではない。

ぼくは魔族だよ。

魔族?

本物?

本物だよ。

可愛いお嬢さんだね。

イシュタルは身体を元の大きさに戻すと、シェルのそばへと歩いて行った。


汗塗れ、ホコリまみれの彼女をじっと見つめる。

シェルは声一つ上げず、イシュタルを見返していた。

仕事が終わったので帰りの点検をしたいんです。

あなた達は?

ここに叡智があるというので調べていた。

ここは工場か?

はい。

縫製工場です。

ここで衣服を作ります。

縫製?

衣服を?

手作りで?

ミシンで仕立てます。
そうなのか。

服を作っている、と。

そりゃ、縫製っていうくらいだから。

何か引っかかるのかい?

シールックにいさん。

いや。

ここに家に帰るセーブポイントがあるみたいで。

その気配を感じたよ。

ん?

針を持っているのかな?

世界の方向性を示す針?

あ、ここは大川隆法先生が作った世界だけど、文明の枷を整えたのはシールックにいさんだったね。

それで分かるんだね。

何?

それは知らなかった。

風属性がそんな所に。

ほお!

風の通り道だな!

え?

ここでなんで彼方の事が?

何?

彼方ちゃんなの?

この歌、彼方だよ。

息子のカナタの事を歌っている。

風の通り道に出てくるニレの木が?

かなた?

初めて聞いた。

知らなかった!

彼方ちゃんは、ノウスの事だったんだ!

早く言ってよ!

シールックにいさん!

彼方ちゃん、なあ。

甥っ子だったか。

ちょ!

シールックにいさんが、私に言うことを聞けって言ってたの、私を息子だと思ってたってこと?

何?

イシュタルは彼方なの?

知らなかったよ。

確かにそんな気はしていたが。

同一視が可能なの!

わー!

シールックにいさん、何者!

やっぱり普通じゃないよ!

普賢菩薩だ!

普通じゃない。

やはり、こいつは宇宙のリセマラ担当だったな。

しれない!

分かんない!

始まりと終わり?

なんてパーティーだろう!

あの。

仕事したいんですけど。

すまん。

話し過ぎた。

気にせずに。

気にしますが。
手伝おうか?
本当に?

ボタン整理をしたいんです。

お願いします。

二人が倉庫の奥に向うのを、イシュタルとアーネトルネ、スクナヒコナは静かに見守った。


イシュタルは椅子に座り込むと、天井を仰いだ。

はー。

私はnoosであることについて、こんなにも驚いた事はないよ。

まさか、はるか かなた の彼方の方だったとは。

ノウスなあ……。

それ自体がびっくらポンだが。

このパーティーは四人で正解ってことだよね?

風のシールック

魔のアーネトルネ

智のイシュタル

はじまりのスクナヒコナ

はじまりのスタアトって言わないの?
!!

ぼく!

また外した!

オレンジチャクラの欠落。

到達が出来ていないんだな。

ぼかぁオレンジは嫌いだ。
……リカめ。
リカ?

ああ、あいつはね。

ぼくよ。

知ってるよ!

だから……もう!

……こいつは女の子なんだな。
え?

タマは付いているよ。

そうじゃなくてね。

心が女の子なの。

ラウリル硫酸の原因かあ。

なるほど。

これは……Gの世界になる訳だ。

??

なんで界面活性剤がここで出て来るの?

さっぱり分からん。

……16次元の真理を知らないだあ?

なんてやつ!

なんでラウリル硫酸なんだ?
16次元はイザナミとイザナギの出現なんだけど。

ここで、坤☷が出て来るの。

ラウリルっていうのは羊毛を現す隠語でね。

山羊乳にラウリル酸っていうのが含まれているのとか、色々。

リーダー的な意味がここで出てきて。

そうか。

15の先の16か。

本物のリーダーね。

そうなるけどねえ。

16は色々キツいし、17を経由しないと阿呆のままなので波乱万丈なの。

20でやっと安定するけど、それがシールックにいさんってことになってね。

……。

ぼくはどこに行けばいいんだ。

最近やたらと惑う。

銀龍を付けたばかりだからね……。

まだ不安定だよね。

永遠に15次元のリーダーにして、私の後ろにいるんだ。

早く六次元になって。

そうすれば分かるよ。

その頃には、シールックにいさんももっとしっかりしているだろう。

シールックは四次元だっけ?

完成体?

あんなに不完全に見えるのに?

局地的な意味でだね。

私も同じくだ。

誰でもそうだけど、まるっと四次元というのは不可能なんだよ。

アーネちゃんは阿呆みたいに知識を詰め込んで、無理矢理六次元になる未来しかないよ。

それが最初に取った席だよ。

無理矢理六次元に……。

分かったよ。

無理矢理六次元になれるものなの?

どれだけ努力すればよいのか……。

いや、普通に勉強を続けるだけだろ?

それが何か?

だよねえ。

普通に駄弁って、いつも通りに勉強し続ける。

それだけだよねえ。

絶対に嫌だ。

なんでそんな事に。

最強の座の条件がそれだったんだよね。

アーネちゃんは兎に角負けず嫌いなので。

勉強だけで最強になれるものなら、そうするしかないがな。
やがて、シールックとシェルが倉庫の奥から出て来た。
何か言ったか?

最強とかなんとか。

座学で最強になれる話をしていた。
マジか!

ぼくもそうするよ!

座学で?

それは凄い。

きみも最強を目指すかい?

素質がありそうだ。

はい。

是非!

五人は意気投合するように見せかせて、スクナヒコナだけが微妙な顔をしていた。



最強とは一体何なのか?

それだけが彼の興味の果にあった。

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登場人物紹介

シェル

ファクトリーの少女

タールル

ファクトリーの支配人

シールック

影の人

アーネトルネ

魔王

修業の姿

イシュタル

闇のパピヨン

スタアト

スクナヒコナ

アーネトルネ

魔王

解脱の姿

エドガー

イナンナ

エカテリーナ

解脱の姿

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