2.。.:*♡ まどいは
文字数 2,501文字
イシュタルはアーネトルネの手を引き、街を抜け山を越えて小さな湖のある秘境まで歩いていった。
すっかり夜が更けた頃に目的地に到着し、糸のように細い滝の水が注ぐ泉の前に立った。
イシュタルは複雑に手を組むと、アーネトルネの胸に両手を押し当てた。
彼女の赤い瞳が妖しく光り、周囲から光の粒が幾つも幾つも舞い上がる。
次の瞬間、アーネトルネの頭上に銀白に輝く稲妻が彼を撃ち抜いた。
暫くの放心の後に、アーネトルネは静かに意識を取り戻す。
アーネトルネは水面に映る自分の姿を確認し、小さく頷いた。
二人は頷き合うと、そのまま魔の谷へと向かった。
時計の針が0時を回る頃に、とても豪華な屋敷へと辿り着く。
玄関ドアを開けた途端、シールックが飛び出してきた。
暫く話し込んだ後で、三人は早々と寝床についた。
その様子を、小さな影が見下ろしているとも知らずに。